いっちの1000字読書感想文

平成生まれの社会人。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

漫画『なるたる』鬼頭莫宏(著)の感想【命は代替がきくから 命たりえるんだから】

命は代替がきくから 命たりえるんだから

「なるたる」とは、全12巻(新装版は全8巻)の漫画です。

「なるたる」は略語で、「骸なる星 珠たる子」のひらがな部分を抜粋した造語です。

  • 漫画の内容
  • 漫画の内容への感想

は省きます。私にはうまく説明できません。

「なるたる」は、しばしば鬱マンガ、グロマンガとして取り上げられているようです。

例えば、以下のような描写です。

  • ミミズの入った水を飲まされる中学生
  • 生首と骨だけにされた人間

ここに画像は載せませんが、なるたるを画像検索すればすぐにヒットするでしょう。

しかし、これについても私は興味ありません。

私が興味があるのは、以下2つです

  • 最終巻の最後のセリフ
  • 最終巻の作者のあとがき

最終巻の最後のセリフは、

命は代替がきくから

命たりえるんだから

最終巻の作者のあとがきは、

「かけがえのない命」。そんなモノに救いを求めていても先には進みません。
あなたがいなくても、たいして困りません。
自分がいなくても、まったく困らないでしょう。
だからこそ、無くてもよい存在だからこそ、がんばるのだと思うのです。

強烈です。その中でも以下について、考えました。

  1. 命は代替がきくのか
  2. あなた(私)がいなくても、たいして困らないのか
  3. 無くてもよい存在だからこそ、がんばるのか

まず、1「命は代替がきくのか」について。

個人の視点からしたら、「命は代替がきく」とは思えませんが、例えば社長の視点からしたら、一社員は代替がききます。

作中でこのセリフは、世界中のものや人を破壊した生物が、一人だけ残った主人公に向けて放った言葉です。

世界全体から見たら、「命は代替がきく」のは、確かにそうでしょう。

2「あなた(私)がいなくても、たいして困らないのか」も同様です。

一対一の関係であれば、「たいして困らない」とは思えませんが、あなた(私)と世界全体の関係であれば、あなた(私)がいなくても、たいして困りません。

私がいなくても、世界全体に何の影響も及ぼしません。

では、3「無くてもよい存在だからこそ、がんばるのか」はどういう意味でしょうか。

1(命は代替がきく)2(あなたはいなくてもたいして困らない)から続く言葉であれば、3無くてもよい存在だからこそ、そんなにがんばらなくてもよいでしょう」とつながりそうです。

ですが、鬼頭さんは、「無くてもよい存在だからこそ、がんばるのだと思うのです」と書いています。

無くてもよい存在なのにがんばるのは、なぜでしょう。

無くてもよい存在であれば、

  • がんばらない
  • がんばる

のどちらの選択をしても、大した影響はありません。

大した影響がないならば、自己満足の点で、がんばる選択をするのだと思いました。

無くてもよい存在なのだから、何したっていいんだから、頑張ってみようという選択です

私は、ピンとくる論理ではありませんでしたが、いかがでしょうか。

鬼頭さんのあとがきに、私なりの解釈として、以下のように付け加えました。

「かけがえのない命」。そんなモノ(耳障りのよい言葉、または漫画)に救いを求めていても先には進みません。
あなたがいなくても、(世界全体は)たいして困りません。
自分がいなくても、(世界全体は)まったく困らないでしょう。
だからこそ、(世界全体にとっては)無くてもよい存在だからこそ、(あなたや自分は)がんばるのだと思うのです。

()内を付け加えました。

  • 耳障りの良い言葉や漫画に救いを求めても、何も変わらない
  • あなたや自分がいなくても、世界全体は困らない
  • 世界全体にとって無くてもよい存在だから、あなたや自分はがんばろう

がんばったとしても、「無くてもよい存在」から「無くてはならない存在」に変わるわけではありません。

「無くてはならない存在」になるために、がんばるわけではないでしょう。

「自分のためにがんばる」ということだと、私は思いました。