東大生集団わいせつ事件
現実の事件をもとにした小説です。
主要人物は2人。
- 加害者の東大生「つばさ」
- 被害者の女子大生「美咲」
美咲は、偏差値48の大学に通っています。タイトルの「頭が悪い」彼女です。
彼女は、計算高い女性には見えません。東大生に対して、素直に「すごい」と言える女性です。Gカップの胸を強調させる服装をしているわけでもありません。
オクトーバーフェスタで、加害者の東大生、つばさと出会います。
お互い別のサークルでの集まりでしたが、席が隣同士でした。
つばさと美咲は酒を飲んで意気投合し、二人で抜け出します。ノリで水上バスに乗り、ホテルで一夜を共に過ごしました。
美咲は、つばさに恋愛感情を抱いていました。やっと私にも白馬の王子様が現れた、と。
つばさも、この瞬間は美咲に好意を抱いていたように思えるのですが……
その日以降、つばさはセックスをしたいときに美咲を呼ぶ程度です。それでも美咲は、つばさに会いたいので、誘いに応じます。
事件の日、つばさを含む東大生のサークルの飲み会に、美咲が呼ばれます。
東大生たちに勧められ、美咲は酒を飲みます。酔っ払って、つばさとタクシーに乗り、東大生の一人が住むマンションへ行きます。
マンションで美咲は、服を脱がされ、胸を揉まれ、蹴られます。なんとか部屋から逃げ出し、警察へ逃げ込みました。
事件後、美咲は自宅で塞ぎ込みます。
事件が報道されるや、東大生への非難はもちろんですが、男の家に行った美咲にも非があるという批判がありました。
美咲は、少しでいいからつばさと二人で話したかっただけでした。
あの一夜だけは、かわいく思ってくれた?
つばさに訊きたかった。うん、と答えてほしい。お世辞でいい。私、あの夜はとっても幸せだったの。
それが叶うことはありませんでした。
彼らは美咲を強姦したのではない。(中略)彼らは彼女に対して性欲を抱いていなかった。
彼らがしたかったことは、偏差値の低い大学に通う生き物を、大嗤いすることだった。彼らにあったのは、ただ「東大ではない人間を馬鹿にしたい欲」だけだった。
強姦の有無によらず、東大生たちの行為は罰せられます。
それに、美咲が逃げなければ強姦に至ったと思います。Gカップの胸をあらわにして、揉みしだいているのですから、勃起はしてるでしょう?
一方で、美咲は頭が悪すぎました。
- 振り向いてもらえないと知りながら、つばさを追いかけすぎている
- 東大生たちを不起訴にする条件が「東大退学」
1について、「諦めて次」と思えないくらい、つばさが良い男には見えません。が、恋に恋してしまった美咲は、感情を抑えられないのでしょう。
2について、「東大退学」を不起訴の条件にするより、大金をぶんどって、素知らぬふりしてのうのうと生きていけばいいのにと思いました。美咲には難しいですね。
つばさと美咲、二人の感情が描かれるので、欲望、痛み、嫌らしさがバシバシ伝わってくる作品です。
感想②はこちらです。
調べた言葉
- 至便:非常に便利なこと
- 相好(そうごう)を崩す:にこやかな表情になる
- 目端が利く:機転が利く
- 乾坤一擲(けんこんいってき):運命をかけて、のるかそるかの大勝負をすること
- 業腹(ごうはら):非常に腹の立つこと
- 人を呪わば穴二つ:人を呪って殺そうとすれば、その報いで自分も殺されるから、掘るべき穴は二つ必要なこと
- 輔弼(ほひつ):君主などの政治を助けること
- 堂に入(い)る:物事に習熟している
- 息災:健康で元気なこと
- 芳紀(ほうき):女性の若くて美しい年ごろ
- 丁稚(でっち):職人や商人の家に奉公する年少者
- 蛇蝎(だかつ)の如く:蛇とさそり。人が恐れ嫌うものののたとえ
- 遍(あまね)く:広くすみずみまで
- 玉響(たまゆら):ほんの少しの間
- 下賜(かし):身分の高い人が金品をくださること
- 挙措(きょそ):立ち居振る舞い