いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『子どものための哲学対話』永井均(著)の感想【人間は遊ぶために生きている】

人間は遊ぶために生きている

本書は、ヒト(読者)とネコ(著者)の対話形式です。

何のために生きてるか」という疑問を持つヒトに、ネコは「遊ぶため」と答えます。

「遊ぶ」っていうのはね、自分のしたいことをして「楽しむ」ことさ。そのときやっていることの中だけで完全に満ちたりている状態のことなんだよ。そのときやっていることの外にどんな目的も意味も求める必要がないような状態のことなんだ。

ネコの言う「遊び」は、

  • 自分のしたいことをして楽しむこと
  • やっていることだけで満ちたり、他に目的や意味を求める必要のない状態のこと

です。

例えば、起きる時間も寝る時間も自由、外に出かけることも家で読書することも自由。

素敵な生活ですね。

残念ながら私はそう生きられてはいません。

生活費を稼ぐためにやりたいとは思わない仕事をし、

読んでくれる方がいるからこの記事を書いています(アクセスが0だったら書かないでしょう)。

本を読むのは、本の内容を活かそうとか、感想を書こうとか、目的があります。

では、ネコの言う「遊び」に該当するものを考えると、

  • 食欲、睡眠欲、性欲を満たす
  • 知識をつける(読書、動画、会話など)
  • 娯楽(ゲーム、アニメ、映画、旅行、会話など)

上記だけで生きていけたらいいとは思います。

ただ、阻むものは「金」です。

仮に私に5億円あれば、一生遊んで暮らせます。やりたいことをして、それ以外に目的や意味を見出さず生きられます。

「遊べる」のは、将来の食い扶持に心配のない大人や子どもだけでしょう。

「遊び」以外にも、ネコの言うことは理想です。

例えば、

  • 存在しているだけで、満ち足りている
  • 人間は、自分をわかってくれる人がいなくても生きていける

などです。

私は存在だけで満ち足りることはできませんし、自分をわかってくれる人がいなくても生きていけると思えません。

本書で救いなのは、ネコ(著者)が言う、本の意味はそれぞれ違っていいと認めてくれるところです。

この本のほんとうの意味っていうのは、この本の読者ひとりひとりにとって、それぞれちがっていていいのさ。だいじなことは、自分で発見するってことなんだ。もし自分でなにかが発見できたなら、それがほんとうの意味だったんだよ。

これがなければ、「遊ぶ」ために生きられていないことや、意味付けしないと行動できないことを、責めていたかもしれません。

自分なりに意味を発見することで、「遊ぶ」ために生きられていない自分を、認めることができそうです。

ネコ(著者)の言うことをすべて正しいものとして受け入れる必要はないのでしょう。

「生きる意味」や「考えること」について、考えたい人におすすめです。

子どものための哲学対話 (講談社文庫)

子どものための哲学対話 (講談社文庫)