良い意味でジャンク
カップ焼きそばを作る様子が、文豪たちの作風で、描かれます。
村上春樹風の「はじめに」から始まり、
- レイモンド・チャンドラー
- JK・ローリング
- 川端康成
- 相田みつを
- 西野亮廣
など、幅広いジャンルの方の作風を真似て、「カップ焼きそばを作る様子」が描かれます。
この本は軽く読んでははははと笑って、ページを閉じた瞬間にすべてを忘れるような本を目指して書かれた。
まさに目論見どおりです。
パラパラと読み進められますし、作風の元ネタを知っていると、クスッと笑える箇所も多々あります。
ただ、読み終わったときに何が残ったかというと……わかりません。
本書は、カップ焼きそばのようなジャンクフード本なのだと、結論付けました。
――美味いけど、毎日食べるようなものではない。
『文体練習』という本を参考にしているようなので、次はそちらを読みます。
その前に、私も便乗して「カップ焼きそばの作り方」を書いてみました。
カップ焼きそばの作り方
小腹が空いたので、電子ケトルに水を入れて、コンセントに差します。
お湯が沸くまで記事の続きを書こうとパソコンの画面をにらみますが、納得のいく一文が浮かびません。
思い付きの言葉を適当にキーボードを打っていると、きっかけをつかめた気がしました。
するとタイピング音に紛れて、「ポン」と、お湯が沸いた甲高い音。
邪魔するなと思いましたが、ケトルの音に食欲が再燃し、思考が停止します。
こうなったら仕方ないと、机を離れてキッチンへ向かいます。
容器のパッケージを外し、液体ソースとスープの粉を取り出して、お湯を注ぎます。
ふたの上で液体ソースを温め、この3分間が勝負だと、再度パソコンに対峙します。
ですが、先ほどのタイピングの勢いはどこへいったのか、空腹で何も考えられません。
スマホに手を伸ばし、Twitterを開きます。Yahoo!ニュースの芸能情報を、しょうもないと思いつつも、タップして記事を見てしまいます。
いつの間にか5分以上経っていました。溜息をついてキッチンに戻ります。
マグカップにスープの粉を入れて、カップ焼きそばに入れたお湯を注ぎます。
余ったをシンクに流し、カップのふたを開けると、コンソメの匂いを連れて、立ち込めた湯気が顔面にぶつかってきます。
液体ソースをまんべんなくかけて、割りばしで勢いよくかき混ぜます。案の定、麺は柔らかくなっています。ですがそれも悪くありません。
ソースの色が全体にわたったら、完成です。