勝つために諦める
高校生の為末さんは、
- 100m
- 200m
- 400m
の陸上選手でした。すべて全国トップクラスです。
ですが、インターハイで監督が100mのエントリーを取り消したことをきっかけに、
- 400m
- 400mハードル
に、競技を絞ります。
なぜなら、
400メートルハードルでメダルを狙うほうが、100メートルで狙うよりよほど現実味がある
と、思ったからです。
400メートルハードルをやりたかったから100メートルを諦めたわけではない。初めて世界の舞台を見て、ここで勝ってみたいと思ったのだ。しかし100メートルにこだわっているかぎり、それは絶対に無理だと思われた。
世界で勝つために、100mを諦め、勝算のある400mハードルに移りました。
100mを諦めたのは、勝つ手段を諦めただけです。勝つ目標は諦めていません。
その結果、世界陸上の400mハードルで銅メダルを獲得します。
世の中には、自分の努力次第で手の届く範囲がある。その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲がある。 努力することで進める方向というのは、自分の能力に見合った方向なのだ。
自分の能力に見合った方向を見極めるには、
勝ちたいから努力をするよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。
為末さんは、物心ついたときから足が速かったそうです。
勝つと褒められる。だからもっと練習して、もっと速くなろうとする。するとどんどんタイムがよくなっていく。才能があるから努力することが苦にならない、(中略)僕に走る才能があったから、そういう好循環が生まれた。
才能ありきの努力ですね。
勝利を目標にした場合、自分の得意なことを伸ばすのが良さそうです。
その点、小中学校の授業科目は、理にかなっていると思いました。
国語、算数(数学)、理科、社会、英語、美術、技術、音楽、体育、家庭科etc.
一通り勉強して、さしたる努力をすることなく勝てるフィールドを伸ばし、だめだったものは、仕方ないと諦めればいいのでしょう。
人生にはどれだけがんばっても「仕方がない」ことがある。でも、「仕方がある」こともいくらでも残っている。
社会人の私にとって、「仕方がある」ことは何かと、考えました。
本を読んで感想を書くことは、続いています。
感想を書いたからってお金を貰えるわけではありません。好きだから続いています。
誰かと比較して勝ち負けなどはないですが、書き終わったときの達成感はあります。
本を読めた、感想を書けたという、自己満足です。
自己満足ですが、人生を楽しむ手段になっていますから、「仕方がある」ことだと思います。
楽しくなくなったらやめればいいと、気が楽になりました。
調べた言葉
- 卑近:通俗的でなじみ深いこと
- 軽重(けいちょう):重さの度合い、価値の度合い
- 厳然:重々しく、動かしがたいさま