いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果篇)」の感想【第162回芥川賞の選考委員をメッタ斬り】

番組概要

1月15日(水)に第162回芥川賞、直木賞が決まりました。

  • 芥川賞:古川真人『背高泡立草』
背高泡立草 (集英社文芸単行本)

背高泡立草 (集英社文芸単行本)

  • 作者:古川真人
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/01/24
  • メディア: Kindle版
 
  • 直木賞:川越宗一『熱源』
【第162回 直木賞受賞作】熱源

【第162回 直木賞受賞作】熱源

  • 作者:川越 宗一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/08/28
  • メディア: 単行本
 

受賞予想した作品の答え合わせや、結果を受けて話すラジオ番組です。

前回の放送の感想はこちらです。

前回、今回の放送とも、radikoのタイムフリーで聴けます。

出演者(予想する方)

  • 大森望(書評家、SF翻訳家)
  • 豊崎由美(書評家)

芥川賞予想作品と発表を受けて(大森望)

  • 乗代雄介『最高の任務』(本命

はずれです。

(『最高の任務』についての発言を抜粋)

電車内の痴漢シーンについて)今のご時世としては、たぶんやめといた方が良かったっていう感じだと思いますよ。

明らかにこれは嫌だと思う人がいるだろうなって思って。浮いてるもん。浮いちゃった時点でやっぱり、計算違いだと思いますよね。

確かに電車内の痴漢のシーンは浮いていました。

ですが、このシーンで作品世界が壊れたとは感じませんでした。

芥川賞予想作品と発表を受けて(豊崎由美)

  • 乗代雄介『最高の任務』(本命

はずれです。

久しぶりにね、だめな芥川賞見たなと思ったんですよ。
結局こういう分かりやすいね、小説にしてあげたわけですよね。
分かりやすい分、本然のあの人の魅力にはかけたと思ってるんですよ。
これにあげるんだったら、デビュー作にやっとけよと思ったわけですよ。

 

(『最高の任務』についての発言を抜粋)

この小説が一番すごいのは、いわゆるエモいって言われても仕方がない、センチメンタルな家族の思い出を描くときに、テーマと今まで乗代さんが培った手法が、完全に今回有機的にリンクしたのが素晴らしいんです。

豊崎さんは、古川さんの受賞に好意的ですが、

選考委員に向け、ちゃんと読んでないんじゃないのか、と言います。

選考委員の選考から皆でやろうぜ、とまで言います。

直木賞予想作品と発表を受けて(大森望)

  • 川越宗一『熱源』(本命

的中です。

(『熱源』についての発言を抜粋)

下馬評でも非常に評価が高かったし、書店でもすごく応援する人が多くて、話題作としてずっと注目されていたので、順当な受賞だったと思います。

直木賞予想作品と発表を受けて(豊崎由美)

  • 誉田哲也『背中の蜘蛛』(本命
  • 湊かなえ『落日』(対抗)

はずれです。

(『熱源』についての発言を抜粋)

強者の論理とか、文明という名の侵略に真っ向から立ち向かった、大変テーマ性の高い、いい小説だと思います。

 

(『落日』についての発言を抜粋)

(落選の)理由がね、文章って言われているんですよ。
湊さんの文章を、私みたいに否定してる人間がいるはずなんですよ、何人か。その人たちが(選考委員を)変わらない限り、どの作品を持ってきても、おそらく湊さん取れないんですよ。もうやめた方がいいよ、本当に。

湊さんは候補作になるのを断ればいいのに、と思うのですが、

大森さんによると、湊さんは「読者のため」や「売れてるものを低く見るような論調に対して、そうじゃないことを証明するため」に断らないのではないかと言っています。

 

第162回芥川賞・直木賞の結果発表、会見、選評の感想はこちらです。

私の第162回芥川賞の予想はこちらです。