魅力的な図書館員とは
図書館の利用者にとって、魅力的な図書館員とはどんな方でしょうか。
魅力的な図書館員とは、まず目の前の利用者に真摯に対応し、利用者と資料との一期一会に立ち会うことをわが喜びとして、自らも成長する人ではないでしょうか。利用者のニーズに対して専門的なスキルと柔軟な想像力を働かせる図書館員の姿は、「図書館はこんなことまでしてくれた。また来てみよう」との信頼を呼び、時に利用者の潜在的な興味関心を掘り起こします。
私が図書館で主に行っていることは、本の貸し出し、つまり情報収集です。
その点で言えば、情報を網羅した図書館をつくれる図書館員が、私にとっては魅力的な図書館員です。
とはいえ、図書館員は、どのような情報を収集し、提供すればいいのでしょうか。必要とする情報は、利用者によって異なります。
利用者のニーズが何かを図書館員が把握し、ニーズを達成する方法を検討することは、重要かと思われます。
では、どうやってニーズを把握すればいいのでしょうか。
利用者が図書館員に直接質問すれば、図書館員はその質問に対応すればいいのですが、利用者が図書館員に質問をしないケースも想定されます。
例えば、利用者が資料を検索して求める情報がなければ、図書館員に相談することなく諦めるといったパターンです。
理由として、
- 利用者の相談に応じるサービスを知らない
- 図書館員への相談の仕方がわからない
- 図書館員の情報に期待していない
が考えられます。
私は以前、読みたい本があり、国会図書館の職員の方に相談したのですが、読みたい本を手に入れることができませんでした。
それどころか、自分で出版社に問い合わせるのはどうかと提案され、図書館側から出版社側に連絡をしていただけませんでした。
この経験から、今後私は、自分である程度調べてわからなかったら、図書館員に相談しても無理だろうな、と勝手に決めつけてしまう気がします。
もし、国会図書館の職員の方に相談したとき、真摯な対応をしていただけていたら、国会図書館の職員への信頼が生まれ、また相談してみよう、となったでしょう。
職員の方にしてもらいたかった真摯な対応とは、
- 国会図書館には納品制度があるが、納品されていない本もある理由の説明
- 納品されていない本を出版社に納品するよう国会図書館側から働きかけない理由の説明
です。これらの説明がなく、「納品されていないので出版社側に連絡するのはどうですか」では、図書館員の責務を果たさずに利用者任せにしているとしか思えません。
もし、私が利用者に応対することになったら、真摯な対応を心がけようと思いました。
仮に利用者の問題を解決できなくとも、できる限りのことをやれば、利用者に「図書館員はここまでやってくれた。また相談してみよう」と思ってもらえるかもしれません。
日々の相談に真摯に応じることで、利用者のニーズの把握につながる可能性はあります。ニーズの把握ができれば、ニーズを達成するためにどうすればいいか、検討できるでしょう。
図書館が地域のなかで信頼を勝ち取るためには、書籍の知識の提供だけではなく、コミュニティを巻きこんで市民に読書習慣を身につけていただいたり、図書館の利用者を増やしていく方法を市民とともに考えていく力が必要です。そこで求められる力が、コミュニティ・リーダーシップです。
(中略)
図書館司書という狭い資格の範囲にとらわれることなく、市民との協働によって信頼関係をつくる能力がコミュニティ・リーダーシップであり、その力を身につけられるように動くことです。
常日頃、利用者に真摯に対応することで、利用者との信頼関係をつくることができると、私は考えます。
図書館は利用者のために存在します。利用者のためにできることを、真摯に対応することで、信頼関係は少しずつ構築されるでしょう。
利用者と信頼関係を築くことができれば、図書館員として利用者に協力してもらいたいときに、力を借りることができ、コミュニティ・リーダーシップを発揮できると私は考えます。