労働と仕事を切り分ける
事務と書かれた本が売れてるので、気になりました。
本書でいう事務は、事務職とは関係ありません。
では、事務とは何か。
事務のことを考える、というのは、つまりは、あなたが小さい頃から本心でやりたいと思ってることを実現するための方法
ただの自己啓発本ではありません。
著者の坂口さんの若い頃を題材に、具体的に何をするかが書かれてます。
坂口さんは、早稲田大学を卒業するも、就職しませんでした。
会社で働きたくなかったからです。とはいえ、何をするべきかもわかりません。
そこに、ジムというイマジナリーフレンド的存在が現れます。
構造だと、『夢をかなえるゾウ』のガネーシャ(主人公を導く存在)に似てます。
ジムは坂口さんを導きます。
できるだけ《労働》は切り詰めてください。《仕事》に支障がでるので。
労働と仕事を分けることに驚きました。私はどちらも同じだと思ったからです。
- 労働:お金を得るためにやること
- 仕事:自分のやるべきこと、使命
イメージでこんな違いでした。
坂口さんは、日給(24時間で)3万円の労働を月4日やり、12万円稼ぎます。
その他の時間で、仕事(執筆、作曲、絵画)をします。
生活費は労働で稼ぐので、仕事で稼がなくても問題ありません。
当たり前のように正社員で働いてる私は、労働を切り詰められてませんでした。
これではジムの言う仕事(自分のやるべきこと、使命)ができないわけです。
ジムは言います。
《事務》とは抽象的なイメージを数字や文字に置き換えて、《具体的な値や計画》として見える形にする技術です。
《具体的な値や計画》とは、お金やスケジュールの管理です。
- 今の生活
- 10年後の生活(将来の現実)
を見える化させます。
収入と支出、24時間のスケジュールを書き出します。
《将来の現実》に楽しくないことは1秒も入れないでくださいね。
10年後の現実には、楽しいことだけを書き出します。
《事務》の世界で確認することはただ一つ、あなたが継続していきたいことが、本当に《好き》かどうかです。
抽象的なイメージ(例えば作家になりたい)のままでは、漠然とした夢で終わってしまいます。
10年後の生活(将来の現実)として具体的に書くことで、現実が将来の現実に近づきます。
できないって言ってるのは技術的にできてないわけじゃなくて、設定した《事務》の《方法》が間違ってるってだけです。いつか本を書こうと思っていても書けませんが、明日から5時に起きて1日10枚書くと決めたら、どんな人でも書けるんです。
例えば、1日10枚書くというスケジュールなら、
- 5時起床、7時まで執筆
- 7時朝食、ごみ捨て、掃除、洗濯
- 9時~12時執筆
- 12時昼食、14時まで昼寝or執筆
- 14時~16時執筆or読書
- 16時夕食準備、風呂掃除
- 18時夕食、20時まで自由
- 20時入浴、22時まで自由
- 22時就寝
10枚書き終わるまで執筆します。
とにかく無駄な努力をするなと言うんです。好きなことだったらほっといてもどんどん上手くなるから、それだけやれと。
それでもだめだったとき、自分を否定すべきではないと、ジムは言います。
否定すべきは《己》ではなく、己が選んだ《方法》のみである。
事務を変えるわけです。
ここで、労働と仕事を分けてるのが、効いてます。
- 労働:生活に必要なお金を最小限の時間で稼ぐ
- 仕事:他の時間でやりたいことをする
労働で生活費を稼いでるわけですから、お金に困って仕事をやめてしまうことはありません。「生きのびる」ための事務です。
労働を切り詰めて時間を作り、後は好きなことをやります。
生きてる間にすることって、自分が何が好きなのかを探して、見つかったら、死ぬまでそれをやり続けるってだけです。それだけです、人生は。
ジムの名言が連発して刺さります。
大学卒業して就職しなかった坂口さんですが、作品はすでにできてました。
一つの作品をきっかけに、芋づる式につながります。
展開できたのは、坂口さんが流れに乗ったからです。
- 作品を人に見てもらう
- 人の勧めで出版社に作品を持ち込む
- 一人ターゲットを決めてプレゼンする
- 不要なものを売り、必要なものにお金をかける
- 信頼できる人の誘いに乗る
やるべきことは明確になりました。
- 労働を切り詰める(時間外労働しない、有給休暇を取る、楽な仕事への転職を検討)
- 仕事をする(作品をつくる)
ゆるっとした漫画で読みやすく、書かれてる内容はシンプルかつ具体的です。
著者自身の事例を用いて説明されてるので、わかりやすいですし、腑に落ちます。