オムライスはオムレツの誤植か
感想①はこちらです。
ある一場面について、誤植なのか気になりました。
- 瞬
- 私
- 父
が、いる場面です。
瞬は、オムレツとオムライスを作ってます。
オムレツは自分用、オムライスは父用です。
料理ができた後、
瞬は父にオムライスをやるのが惜しくなってきて、自分で食べようかと思ったが、私がオムレツの皿を持つと瞬はオムライスのほうを持って、すたすたとリビングを横切っていく。
- 私:オムレツの皿
- 瞬:オムライスの皿
を持ってます。
皿をテーブルに置くと、父から、
どっちがオムライスや
と聞かれます。
瞬はさきほどの魂胆などすっかり忘れて、
「こっち」
左の皿を押し出す。
左の皿は、オムレツとオムライス、どっちか。
- 左半身:私(オムレツの皿を持ってた)
- 右半身:瞬(オムライスの皿を持ってた)
だとすると、左の皿はオムレツです。
ただ、父が対面に座ってた場合、父から見て左の皿は、オムライスです。
皿の位置とは別に、「瞬はさきほどの魂胆などすっかり忘れて」とあります。
「さきほどの魂胆」は、「瞬は父にオムライスをやるのが惜しくなってきて、自分で食べようかと思った」ことだと、考えられます。
それを「すっかり忘れて」るので、父にオムライスを渡してると、考えられます。
父がスプーンを皿から拾って、オムライスを口に放り込んだ。数口続けて口に入れたところで、
「食べ終わったら、駅まで送って」
瞬が突然切りだした。
父は、オムライスを口に放り込んでます。
父が数口続けて口に入れた後でも、オムレツじゃないかという指摘はありません。
父が食べたのはオムライスだと判断します。
私は握ってたスプーンを瞬に渡して
父が食べてるのがオムライスなら、私が握ってたスプーンは、オムレツの皿にあったスプーンです。
そのスプーンを瞬に渡してます。
スプーンは私から瞬への移動なので、左手から右手に移ったと考えられます。
そして疑問に思った文章。
瞬は(中略)オムライスをスプーンですくって口に放りこむ。ちょうどいい半生ぐあいで、口の中でよだれがジュワッと分泌されるのを瞬は感じて、
瞬が口に放りこんだのは、オムライスではなく、オムレツではないでしょうか。
- 瞬は父にオムライスをやるのが惜しくなったが、オムライスの皿を押し出す
- 父がオムライスを食べている
- 私はオムレツの皿を持っている
- 瞬は私からスプーンを受け取る
- そのスプーンで口に放りこむ
- 卵の言及だけで、米について何も書いてない
以上のことから、瞬が食べたのはオムライスではなく、オムレツだと思ったわけです。
とはいえ、瞬が、私から受け取ったスプーンで、父の皿にあるオムライスを食べた可能性もあります。
そうだとしたら、
- 瞬が父の皿に手を伸ばしてオムライスを食べたという記載
- オムライスを瞬に食べられたときの父の反応
があってもいい気がします。
なので、オムライスはオムレツの誤植なのかと、気になってしまいました。
引用元は、『新潮2024年5月号』です。