いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『N/A』年森瑛(著)の感想②【つらい人に掛ける言葉】(文學界新人賞受賞、芥川賞候補)

つらい人に掛ける言葉 感想①はこちらです。 主人公の友人であるオジロの祖父が、コロナにかかり、入院します。 オジロから直接報告を受けた主人公は、どのように声を掛けていいか、悩みます。 オジロにとって重要な友だちだから打ち明けてもらえたのであって…

『N/A』年森瑛(著)の感想①【かけがえのない他人】(文學界新人賞受賞、芥川賞候補)

かけがえのない他人 主人公の女子高生は、教育実習生の女子大生と付き合っています。 主人公は、「かけがえのない他人」に憧れていました。 ホットケーキを食べたりおてがみを送るような普遍的なことをしていても世界がきらめいて見えるような、他の人では代…

『小説家になって億を稼ごう』 松岡圭祐(著)の感想【億を稼ぐ小説の書き方】

億を稼ぐ小説の書き方 小説を書いて億を稼げるのでしょうか。 著者は稼げると言います。 実際に、著者が年収1億円を初めて超えた年の確定申告書の画像が、本書に載っています。 本書でご紹介するのは、小説家で「食べていく」のではなく「儲けて富を得る」方…

『ここはとても速い川』井戸川 射子(著)の感想【見逃してはいけない言葉】(野間文芸新人賞受賞)

見逃してはいけない言葉 主人公は、大阪の児童養護施設で暮らす小学5年生です。 主人公の視点で語られます。 祭りで買ったアメリカンドッグを食べていると、 根もとが白なった短い茶髪の毛が出てきた。引き抜いて、なかったことにするために大急ぎで食べ終わ…

『鳥がぼくらは祈り、』島口大樹(著)の感想【一人称内多元視点】(群像新人賞受賞、野間文芸新人賞候補)

一人称内多元視点 書き方が特殊です。 「ぼく」が使われているので、「ぼく」の視点から描かれている作品かと思いきや、他の登場人物の視点からも描かれます。 例えば、 山吉が振り向いて遣った視線の先にいたのはぼくだった というように、視点が「ぼく」で…