いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『熔ける 再び そして会社も失った』井川意高(著)の感想①【出所後もギャンブル依存症は止まらない】

出所後もギャンブル依存症は止まらない

本書は『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』の続編です。

前編の感想はこちら。

著者の井川さんは、大王製紙の会長時代、連結子会社から約55億円を借り入れた会社法違反で逮捕されました

借り入れた金も含め、カジノで負けた額は、総額106億8000万円

カジノから足を洗ったかと思いきや、出所後、再びカジノに行きます。

刑期満了を迎えた翌2018年、私は韓国のカジノ「ウォーカーヒル」で3000万円の種銭を9億円まで増やして勝ち逃げした

刑務所から出てきて、3000万円もの種銭を作れるところが、まず驚きです。

再びカジノに行き、9億まで増やし勝ち逃げするのも、前作とは違います。

刑務所に入って井川さんは変わったんだ、そう感じたのは束の間でした。

再び韓国のカジノに行ったとき、

9億円まで増殖したチップは、とうとうゼロになってしまったのだ。(中略) 「なあに、これとて私が9億円負けたわけではない。だって、最初に私がこのカジノに持ってきた現金は3000万円だったではないか私は9億円負けたのではない。負けた総額は3000万円じゃないか

確かに、最初の軍資金は3000万円です。しかし、株のような含み益ではなく、実際に9億円まで増やしたのですから、損失は9億円でしょう。

井川さんは根っからのギャンブル依存症です。会社の金を使わない(使えない)ので、逮捕されることはありませんが。

150万円が 23 億円まで増えたとき、なんでそこでギャンブルをやめないのか」と言いたいだろう。私の持論を聞いてほしい。そこでギャンブルをやめないからこそ、150万円を 23 億円まで増やせたのだ

23億円まで増やす必要があったのでしょうか。

私のような凡人にとっては、23億円に達する前に1億円で勝ち逃げしたいです。しかしそういう考えだと1億円に達しないのでしょうね。

150万円が300万円になったときに「これで車を買えるな」と思う人は、それ以上ギャンブルはやらない。300万円が1000万円になって「これでマンションの頭金が払えるな」と考える人は、そこで賭けをやめてしまう。私の場合、もし300万円になったら「次は1000万円だ」「次は2000万円だ」と終わりなき旅路を志向するギャンブラーにゴールはないすべての戦いは通過地点であり、人生のプロセスなのだ

格好よく聞こえますが、「終わりなき旅路を志向」なんて、愚かとしか思えません。

ギャンブラーのゴールは、破滅しかないでしょう。

ギャンブルするときは、

  • 勝ち逃げする金額
  • 負けて撤退する金額

を決め、強制力を働かせる他者と行く必要があると、つくづく実感します。

ギャンブラーにとって、井川さんは反面教師にふさわしいです。 

感想②はこちらです。