人生は少し長めのホームステイ
生きづらさを感じるのは、多くを一人で抱え込みすぎているからかもしれません。
例えば、何かやるときに、相手がどう思うかを考えすぎると、誰とも関わらないのが一番になってしまいます。
どうしてそうなるんでしょう。
- 相手に迷惑かもしれない
- 相手に嫌われるかもしれない
迷惑をかけるよりましだと、人と距離を置きます。すると相手も気を遣います。
コミュニケーションがないと、相手に対し思い込みが生まれます。大抵ネガティブなものです。
- 迷惑をかけてもいい
- 嫌われてもいい
と、いられたらいいのですが、うまくいきません。
では、どうすればいいか。
それが描かれているのが本書です。
せいぜい数十年の人生です。少し長めのホームステイがまたはじまるのだと気楽に考えればいい。(p.244)
人生を重く受け止めすぎない。それでも意外とうまくいくんだと教えてくれます。
生きづらいと感じる人におすすめです。
一言あらすじ
死んだはずの主人公の魂が、自殺を図った中学生男子に宿る。その中学生として、家族や友人とやり直しを図っていく。
主要人物
- ぼく:生前の罪のため、死んだはずの魂
- 真:自殺を図った中学生。ぼくの魂が宿ったため生き返る。美術が好き
- 早乙女:真の友人
- ひろか:真の初恋の相手。売春をしている
物事を深刻に考えすぎない
真として生きるぼくの魂は、どうせ真の人生だしと、物事を深刻に考えません。
その分、物事を客観的にとらえています。
- 不倫した母親
- せこい出世で心躍る父親
- 嫌みばかり言う兄
- 身体を売る初恋の女の子(ひろか)
嫌なことを抱え込まず、母親に吐き出します。
とぼけるなよ。あいつのエゴにいやけがさして不倫に走ったんだろ? 中身は陰湿な、外面だけの偽善者。(p.135)
また、男に肩を抱かれているひろかを連れ去ろうとします。
「走れ!」
ひろかの手首をつかんでさけび、うむを言わさず駆け出した。(p.82)
自殺する前の真は、母親の不倫やひろかの売春を目の当たりにしても、見ているだけで何の行動もしませんでした。
生まれ変わった真は、自分だけで抱え込まず、信念に従って行動します。
話すことで何か変わるかもしれない
初めてできた友人の早乙女から言われます。
「前はこう、なんつーか、すげえかまえちゃってる感じだったけど、今はもっと楽に見えるっていうかさ」(p.138)
家族からは、絵の好きな真にと、美術に力を入れた高校を受験するよう勧められます。
ですが、早乙女とは公立の高校を受験する約束をしていました。
美術の高校か、友達といく高校か。
真の選択の考え方が切実です。
調べた言葉
- 殺生:むごいこと
- 極彩色:鮮やかな色彩
- ジゴロ:女に養われて生活する男
- しめやか:しんみり
- しがない:取るに足らない
- 勇み足:調子に乗ってやりすぎて失敗すること