好きなことを優先するために考える
週に2日だけ介護の仕事をして、他の日は散歩したり読書したり野草を摘んだり。
大原さんは、東京の多摩地区で、2万8000円のアパートに住んでいます。(その後、台湾に転居したそうです)
みんなもわたしを見習って隠居しよう! という話では全然ないんです。
外野がとやかく言っても、自分が本当に好きなことを優先するために、今置かれた状況でどうすればいいのかを考えるのが大切だと思うんです。(p.23)
働くのが好きであれば、働けばいい。大原さんは働きたくなかったから、どうやったら働かずに生きられるかを考えました。
その結果、必要最低限だけ働くという生活に落ち着いたそうです。
進学して、就職して、結婚して、子育てして――。
そういった、普通とされてきた生き方以外にも、大原さんのような生き方があると、本書は提示します。
働きたくない人、仕事を辞めたいけど不安な人、隠居したい人におすすめです。
嫌いなことで死なない
好きなことって何だろう。いざ考え始めると、難しいです。
好きなことなんてなくても、今すぐ見つけなくても、もっと言えば死ぬまで見つからなくたって、別にいいじゃないですか。大事なのは、嫌いなことで死なないこと。(p.30)
嫌いなことで死ぬというのは、具体的にどういうことでしょう。
平日は会社で働き、帰宅してからふと仕事のことを思い出し、金曜の夜は一息ついて土曜はゆっくりするけど、日曜は翌日の仕事のことを考えてしまう。
そんな生活は、大原さんからすると、嫌いなことで死んでいると言えそうです。
ですが、生活するにはお金が必要で、お金を得るためには働かねばなりません。
それに、週に2日の労働だけでは収入は低く、将来の不安が付きまといそうです。
大原さんはどうやって生活を維持してきたのでしょう。
どれくらい働くか
必要なだけ働けば満足なのか、それ以上にバリバリ働くか。わたしはそこを社会に決められるんじゃなくて、自分で決めたかったんです。(p.152)
その結果、必要なだけ働けば満足ということに、行きつきました。
大原さんの考え方は以下の流れです。
- 物欲を減らす
- 工夫して生活する
- 必要なものだけを買う
- 週に最低何日働けばいいかを逆算して実践する
必要なものを最小限にすることで、出費を抑えます。出費を抑えれば、必要なお金が少なくなるので、そこまで働かずに済むというわけです。
うらやましい生活ですが、いざ実行できるかというと……難しい。収入より世間体による気がします。
本書は、自分がどんなライフスタイルを求めているか、考えるきっかけになります。