勝ちを目的にしない生き方
著者の梅原さんは、プロゲーマーです。
小学生の頃から、ゲームへの意識が並外れていました。
唯一の存在だったゲームを諦めたら、続けることをやめたら人生が終わる。
同級生でサッカーをする人が増えても、一人でゲームを続けます。
俺は部活もしなければ勉強もしない、代わりにゲームをしている。それならば他の人間が部活や勉強に注いでいるのと同じくらいの、いいや、それ以上のやる気と情熱を持ってゲームに向き合わないと、あまりにも格好悪いじゃないか。
梅原さんは17歳で世界一の称号を得ます。
その後、何度もチャンピオンになるのですが、23歳でゲームを離れます。
未来に絶望していたからです。
いつかゲームが認められる、その日のために僕は成長し続ける必要がある。人を唸らせるような考えを持っておく必要がある。
(中略)
ところが、状況は一向に変わらなかった。(中略)「俺はゲームで何かを人に伝えることはできないんだ……」と諦めた。
その後、雀荘でバイトしながら、3年間麻雀に取り組み、トップレベルになります。
しかし、麻雀も辞めてしまいます。
やり続けても結局、ゲームをやめざるを得なかった状況と同じく、長くやればやるだけ、絶望的な状況でやめざるを得なくなる日が来るのではないかという疑念だった。
そして、介護士として働きます。
人の役に立つ仕事をして、人の役に立つ仕事をしている人と触れ合うことで、僕にも生きる希望が湧いてくるかもしれないと思い込んでいたような気がする。
(中略)
次第に向上心も芽生えてきた。
介護の仕事にはどんな資格があるのかな? そうやって上を見るようになっていた。
ゲームで世界一、麻雀でもトップクラスになったのに、
そこを捨てて、全く知らない介護業界に飛び込む梅原さん。
格好良すぎます。
その後、ゲームの世界に戻ってくるのですが、
介護業界にいたとしても、トップクラスになったんだろうと想像ができます。
それはなぜか。
勝ちを目的にしていないからです。
梅原さんは日々の成長を重要視しています。
世界大会の勝利より、日々の努力のなかで出会えた大きめの発見の方が遥かに嬉しい。
(中略)
大きな変化、大きな成長を求めると、それを得られなかったとき、モチベーションが低下してしまう。だから1日1日、少しの変化で満足できる自分でありたい。継続することが大切だと感じる自分でありたい。
(中略)
日々努力を重ねて、日々成長を感じる。そうすれば毎日が楽しい。いつか来る大きな幸せよりも、毎日が楽しい方が僕には遥かに幸せなことだ。
努力の適量を考えるときは、
その努力は10年続けられるものなのか?
そのくらいがちょうどいいと、梅原さんは言います。
調べた言葉
- 倦む(うむ):飽きる
- 万感:一瞬で心に浮かぶ様々な感情