読解力を上げる勉強法
本書は、大学受験向けの参考書です。
私は社会人ですが、文章の読解力を上げたいので、手に取りました。
スポーツでも、勉強でもそうですが、何にでも「正しい方法」というのはあります。(中略)まずは「正しい基本」をしっかり身につけることが先決です。
文章を正しく読むために必要なことが、2つあるそうです。
- 知識
- 文の構造把握
1の知識について、重要な語句を知らなければ読解できませんので、
知らない言葉は、辞書を引いて覚えるしかありません。
2について、文の構造を把握するとはどういうことでしょうか。
船口さんは言います。
筆者は「読者にわかってほしい」と思いながら文章を書いています。ということは、必ず「本文の重要部分を強調する書き方」をしているはずです。その重要部分を見抜いて、本文を「重要部分」と「肉づけ部分」に区分していくことを「文構造を把握する」と言います。
文構造をつかむためには、3つのポイントがあるそうです。
- 「抽象⇔具体」の流れを押さえる
- 「対比」に注目
- 「並列(また)・添加(加えて)」は必ずチェック
具体的には、
- 文中に「例えば」が出てきたら、「抽象から具体の流れ」を把握する
- 「一般的に」が出てきたら、「筆者の主張との対比」を把握する
- 「一方」が出てきたら、「並列関係」を把握する
文の構造を把握できれば、その本の要旨の理解が深まるでしょう。
「例えば」から始まる文は、抽象的なものをわかりやすくする説明するために、具体例を挙げています。
なので、直前の抽象的な内容を理解できていれば、読む必要はありません。その分、読むスピードが上がります。
文章をなんとなく読んでいる人、読解力を上げたい人におすすめです。
逆接の接続詞の後が重要な理由
「しかし」や「だが」の後は重要だと言われます。
なぜ、逆接の接続詞の後に重要なことが書かれるのでしょうか。
船口さんは言います。
筆者は「自分独自の意見」つまり「他人とは違う意見」があるから本を書くわけです。そうすると、当然結論は一般論の逆が多くなるということになります。
ですから、「しかし」や「だが」のような「逆接の接続語」は結論を導く言葉として注意しておきましょう。
文章の流れが、
- 一般論
- 逆接の接続詞(しかし、だが)
- 筆者の意見(一般論と対立)
なので、逆接の後が重要だということですね。
なんとなく読んでいる文章を、ポイントに着目して読めば、
文の構造をつかみ、読解力の向上につなげることができます。
学生時代より社会人の方が、読まなければならない文章は多いです。
短時間で文章の内容を把握するために、本書を活用できそうです。
調べた言葉
- 意匠:作品を作るときの創意や工夫
- 標榜:主義・主張を公然と掲げ示すこと
- 検束:行動を抑制して自由にさせないこと
- 世知:世渡りの知恵
- 野暮:人情の機微がわからないこと
文章を論理的に読みたい方は、『田村のやさしく語る現代文』がおすすめです。
感想はこちら。