番組概要
7月17日(水)に第161回芥川賞、直木賞が決まります。
受賞作の決定前に、どの作品が受賞するかを予想するラジオ番組です。
出演者(予想する方)
- 大森望(書評家、SF翻訳家)
- 豊崎由美(書評家)
芥川賞候補作(5作品)
- 今村夏子『むらさきのスカートの女』
- 高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』
- 古市憲寿『百の夜は跳ねて』
- 古川真人『ラッコの家』
- 李琴峰『五つ数えれば三日月が』
芥川賞予想作品(大森望)
- 今村夏子『むらさきのスカートの女』(本命)
- 高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』(対抗)
(『 むらさきのスカートの女 』についての発言を抜粋)
自分(語り手)はどういう人なのかっていうのがだんだんわかってくることで、小説の見え方が変わってくる
(『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル 』についての発言を抜粋)
(前作『居た場所』より)芥川賞に寄せたようにみえる
非常にかっちりとした感じになっている
芥川賞予想作品(豊崎由美)
予想はダブル受賞です。
(『ラッコの家』についての発言を抜粋)
音声化された言葉と内面の言葉をポリフォニックに響かせるのが巧み
今までの候補に挙がった(『縫わんばならん』『四時過ぎの船』)のいいところが全部入ってる
(ここ数年、方言で書かれる小説が増えたが)その中で断トツ
(『百の夜は跳ねて』についての発言を抜粋)
すさまじく戦略的
(最初は鼻白んだが)読み進むにつれて瞠目
内面描写がすごく丁寧
(芥川賞を)まあ取るんじゃないの、不思議じゃない
『百の夜は跳ねて』の評価が高い
大森さん、豊崎さんとも『百の夜は跳ねて』を評価しているようでした。
テストなら優勝とのことです。
私は、前作『平成くん、さようなら』の方が好みですが、大森さん、豊崎さんとも、こちらはボロクソに言っていました。
『五つ数えれば三日月が』は最初の段階で落ちるだろうとのことで、意外でした。最後の一文から想像させる読後感が良かったので。
直木賞候補作(6作品)
- 朝倉かすみ『平場の月』
- 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
- 窪美澄『トリニティ』
- 澤田瞳子『落花』
- 原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』
- 柚木麻子『マジカルグランマ』
直木賞予想作品(大森望)
- 朝倉かすみ『平場の月』
- 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
現代もの、時代ものを合わせて、ダブル受賞との予想です。
直木賞予想作品(豊崎由美)
- 大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(本命)
- 朝倉かすみ『平場の月』(対抗)
(発言を抜粋)
大森さんの予想どおりになったらね、世界ってなんて美しいんだろうって思うんですが、そこまで甘くないかなと思っちゃう
受賞できなかった理由を説明
候補によくなるけど落ちてしまう澤田瞳子さんについて、豊崎さんが選考委員に向けて言います。
(発言を抜粋)
澤田さんって候補によくなるけど、落ちちゃうんですよね。なぜなのかなっていうのがね。
(中略)
澤田瞳子さんに何が足りたいんだっていうことをね、もし今回澤田さんを落とすようであれば、選考委員の先生はね、説明してあげた方がいいんですよ。
説明すればさ、芥川賞の古市君みたいにさ、それ全部直してさ、すごいブラッシュアップしたものを出してくる可能性ってあるわけでしょ。
作家の側に立った豊崎さんの言葉が胸に刺さります。
その候補作がなぜ受賞できなかったのか、何がいけなかったのか、選考委員が説明することで、作家は次回作を書く際に参考にするかもしれません。
落選の理由を納得するかどうかは別として、語られずに落ちるのは、作家は腑に落ちない気がします。
賞の結果発表日
7月17日(水)
賞発表後の次回放送(結果篇)
7月22日(月)19時30分~20時30分(ラジオ日本)
今回は作品のあらすじがメインだったので、お二人のメッタ斬りが楽しみです。
今回の放送は、radikoのタイムフリーで聴けます。
第161回芥川賞・直木賞の結果発表、会見、選評の感想はこちらです。
私の第161回芥川賞の予想はこちらです。