いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『笑いのカイブツ』ツチヤタカユキ(著)の感想【夢を諦める前に】

夢を諦める前に

夢を諦める前に、読むべき本書。

本書を読めば、夢を諦めるべきかどうか、テストができます。

テスト「本書のツチヤさんより、努力しましたか?

  • YES:夢を諦めてもOK
  • NO:もうちょっと頑張ってもいいんじゃない?

シンプルなテストです。

ツチヤさんは、

  • 「ケータイ大喜利」でレジェンドの称号を獲得
  • ラジオ番組のハガキ職人
  • お笑い芸人の構成作家

その過程を書いています。

手に入れられたのは、等価交換だと言います。

凡人にとって、お笑いの能力はすべて等価交換でしか手に入らない

友人を失い、フリーターになり、無職になり、すべての時間、すべての思考、すべての想像力を、笑いへ等価交換し続けた結果、僕は一般社会では、到底生きていけるとは思えないくらいの、欠落人間になっていた。

確かに、ツチヤさんは、お笑い以外の仕事ができません。

お笑いに関しては、ストイックです。

朝から3階のフードコートで3時間、ボケ出しをして、昼過ぎには帰る。

(中略)出力ができない状態になると、今度は入力の時間が始まる。

入力するのは、

  • 小説、詩集、雑誌、漫画
  • 音楽
  • お笑い、バラエティー番組
  • 映画

僕の場合、そうやって吸収したものはすべて、笑いに変えて吐き出す。

(中略)水や食い物よりも、笑いの摂取と排泄。それが、僕にとって生きているということだった。

金がなく、バイトも続かないツチヤさん。

それでもツチヤさんを知る人は、ツチヤさんのことをうらやましがります。

例えば、刑務所に入ってた元知り合いには、

お笑いをやることによって、その退屈を倒せてんねん。(中略)10年くらい、それに没頭して、退屈を感じることなく、生きてきた時点で、俺からしたらうらやましいねん

付き合ってた彼女には、

一生懸命生きとるやん? 本気でやってるやん? 何もかも全部を捧げてるやん? だから、私はどんな金持ちよりも、どんな売れてる人よりも、どんな評価されてる人よりも、キミこそが、本物やと思うねん

ツチヤさんは、なぜここまで努力できるんでしょうか。

本人にとっては、努力とは思っていない気がします。

楽しいから。没頭できるから。

楽しくなければ、お金にならないボケを量産できません。

本気で笑いに取り組むツチヤさんですが、うまくいきません。

お笑いの能力よりも、先輩に取り入ったり社員に媚び売ったりする人間が、出世していることを知ります。

知り合いの元芸人に言われます。

人間関係を構築して、実績を作って、積み上げた後に、ようやくそれをやらしてもらえる職業やん? みんな、それをやってきとんねん。なんで、おまえだけが、それすっ飛ばして、笑いだけやらせろってことが通るねん?

この部分は、私にはわかりませんでした。

  1. 人間関係構築→面白いお笑い
  2. 面白いお笑い→人間関係構築

2のルートでも、面白ければいいじゃんと思うからです。

ツチヤさんは、面白いお笑いができても、人間関係構築ができなかっただけです。

人間関係構築を先にする必要はありません。

本書を読むと、ツチヤさんをうらやましく思います。

お金もなく、仕事もない人間なのに。

ツチヤをうらやましく思うなら、お前もそうなれるよう努力しろよと、声が聞こえます。

何かのカイブツの声です。