いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『働くことがイヤな人のための本』中島義道(著)の感想【仕事に生きがいがない人に】

仕事に生きがいがない人に

本書は「仕事に生きがいを見出せない人」との対話形式です。

例えば、

  • 引きこもりの25歳学生
  • つまらない仕事にしがみついている40代サラリーマン

著者の中島さんは、仕事における成功に導くわけでも、ゆったりした自分らしい生活を提案するわけでもありません。

人生とは「理不尽」のひとことに尽きること。思い通りにならないのがあたりまえであること。(中略)社会に出て仕事をするとは、このすべてを受け入れるということ、その中でもがくということ、その中でため息をつくということなのだ。

努力しても報われないことはあるし、だらだら過ごしていても突然良い知らせがくることはあると言います。

中島さんも、かつて特定の仕事をしなければいけないのか思い悩んでいました。

  • 銀行業:お金の貸し借りをして過ごす意味がわからない
  • 旅行業:シーツを洗濯したり、料理を作ったりして過ごす意味がわからない
  • 車の営業:車を売ることに精を出して過ごす意味がわからない
  • 仕事:仕事に一喜一憂して人生を送り、死ぬことの意味がわからない

だからといって、働いていない自分を正当化することは、現実を直視しない卑怯な態度につながります。

中島さんは、引きこもりの学生に言います。

どうにか耐えられそうな職場を見つけて、とにかく働きだすことだよ。そうすれば、否でも応でも人間関係のうちに入ることになる。その中で自分を鍛えることだよ。そうしながら、自分の目標を実現することをあらためて考えてみるのだ。

組織を離れたいのにつまらない仕事にしがみついているサラリーマンに言います。

私は、凡人にとって組織から離れて生きることの厳しさを強調したい。凡人は、組織から離れて僻みなしに晴朗に生きることができるほど強くはないことを言っておきたい。

働きたくない人、仕事に生きがいがない人におすすめです。

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

 

仕事に生きがいがなくていいか

生き方について、中島さんは言います。

どんな生き方でもいい、ただ何かしたいことを自分のうちで確認できれば、そしてそれが本物であれば、しかもそれを続けられる場が与えられれば、その人は幸せだということだ。

  • 本当にしたいことがある
  • それを続けられる場がある

それらがあれば幸せだということです。

必ずしも、仕事に生きがいがなくてもいいのかもしれません。

仕事以外に生きがいがあれば、仕事はお金を得る手段と割り切って、仕事以外の時間を充実させればいいでしょう。

私は、仕事を最低限で切り上げ、仕事以外の時間を充実させています。

ですが突き詰めると、仕事をお金を得る手段でいいと割り切れていません

傲慢ですが、仕事にも生きがいがほしいです。

人生の大半を占める仕事に、生きがいがなくていいとは思えません。

凡人にとって、組織を離れるのは困難です。

組織にいながら、どうすれば生きがいを見出せるかを模索する必要があります。

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

 

調べた言葉

  • 自己欺瞞:自分で自分の心をあざむくこと
  • 炯眼(けいがん):鋭い洞察力をもつ目
  • 汲々(きゅうきゅう):一つのことにとらわれ、それだけにつとめるさま
  • 棄却:捨てて、取り上げないこと
  • 晴朗:空が晴れてのどかなこと
  • 色めき立つ:興奮・緊張の様子がみなぎる
  • 虚心坦懐:わだかまりがなくさっぱりとした心
  • 妙味:すぐれた味わい
  • 相貌:物事の様子
  • 貧寒(ひんかん):貧しくて、さむざむとしていること
  • 剛毅:意志が強く、物事に屈しないこと