短編がおすすめ
村上春樹作品を読んでみたいけど、どれを読んだらいいかわからない。
そんな方向けに、おすすめ作品を紹介します。
結論から言うと、短編がおすすめです。
その理由は2つです。
- 読みやすいから
- 自分に合うかどうかわかるから
1つ目、読みやすいという点です。
村上さんの短編は、生活に近い作品が多いので、なじみやすいです。
なじみやすいと、読んでて目に浮かびやすいので、すらすら読めます。
例えば、
- カフェで同じ本を読んでいた人と交流する話(『偶然の旅人』)
- ときおり自分の名前を思い出せなくなり、名前を書いたブレスレッドを身に着ける女性の話(『品川猿』)
長編だと、ファンタジー要素が強くなるので、なじみやすさは薄れます。短編が良かったら、ぜひ長編もチャレンジしてみてください。
2つ目、自分に合うかどうかわかるという点です。
村上春樹さんの文章には独特の特徴があります。
デビュー作『風の歌を聴け』の一行目です。
「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
少し鼻につくなあと、思われる方もいると思います。
文章の感じが自分に合うかどうか、まずは短編で試してみるのが良いでしょう。
おすすめの短編3作品
で、何を読めばいいかということですが、短編3作品を紹介します。
これらの作品が良かったら、ぜひ長編も読んでほしいです。
- 『東京奇譚集』
- 『レキシントンの幽霊』
- 『中国行きのスロウ・ボート』
『東京奇譚集』
奇譚とは、不思議な話という意味です。
東京で起きた不思議な話を集めた作品です。
「世にも奇妙な物語」が好きな人は特に合うと思います。
上で紹介した、『偶然の旅人』と『品川猿』も収録されています。
また、映画化された『ハナレイ・ベイ』(サーファーの息子を亡くした母の話)も入っています。
『レキシントンの幽霊』
この作品の中に、私にとって一番考えさせられる短編が、収録されています。
それは『沈黙』です。
ボクシング経験者に、「誰かを殴ったことはあるか」を聞いたとき、「一度だけある」と返答がありました。その内容が物語になっています。
どういう人間が一番恐ろしいか、考えさせられます。
高校生向けの集団読書テキストに採用された作品です。
『中国向きのスロウ・ボード』
この作品の中に、私が一番好きな短編が収録されています。
それは『午後の最後の芝生』です。
芝刈りのバイトをする大学生の、バイト最後の日を描いています。
真夏の太陽の光を浴びながら、口笛を吹いて芝生を丁寧に刈る描写が素敵です。
ちなみに村上春樹さんの奥さんが、この作品を好きなようです。
長編を読むなら
上にあげた作品が良かったら、他の短編や長編を読んでみてください。
最初に読む長編を一作上げるなら、『羊をめぐる冒険』です。
星のマークがついた羊を探しに、北海道をめぐる話です。