ミスターとは何か
感想①はこちらです。
タイトルにある「チームリーダー」は、主人公のことです。
主人公は会社の係長で、上司から、
頼むよ、チームリーダー
と言われてます。
上司に頼られる係長です。
では、「ミスター」とは何でしょう。
主人公のことでしょうか。
主人公は、「ミスター」とは呼ばれてません。
「ミスター」について、ボディビルで言及されてます。
ボディビルの大会では、階級制で優勝した者が立てる、無差別級のステージがあります。
無差別級のステージの優勝者が、「ミスター」と呼ばれるそうです。
毎年のように「ミスター東京」を輩出するという点で、従来、東京の「八十キロ以下級」はレべチだった。
主人公は、「八十キロ以下級」でしたが、「七十五キロ以下級」に変更します。
一つでも上の順位を目指すためです。
「ミスター」を目指すなら、「八十キロ以下級」で優勝し、無差別級を戦った方がよさそうな気もします。
とはいえ、「レベチ」の「八十キロ以下級」より、「七十五キロ以下級」で優勝して無差別級に出場するのが先決、という考えもあるでしょう。
今の主人公は、「ミスター東京」からは遠い場所にいます。
主人公は、ジムで「八十五キロ以下級」の優勝者、無差別級で3位の人を見ます。
そのトレーニング姿を見て、「ミスター東京」と、主人公は思います。
無差別級が3位なので、「ミスター東京」ではないのに、「ミスター東京」と思います。
この界隈におけるミスター云々は、どこまでも自分らだけのものだ。
主観的なもの、という意味でしょうか。
無差別級は3位でも、主人公から見たら「ミスター」に見えてしまうような。
では、「チームリーダー」として、主人公が「ミスター」と言えるのか。
- 職員をデブ呼ばわり
- 職員に向かって、この職場にいちばんいらないと言い散らす
など、パワハラやセクハラが過ぎます。
仕事のできると思ってた後輩には、辞められてしまいます。
人の体型を気にしないのは、自分の体型を気にしないことと同じだ。人のことにシビアになれなければ、自分のことにもシビアになれない。自分は、価値のある人間になりたい。人に優しいだけの人は、自分にだってそうにしかなれない。だからミスターなんだろ?
「だからミスターなんだろ?」にかかってるのが、「人のことにシビアになれなければ、自分のことにもシビアになれない」だとします。
ボディビルのミスターは、人の体型を気にしてるのでしょうか。
大会出場者の体型は気にしてるかもしれませんが、会社の同僚の体型までは気にしないでしょう。
人にシビアになってるのでしょうか。
自分にはシビアでも、人にシビアかどうかは関係ない気がします。
ボディビルのミスターになるにあたり、人にシビアである必要はないでしょう。
しかし、チームリーダー(係長)は違います。
チームで働く上で、人(同僚や取引先)にシビアになる場面もあるでしょう。
だからといって、体脂肪を減らすように人員削減することが良いとは限りません。
本作は、
- 会社の係長という組織のマネジメント
- ボディビルの大会に向けた減量という個人のストイック
を混在させた末路を示してるように感じます。
個人のストイックさを、組織のマネジメントに当てはめていったらどうなるか。
「ミスター・チームリーダー」は主人公のことだと言えます。
チームリーダーである係長の仕事で、ボディビルのミスターのようなストイックさをメンバーに求めすぎた、「ミスター・チームリーダー」。
いい意味ではありません。
面白おかしく書かれてるので、現実に存在するかは別ですが。