3浪するほど情熱を注げるもの
主人公の女性が、東京藝術大学に、3浪して入学するまでの話です。
主人公が浪人時代、友人から、
いつまでそんなことしているつもりなの
と言われます。
主人公が東京藝術大学に行きたくて、と説明しますが、
みんな
もう次のステップに進んでるよ
と言われてしまいます。
私も、友人側の意見でした。みんなから遅れをとりたくありませんでした。
遅れをとりたくない私は浪人せず、現役で大学に入りました。
第一志望、第二志望の大学に落ち、後期試験で受かった大学に入学したので、どこか憂鬱でした。
仮面浪人(受かった大学に通いながら他の大学の受験勉強をすること)をしましたが、受験に落ちました。
主人公は、好きで浪人しているわけではなく、東京藝術大学に入れなかったから浪人しているだけです。
私のような、第一志望、第二志望というような大学の受け方とは全く違います。
主人公がラジオのお悩み相談コーナーにメールを出すと、パーソナリティと直接電話することになりました。
パーソナリティは言います。
俺は美大受験がどんなモノか詳しくは知らない
だが何年もその大学を受け続けるっていうのは物凄い情熱だよ
その熱意は必ず役に立つ
お前はこの試験のために今までやってきたんだろう
普通はそこまでできない
3浪してまで行きたい大学は、私にはありませんでした。
そこまで強い情熱を持てるものがあるのが、うらやましいです。
本書を読んでいると、3浪するほど情熱を注げるものは何かを考えざるを得ません。
今の私には、主人公のような情熱がありません。
- 読書
- ブログ
- 仕事
3浪するほどの情熱を持てていません。
情けないと思う一方で、情熱を注いだところで何にもならないと、諦めています。
どうにもならないなら、気楽にやった方が続くとすら思っています。
三浪での日々のその多くは……
大学に落ちたというトラウマとの戦いであった
私にとって、センター試験の重苦しい雰囲気は、もう二度と受けたくないと思わせるものでした。
それを4回も受けるなんて、精神力が持ちません。
主人公がカフェで勉強していると、年配の女性に声を掛けられ、雑談します。帰り際、女性に、
あなたに話しかけたのは
すごく真剣な顔をしていたからなの
私も若い時にそんな風になりたかったわ
と言われます。
真剣な顔で何かに取り組むのっていいです。
国会図書館に行ったとき、来館者からエネルギーを感じたことを思い出しました。
本書には、物語の面白さ同様に、主人公の人間性も出ていました。
例えば、
- 合格時に大学からもらう「芸大合格」の袋を、鞄にしまう(落ちた人を傷つけるかもしれないから)
- バイトの面接の一言目に、「本日はお忙しいところお時間を頂き有難うございます」と言う(それがバイト採用の決め手だったとのこと)
バイトの先輩や予備校の先生に応援してもらえるのは、主人公の人間性ゆえでしょう。
ちなみに、私も主人公同様、「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」のリスナーで、大いに笑わせてもらっていました。