いっちの1000字読書感想文

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第166回芥川賞受賞作発表、選評(2021年下半期)の感想

第166回芥川賞受賞作発表

2022年1月19日(水)、芥川賞の受賞作が発表されました。

砂川文次『ブラックボックス』

私の予想は当たりました。

受賞予想はこちらです。

選評

選考委員の奥泉光さんの会見は、NHKの記事からの引用です。

最終的に票を集めたのは砂川文次さんと九段理江さんの2作品で、九段さんは砂川さんに次いで評価を集めた。最後まで議論があり、ダブル受賞の可能性もあったが最終的に、砂川さんの作品が今回の芥川賞にふさわしいと皆さんの評価が集まった

九段理江さんの『Schoolgirl』が次点だったようです。しかもダブル受賞の可能性もあったとは。意外でした。

自転車配達員を主人公に据え、格差社会の中で底辺の方で生きる人物を描いたある意味で、現代のプロレタリア文学という評価もあった。古風なリアリズムで書かれていて、批判的な意見としては小説的な冒険や驚きのようなものが少ないという評価も一方ではあったが、他方で、古風なリアリズムを前提とした書かれるべき切実さが間違いなくにじみ出てくる小説だった

私は、主人公が格差社会の底辺の方で生きている人物だとは思いませんでした。

裕福とは言えませんが、自転車配達員としてある程度の給料をもらっていたようですし、20代ですし、底辺には感じませんでした。

また、小説的な冒険や驚きのようなものが少ないとありますが、

  • 主人公が突然刑務所に入っている展開
  • 刑務所に入って終わりではなく、その後の生活を描いていること

は、小説の冒険や驚きとして挙げられると思いました。

最後に、古風なリアリズムを前提とした書かれるべき切実さとありますが、書かれるべき切実さが何を示しているのかわかりませんでした。古風なリアリズムとも思いませんでした。

私の受賞予想は当たりましたが、

  • 選評で挙げられている内容
  • 私が予想や感想で書いた内容

に乖離がありました。ですので予想は当たりましたが、複雑な気持ちです。

『ブラックボックス』の感想はこちらです。