本は現実と戦うための武器
本は「現実と戦うための武器」だと、著者の見城さんは言います。
本とは単なる情報の羅列ではない。自分の弱さを思い知らされ、同時に自分を鼓舞する、現実を戦うための武器なのだ。
「現実と戦う武器」と聞くと、
わからないことを調べる(情報を得る)手段だと思いそうですが、違います。
読書をすることは、実生活では経験できない「別の世界」の経験をし、他者への想像力を磨くことを意味する。本のページをめくればめくるほど、人間の美しさや醜さ、葛藤や悩みが見えてくる。
読書の流れは、
- 本を読んで「別の世界」を体験
- 登場人物たちに心を通わせる(=他者への想像力を磨く)
- 自分の問題として捉え直し、実生活に活かす
です。
重要なのは、「何が書かれているか」ではなく、「自分がどう感じるか」なのである。
書かれている内容ではなく、自分がどう感じるかが、現実と戦うときに役立つということでしょう。
この本のテーマは、読書論である。僕の人生と、その人生のなかで読んできた膨大な数の本について語ることで、一人の人間がいかにして自分の言葉を獲得し、言葉によって道を切り開いてきたかを明らかにしていく。
見城さんの幼少から、学生時代、出版社時代、幻冬舎を創業して執筆現在にいたるまでが書かれています。
読書に没頭するとどうなるのか興味がある人におすすめです。
要約より感想を書く
このサイトは、タイトルに「1000字読書感想文」と入れながら、
要約に多くの文字数を割いている記事もあります(特にビジネス書)。
なぜなら、私の感想よりも本の要約の方が、読んでいる人に役立つと考えたからです。
ですが、本書を読んで、書き方を変えることにしました。
きっかけは「何が書かれているかより自分がどう感じるかの方が重要」という見城さんの言葉です。
自分のために本を読んでいるのに、記事を書くときは読んでいる人向けなんて、傲慢ですよね。(本と人をつなぎたいという大層なことを考えていました)
読者に向けて書いているのは著者なので、読者である私がそのように書く必要はありません。
本に関する記事を読んでいて、私が感じるのは、
- 要約よりその人自身の感想の方が面白い
- 本文を引用して、同調に徹している(※)ことに違和感を抱く
ということです。
(※)特に、自分はわかってたかのように書いてある場合です。著者の言葉を自分の言葉のように使って、本の内容を記事の読者に説明しています。著者でないのにどの立場から言っているんだろうと感じますし、私もそういう書き方を見直します。
今後の記事は、
- 前半=要約(本の紹介)
- 後半=私の感想
にします。
本書を読んで、現実と戦う武器(=記事の書き方)を一つ得ることができました。
調べた言葉
- 市井:人が集まり住むところ
- ペダントリー:知識や教養をひけらかすこと
- 耽溺:(良くないことに)夢中になって、他を顧みないこと
- 香炉(こうろ):香り成分を発散させる目的で用いる器
- アクチュアル:現実に直面しているさま
- 手負い:攻撃を受けて傷を負うこと
- 訣別:きっぱりと別れること
- 蕩尽(とうじん):財産を湯水のように使い果たすこと
- アウフヘーベン:あるものを、そのものとしては否定しながら、別のもので活かすこと
- エピゴーネン:模倣者。亜流