番組概要
1月15日(水)に第162回芥川賞、直木賞が決まりました。
- 芥川賞:古川真人『背高泡立草』
- 直木賞:川越宗一『熱源』
受賞予想した作品の答え合わせや、結果を受けて話すラジオ番組です。
前回の放送の感想はこちらです。
前回、今回の放送とも、radikoのタイムフリーで聴けます。
出演者(予想する方)
- 大森望(書評家、SF翻訳家)
- 豊崎由美(書評家)
芥川賞予想作品と発表を受けて(大森望)
- 乗代雄介『最高の任務』(本命)
はずれです。
(『最高の任務』についての発言を抜粋)
(電車内の痴漢シーンについて)今のご時世としては、たぶんやめといた方が良かったっていう感じだと思いますよ。
明らかにこれは嫌だと思う人がいるだろうなって思って。浮いてるもん。浮いちゃった時点でやっぱり、計算違いだと思いますよね。
確かに電車内の痴漢のシーンは浮いていました。
ですが、このシーンで作品世界が壊れたとは感じませんでした。
芥川賞予想作品と発表を受けて(豊崎由美)
- 乗代雄介『最高の任務』(本命)
はずれです。
久しぶりにね、だめな芥川賞見たなと思ったんですよ。
結局こういう分かりやすいね、小説にしてあげたわけですよね。
分かりやすい分、本然のあの人の魅力にはかけたと思ってるんですよ。
これにあげるんだったら、デビュー作にやっとけよと思ったわけですよ。
(『最高の任務』についての発言を抜粋)
この小説が一番すごいのは、いわゆるエモいって言われても仕方がない、センチメンタルな家族の思い出を描くときに、テーマと今まで乗代さんが培った手法が、完全に今回有機的にリンクしたのが素晴らしいんです。
豊崎さんは、古川さんの受賞に好意的ですが、
選考委員に向け、ちゃんと読んでないんじゃないのか、と言います。
選考委員の選考から皆でやろうぜ、とまで言います。
直木賞予想作品と発表を受けて(大森望)
- 川越宗一『熱源』(本命)
的中です。
(『熱源』についての発言を抜粋)
下馬評でも非常に評価が高かったし、書店でもすごく応援する人が多くて、話題作としてずっと注目されていたので、順当な受賞だったと思います。
直木賞予想作品と発表を受けて(豊崎由美)
- 誉田哲也『背中の蜘蛛』(本命)
- 湊かなえ『落日』(対抗)
はずれです。
(『熱源』についての発言を抜粋)
強者の論理とか、文明という名の侵略に真っ向から立ち向かった、大変テーマ性の高い、いい小説だと思います。
(『落日』についての発言を抜粋)
(落選の)理由がね、文章って言われているんですよ。
湊さんの文章を、私みたいに否定してる人間がいるはずなんですよ、何人か。その人たちが(選考委員を)変わらない限り、どの作品を持ってきても、おそらく湊さん取れないんですよ。もうやめた方がいいよ、本当に。
湊さんは候補作になるのを断ればいいのに、と思うのですが、
大森さんによると、湊さんは「読者のため」や「売れてるものを低く見るような論調に対して、そうじゃないことを証明するため」に断らないのではないかと言っています。
第162回芥川賞・直木賞の結果発表、会見、選評の感想はこちらです。
私の第162回芥川賞の予想はこちらです。