純文学新人賞の獲り方
文學界編集部が出した、文學界新人賞の電子書籍です。
新人賞を実施してる編集部が出してるので、貴重な情報です。
私は過去に文學界新人賞に送ったことがありますが、選考を通過したことはありません。
最近は送っていませんが、有益な情報はいただけました。
例えば、
文學界新人賞は伝統的に一次を編集部員が読んで、二次を下読み委員の方々にお願いしています。残してくださったものを三次以降、編集部で絞り込んでいく方式です。
一次を下読みに回すのではなく、一次は編集部で読んでるようです。
一次で落ちても、下読み委員の当たりはずれなんて、言い訳はできなそうです。
下読み委員のアンケート回答も参考になりました。
「こう書くべき」というより、「こう書いてはいけない」という勉強になりました。
自分の境遇に近い主人公が書きやすいのか、 平凡な会社員や怠惰な学生の日常を描いたものが多いです。そういうものを書く場合、似たような作品がいくつもあるなかから抜きん出るものがなければ上位の選考に進めない、と思ったほうがよいです。
- 平凡な会社員の日常
- 怠惰な学生の日常
これらはよほど抜きん出る自信がない限り、ありきたりな日常を描いた作品を、この賞に出すのはやめた方がよさそうです。
コンセプトやあらすじを簡単に説明できない小説のほうが好きです。社会的な主張がしたいのであれば小説以外のやりかたのほうが効果的ですし、三行で伝わるものに百枚を費やす必要もない。 あと中年以上の男性会社員が娘くらいの歳の女性にモテる小説はもう読みたくないです。
「中年以上の男性会社員が娘くらいの歳の女性にモテる小説」も書いてはいけないですね。
「コンセプトやあらすじを簡単に説明できない小説」は書くのが難しそうです。
では、どういう作品を書けばよいのでしょうか。
文學界新人賞を獲得し、飛躍した作家のデビュー作を繰り返し読んで、その文体やテーマ、物語の強度について詳しく分析してほしい。例えば吉田修一「最後の息子」(第84 回、97年)、絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」(第96回、03年)、沼田真佑「影裏」(第122回、17 年)など。
- 文体
- テーマ
- 物語の強度
を、先人の作品に学ぶのがよさそうです。
その上で、
- コンセプトやあらすじは簡単に説明できないものを書く
- 書きやすいからといって、自分のありきたりな日常は書かない
本作は書籍化されてないですが、Kindle Unlimitedで無料で読めました。
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