いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『諦める力』為末大(著)の感想【勝つために諦める】

勝つために諦める

高校生の為末さんは、

  • 100m
  • 200m
  • 400m

の陸上選手でした。すべて全国トップクラスです。

ですが、インターハイで監督が100mのエントリーを取り消したことをきっかけに、

  • 400m
  • 400mハードル

に、競技を絞ります

なぜなら、

400メートルハードルでメダルを狙うほうが、100メートルで狙うよりよほど現実味がある

と、思ったからです。

400メートルハードルをやりたかったから100メートルを諦めたわけではない。初めて世界の舞台を見て、ここで勝ってみたいと思ったのだ。しかし100メートルにこだわっているかぎり、それは絶対に無理だと思われた。

世界で勝つために、100mを諦め、勝算のある400mハードルに移りました。 

100mを諦めたのは、勝つ手段を諦めただけです。勝つ目標は諦めていません

その結果、世界陸上の400mハードルで銅メダルを獲得します。

世の中には、自分の努力次第で手の届く範囲がある。その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲がある。 努力することで進める方向というのは、自分の能力に見合った方向なのだ。

自分の能力に見合った方向を見極めるには、

勝ちたいから努力をするよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。

為末さんは、物心ついたときから足が速かったそうです。

勝つと褒められる。だからもっと練習して、もっと速くなろうとする。するとどんどんタイムがよくなっていく。才能があるから努力することが苦にならない、(中略)僕に走る才能があったから、そういう好循環が生まれた

才能ありきの努力ですね。

勝利を目標にした場合、自分の得意なことを伸ばすのが良さそうです。

その点、小中学校の授業科目は、理にかなっていると思いました。

国語、算数(数学)、理科、社会、英語、美術、技術、音楽、体育、家庭科etc.

一通り勉強して、さしたる努力をすることなく勝てるフィールドを伸ばし、だめだったものは、仕方ないと諦めればいいのでしょう。

人生にはどれだけがんばっても「仕方がない」ことがある。でも、「仕方がある」こともいくらでも残っている

社会人の私にとって、「仕方がある」ことは何かと、考えました。

本を読んで感想を書くことは、続いています。

感想を書いたからってお金を貰えるわけではありません。好きだから続いています。

誰かと比較して勝ち負けなどはないですが、書き終わったときの達成感はあります。

本を読めた、感想を書けたという、自己満足です。

自己満足ですが、人生を楽しむ手段になっていますから、「仕方がある」ことだと思います。

楽しくなくなったらやめればいいと、気が楽になりました。

諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない

諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない

  • 作者:為末 大
  • 発売日: 2013/06/06
  • メディア: Kindle版
 

調べた言葉

  • 卑近:通俗的でなじみ深いこと
  • 軽重(けいちょう):重さの度合い、価値の度合い
  • 厳然:重々しく、動かしがたいさま