いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『わからないままで』小池水音(著)の感想【選評を読んで】(新潮新人賞受賞)

選評を読んで 物語の章ごとに登場人物の人称が変わるので、読みにくさがあります。 例えば、1章で「父親」と書かれていた人物が、2章では「男」と書かれています。 章ごとに人称が変わることについて、選評で小山田浩子さんは、 効果よりもわかりづらさが勝…

『一億三千万人のための小説教室』高橋源一郎(著)の感想【自分にしか書けない小説を書く方法】

自分にしか書けない小説を書く方法 小説の書き方の本というより、小説に対する考え方の本です。 著者の高橋さんは、小説を書きたい人に向けて、 あなたが書かねばならない、あなたにしか書けない小説 を書くよう、言います。 小説を書くには「バカ」でなけれ…

『命売ります』三島由紀夫(著)の感想【死ぬのに疲れた主人公】

死ぬのに疲れた主人公 主人公が目を覚ますと、病院でした。 主人公は、自殺に失敗したことを知ります。 なぜ、自殺を図ったのかというと、 新聞の活字だってみんなゴキブリになってしまったのに生きていても仕方がない、と思ったら最後、その「死ぬ」という…

『完全な遊戯』石原慎太郎(著)の感想【胸糞悪いのか】

胸糞悪いのか ひどい話なのは確かです。 主人公と連れの男性が、夜中、バス停にいた女性を車に乗せ、車内でレイプ 部屋に連れて帰り、監禁し、他にも男を呼んで、輪姦 女性に飽き、帰る場所のない女性だとわかると、風俗店で働かせる 風俗の仕事ができないこ…

『文學界(2021年2月号) (創刊1000号記念特大号)』の感想【文學界と私/作家の節目】

文學界と私/作家の節目 本書の「エッセイ特集」では、第一線で作品を書いている作家の、 デビュー前 デビュー当時 の話が書かれています。 今や誰もが知る作家にも、苦労していた時代があったとわかります。 中でも、 宮本輝さんの「同人誌のころ」 吉田修…

『わがままロマンサー』鴻池留衣(著)の感想【性に奔放な夫婦】

性に奔放な夫婦 一文目から強烈です。 妻の機嫌を治すために、男と寝ることになった。 妻の機嫌を損ねたのは、主人公が隠れて浮気をしたからです。 主人公は、著者本人に近しい、純文学の小説家です。ゲイやバイではありません。 BL(ボーイズラブ)漫画家で…

『火花』又吉直樹(著)の感想②【結果が出ないことに挑戦すること】(芥川賞受賞、三島賞候補)

結果が出ないことに挑戦すること 感想①はこちらです。 主人公も、慕っていた先輩芸人も、大して売れません。 では、芸人をしていたことは無駄だったのでしょうか。 必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう? 一度しかない人生において…

『火花』又吉直樹(著)の感想①【人と違うことをせなあかん】(芥川賞受賞、三島賞候補)

人と違うことをせなあかん 売れない若手芸人である主人公が、同じく売れない芸人の先輩を慕います。 二人が出会ったのは、熱海の花火大会です。ビール瓶のケースで作った簡易な舞台で漫才をしますが、主人公のコンビは全くうけません。 先輩は、 仇とったる…

『踏切の向こう』高橋弘希(著)の感想【自殺した弟の代わり】

自殺した弟の代わり 男子高校生の主人公は、クリーニング屋で短期アルバイトを始めます。 そこで、主人公の志望大学に通う女子大生と出会います。 主人公が「英語が苦手」と話すと、その女子大生の家で、勉強会をすることになります。 彼女のアパートは、踏…

『草の上の朝食』保坂和志(著)の感想【会話、性欲、愛】(野間文芸新人賞受賞)

会話、性欲、愛 前作『プレーンソング』に退屈さを感じていたのに、続編である本書を手に取ってしまいました。 『プレーンソング』の感想はこちらです。 なぜ本書を読んだかというと、数々の文学賞を受賞し、後の作家に影響を与えている保坂さんの作品を、「…