いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『一億三千万人のための小説教室』高橋源一郎(著)の感想【自分にしか書けない小説を書く方法】

自分にしか書けない小説を書く方法

小説の書き方の本というより、小説に対する考え方の本です。

著者の高橋さんは、小説を書きたい人に向けて、

あなたが書かねばならない、あなたにしか書けない小説

を書くよう、言います。

小説を書くには「バカ」でなければならないそうで、

「バカ」は、なにも知らない。世界が、どうなっているかを。自分が、なにものであるかを。だから、知りたくなる。知りたくて、知りたくて、目を開く

無知を受け入れるだけの「バカ」ではなく、普通の人が感じない視点を持つべきだということでしょう

普通の人が素通りするところを、立ち止まって考えなければ、「バカ」で終わってしまいそうです。

世界を、まったくちがうように見る、あるいは、世界が、まったくちがうように見えるまで、待つ

小説を書くには、他の小説との差別化を図ることが、一番大切だと感じました。

小説だけに限らず、他との差別化は、世に出るものすべてに共通している気がします。

では、自分にしか書けない小説を書くにはどうしたらいいのでしょう。

高橋さんは具体的な方法を教えてくれます。

好きにならずにいられないものを見つけてください

それから、それをまねして、ください

何度も、何度も、読んでください。 読んで、読んで、それから、書き写してください

  • あなたが書かねばならない、あなたにしか書けない小説
  • 世界を、まったくちがうように見る
  • 世界が、まったくちがうように見えるまで、待つ

という一方で、まずは自分の好きなものの真似をするというのが、意外でした。

その次は、その文章で、それを書いた人の視線で、世界を見てくださいそれを書いた人の感覚で世界を歩き、触ってください

抽象的になり、難しくなりました。

好きな小説の文章や作家の視点で、自分の話を書くことだと、私はとらえました。

他人のものである感覚や、視線も、少しずつ自分の中に吸収され、自分の感覚や視線と混じり合い、新しい感覚や視線に変化していくでしょう。

私は、この感覚を体験したことはありませんが、

  1. 好きな小説や作家の視点を自分の中に取り入れることで、
  2. 自分が持っているものと混ざり合って
  3. 新しい感覚や視点が生まれる

ということだと理解しました。

他の作品をまねるという点で、本書には「小説家になるためのブックガイド」があります。全作品を読むべきと紹介されている作家は、

  • 太宰治
  • 芥川龍之介
  • 武者小路実篤
  • 小林秀雄
  • 片岡義男

です。

小説を書くにあたり、高橋さんは最後の助言をします。

自分のことを書きなさい、ただし、ほんの少しだけ、楽しいウソをついて 

自分にしか書けないのは、自分のことですが、「ほんの少しだけ、楽しいウソ」が入ることで、ユーモアが入り、読みやすくなるのだと感じました。