いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『漁港の肉子ちゃん』西加奈子(著)の感想【ありのままに生きること】

ありのままに生きること

タイトルの通り、「漁港の」そばに住む「肉子ちゃん」の話です。

肉子ちゃんの本名は、菊子ですが、焼肉屋でバイトしており、太っているから、「肉子ちゃん」と呼ばれています。

なぜ漁港のそばに住んでいるかというと、

肉子ちゃんは、大阪で水商売をしていましたが、男に騙されたり、逃げられたり、借金を背負わされたりして、流れ着いたのが、この漁港でした。

肉子ちゃんには、小学生の娘、喜久子がいます。

娘も母親も、名前が同じ「きくこ」です。(娘はキクりんと呼ばれています)

何かしら、わけがありそうな親子ですが、肉子ちゃんがとにかく明るいです。

「3月4日、さぁよろし、やな!」

(中略)

「自ら大きいって書いて、臭いって読むのやから!」

(中略)

肉子ちゃんの話し方は、いつも語尾に「!」とか、ひどいときは、「っ!」がつく。

娘は、そんな母親を、

肉子ちゃんは、人間関係の始め方も、下手くそだ。相手が自分のことをどう思うのか、とか、どんな風に接すれば空気が変に震えないのか、とか、そういうことを、全然考えられない

と、冷静に見ています。

肉子ちゃんは、言いたいことを言い、やりたいことをします。

解説で日野敦さんは言います。

ありのままでいたいという気持ちと、それに抗おうとする自意識を同時に抱えたキクりんが、様々な出来事と通じて成長していく話でもある。(p.337)

ありのままに生きる「肉子ちゃん」と、なかなかそうは生きられない娘「キクりん」

娘の目線は、同時に読者の目線でもあります。

以下に興味がある人におすすめです。

  • ありのままに生きる
  • ありのままに生きることに抵抗がある
漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

  • 作者:西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: 文庫
 

一言あらすじ

漁港のそばに流れ着いた「肉子ちゃん」とその娘が、港町の人々に支えられながら生きるさま。 

主要人物

  • 私:主人公。キクりんと呼ばれる。肉子ちゃんの娘
  • 肉子ちゃん:私の母親。太っていて焼肉屋でバイトしているからそう呼ばれる

肉子ちゃんに憧れる

なぜ、ありのままに生きられないのでしょう

例えば、嫌なものに嫌、つまらないものにつまらないと言えれば、もっと楽です。

それが躊躇されるのは、相手に迷惑を掛けたり、嫌われたりするからです。

「人に迷惑をかけてはいけません」

大抵の人に刷り込まれています。

ですが肉子ちゃんは、

ありのままに生きていて、皆から愛されてるし、元気を与えています。

その違いは何でしょう。

嫌われたり陰口をたたかれたりすることを、恐れていないからなんだと思います。

そんなことより、今自分は何ができるか。何をしたいか

それを第一に考えて行動する肉子ちゃんに憧れます。

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

  • 作者:西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/04/10
  • メディア: 文庫