死にたくなる夜を乗り越える方法
又吉さんが、本や読書をもとに語ります。
タイトル「夜を乗り越える」は省略形で、省略しないと「死にたくなる夜を乗り越える」だと思いました。
死にたくなる夜を乗り越える方法の一つが、人を頼るです。
太宰治の自殺の理由が仮に金銭的問題なら、誰かを頼れば良かったのにと、又吉さんは考えます。
まわりに話して借りることもできたかもしれません。分割で払うこともできたかもしれません。本当に、その夜だけ乗り越えていたらと思います。
『斜陽』や『人間失格』のような傑作を書き上げたから自殺したという意見に対しては、
『斜陽』や『人間失格』を書いたがために小説が書けなくなりましたという小説を書けると思うんです。
確かにそうだと思うと同時に、読みたいと思いました。太宰治の小説では読めないので、又吉さんの小説で読みたいです。
例えば、
- 『火花』(と『劇場』)を書いたがために小説が書けなくなりました
- 3作目の『人間』は雑誌連載だから伸ばしましたが、きつかったです
- もう書きたいことなんてありません
という内容の小説。
又吉さんは、
その夜を乗り越えないと駄目なんです。
と自殺に批判的です。
では又吉さんは、どうやって夜を乗り越えるのでしょうか。
死にたくなるほど苦しい夜には、これは次に楽しいことがある時までのフリなのだと信じるようにしている。(中略)その瞬間が来るのは明日かもしれないし、死ぬ間際かもしれない。その瞬間を逃さないために生きようと思う。
死にたくなるほど苦しい夜に、次に楽しいことがある時までのフリだと信じられるのが信じられないです。強い方です。
死にたくなるほど苦しい夜とは、どんな夜でしょうか。
私の場合、
- 大学受験失敗
- 就職活動失敗
のとき、かなりダメージを受けました。
死にたくなるのは夜だけではありませんでした。
今は就職し、死にたくなるほど苦しい夜はありませんが、当時の私に、
死にたくなるほど苦しい夜には、これは次に楽しいことがある時までのフリ
と言われても、はあ、としか思えないでしょう。
親に言われても、又吉さんに言われても関係ありません。
私の場合、本当に苦しいときには、思想や考え方で楽になれないのだと思います。もう手遅れで、傷つくしかありません。
今の私なら、「お酒飲んで寝る」か「アニメに没頭する」でしょう。傷を麻痺させるために。
苦しいときは、文字など読めないし、誰かの意見を受け入れることはできません。
解決策は、問題自体の解決(例えば大学合格や就職内定)です。ただそれは難しい。
だから今日は酒を飲んで寝る。朝に、夜よりはすっきりした頭脳で考え、行動する。
夜を乗り越えるのは無理で、できるのは通過だけです。ジェットコースターの急降下で目をぎゅっとつぶるような感覚です。無理に手を挙げて叫ぶ必要はありません。
本や読書は何のためにあるのか、次回考えます。
感想②はこちらです。