特定の主題で人格を全否定しない
タイトルに惹かれて読みました。
「人生の結論」が書かれている本があるなんて。
著者の小池さんを、私は存じ上げなかったのですが、興味深い経歴の方でした。
小説家を目指しましたが断念しました。その後弁護士を目指しますが司法試験に三度失敗。農林省(現・農林水産省)、雀荘の店員や経営または雀ゴロ、外国航路の船員、ゴルフ場勤務等の職業を転々として30歳を過ぎて今の劇画作家という自分の職業を見つけました。
多様な仕事を経験されたようです。
ただ、「はじめに」を読んで、疑問が生まれました。
日本の大人の男には、『金を持ったに過ぎない子供』の男が多過ぎる。大の男の暇潰しが課金ゲームではいけないし、コーラで飯を食ってもいけないし、聴いているCDに握手券が付いていてもいけないのである。大人の男として扱われたいのなら、大人の男になれ。いつまでも、少年のフリは出来ないのだ
小池さんのTwitterで、一番反発が大きく、一番共感されたツイートだそうです。
こんなこと言われたら、私は反発しますね。
大の男の
- 暇潰しが課金ゲーム
- コーラで飯を食う
- 聴いているCDに握手券が付いている
別に良いじゃないですか。私は毎晩コーラで飯を食っていますよ。何がいけないのか、さっぱりわかりません。
では、大人の男になるにはどうすればいいのでしょうか。
本を読むことで知識を得て、旅に出て行動することで知識が知恵に変わる。人の悪口を言わないことは人格を表す。(中略) 成熟した大人になるためにまずやるべきことは、この三つではないでしょうか。
他人の悪口を言わない。気を付けてはいます。
「はじめに」のツイートで読むのを中断しようかと思いましたが、この人が考える「人生の結論」が知りたくて、最後まで読みました。
判断に迷ったら、人として美しいほうを選べ、というのが僕の人生の結論
小池さんは、人として美しいかどうかを判断する際の基準にしているようです。
例えば、
ただひたすらに電車でスマホをいじっている姿が美しくないの
確かにそれは思います。
電車でスマホはいじりがちですが、美しくは見えません。
でも私は、電車でスマホをいじろうが、本を読もうが、個人の自由だと思います。
ただでさえしんどい人生で、不得意なことに手を出す必要はないと決めています。すごく単純な人生の結論なのですが、そういう小さな人生のコツに気がつけば、随分と生きやすくなるものなのです。
不得意なことをしない。よく聞くことですが、私はできていません。
会社で勤めていると、不得意だからと言って逃げられません。
小池さんは作家だから仕事を選べるのでしょうが、平社員の私に仕事を選べる権利はありません。
仕事を選べる立場になるよう努力してないからだと言われそうですが、努力しても仕事を選べる立場になれるかわかりません。それに、上司たちは疲れているように見え、上司たちのようになりたいとは思えません。
斜に構えた感想になってしまいました。
新たな発見がなかったかというと、そうではありません。
良かった部分を2つ引用して終えます。
何か問題や嫌なことがあったとき、自分のせいか、他人のせいの二者択一ではなく、誰のせいでもないこともあると三番目の選択肢をつくって上手にあきらめるのは、少しでも楽に生きる人生のコツです。
自分か相手かを責めず、誰のせいでもない選択肢で諦めるのは、楽になりそうです。
ファッションに興味がある人から見れば、ダサい奴は全否定。クラシック音楽に興味がある人は、アイドルソングを聴く人なんて全否定。それでは人への理解は深まりません。ある視点から言えば嫌いだけど、別の視点から見ると、その同じ人物の好きな面が必ずあるものです。特定の主題によって、その人の人格を全否定しないことの大事さをいつも心の隅に留めておくべきなのです。
人の一面だけを見て判断しないよう気を付けます。