いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『日曜日の人々』高橋弘希(著)の感想【自助グループの存在意義】(野間文芸新人賞受賞)

自助グループの存在意義

「日曜日の人々」とは、自助グループの冊子です

自助グループとは、悩みや問題を抱えた人たちが集まる場です。

冊子には、メンバーの個人的な体験が書かれています

  • 拒食症
  • 窃盗癖
  • 不眠症

など、自身の悩みや問題が書かれています。

メンバーが集まって語る場所は、マンションの一室。

会費は月2000円です。

運営費は、赤字続きでした。赤字は管理人が負担しています。

21歳の主人公は、従姉を自殺で亡くしました

従姉は、自助グループに入っていました。

主人公は、従姉の書いた「日曜日の人々」を読むため、自助グループに入会します。

「日曜日の人々」を読むには、グループに入会し、6か月経つ必要がありました。

主人公は、自助グループの活動に参加します。

グループのメンバーには、自殺に至る方がいます。

あるメンバーは、ファミレス店員に、

そろそろ閉店なので出ていって貰えますか

と言われ、自殺します。

なぜ自殺するのか、主人公には理解できません。

メンバーの一人は、

背景が積み上がっていれば、塵一つが動機に成り得る

と、言います。

自殺は連鎖します。

メンバーが自殺し続ける自助グループは、存続すべきなのでしょうか

前回、本書を読んだときの感想では、

病や悩みをグループのメンバーに話すことで一時的な安らぎを得るのではなく、専門職に治療してもらえることができれば、状況が変わる可能性はあります

と、自助グループを否定的に書いています。

詳しくはこちらです。

確かに、医療機関を受診した方が賢明でしょう。専門的な治療を受けられます。

しかし、問題や悩みを抱えた人が、医療機関を受診できるかはわかりません。

再読して、自助グループにも存在意義があると感じました。

医療機関には行けないけど自助グループには行ける、という人はいるでしょう。

医師は言います。

他者に何かを伝えることが救いになるんじゃないかな

他者が医者とは限りません。家族や友人に限りません。

同じような問題や悩みを抱えたグループのメンバーも、他者です。

自殺したメンバーは、早かれ遅かれ、自殺してしまったのだと思います。

メンバーの自殺が、残されたメンバーに影響を与えた可能性はあるでしょう。

しかし、最終的に自殺を選択するのは本人です。

他者の影響を受けた本人が、自殺を選択します。

「お前が死んだから私も死んだ」と、先に死んだメンバーを責めても仕方ありません。

それよりも、自助グループに所属し、他者に何かを伝えたことで、救いになったと思います。

確かに数人の死者を出しましたが、同時に多くの生者も生み出しました

自助グループでは、日常生活を送れるようになった人や、結婚して子どもができた人もいます。

ただ、

  • 生=正しい
  • 死=間違い

ではないと、私は思います。

生きる選択も、死ぬ選択も、自分で選んだなら良いと思います。

自助グループは、自分の生き方の選択に、役立っています。