坂元作品が好きな人、脚本家を目指している人は必読
ドラマや映画を見るときに、脚本家が誰かを気にする人は少数派だと思います。
私は、坂元脚本のドラマが始まれば、一話は必ず見ます。
特に好きなのは以下のドラマです。
- Mother
- それでも、生きてゆく
- 最高の離婚
- いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう
- カルテット
坂元作品は、社会的に弱い人間の繊細さが描かれ、鋭く突き刺さるセリフが散りばめられています。
本書は、坂元作品に出演した俳優との対談やインタビュー、作品ができるまでの履歴書が掲載されています。坂元さんが19歳で書いたデビュー作も載っています。
坂元作品が好きな人、脚本家を目指している人は必読です。
説得が嫌い
坂元さんは、ドラマで人が人を説得することに嫌悪感を抱いています。
「説得」って人の心を支配するようなものですよね。どうすればこの人の心を変えられるか?ということを考えながらセリフを書くことになる。(中略)そもそも説得で変わる人っているのかな、嘘っぽいなって思います。言葉で変わるぐらいなら初めからやんないだろうって。(p.7)
そう簡単に人は変わりませんもんね。悪者が悪者のまま終わる(善人にはならない)ドラマがあっても、現実的でいいと思います。
面白いのは知らなかったことに出会ったとき
坂元さんは、面白さ=「新情報」と考えています。
心の底から「おもしろ!」って思うのは、知らなかったことに出会ったとき。つまり「新情報」だっていう。だから脚本も、ちょっとずつ何かが明かされていったり、見たことのない切り口だったりを意識しているところはありますね。(p.9)
脚本でコンクールを取るには、ちょっとずつ明かすこと、見たことない切り口で書くことを意識する必要がありそうです。
例えば、「最高の離婚」で描きたかったことについてです。
お互い好きなんだけど、生活習慣があわなくて苦労してしまうふたりが「自分の性格を変えずに、自分のデコボコしている部分を直さずに、一緒にやっていくことはできるんでしょうか?」ということを描きたかったんです。(p.22)
スペシャル後の続編を希望しています。
坂元作品を評する言葉
最後に、インタビューを受けた方の言葉を引用します。
(瑛太)坂元さんの台本は、絶対に一語一句変えないでセリフを言いたいんですよ。(p.39)
(水田伸生)坂元さんの脚本は、「魅せられている作品」とは対極にあって、お客さまが自分で発見したり想像したり、見つけたりするシナリオなんですよね。(p.99)
坂元脚本の連続ドラマが早く始まってほしいです。