いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹(著)の感想【トラウマは掘り返さなくていい】

トラウマは掘り返さなくていい 主人公(多崎つくる)は、高校時代の親友4人(男2人、女2人)に、絶縁されます。 大学2年生のときでした。 理由を明かされず、親友たちから連絡を閉ざされます。 その結果、主人公は、死ぬことばかりを考え、死の淵をさまよい…

『破局』遠野遥(著)の感想【選評を読んで】(芥川賞受賞)

選評を読んで 受賞前の芥川賞の予想では、二度読みましたが、受賞はないと予想しました。 歪な文章は、読んでいて不安になるし、 馬鹿げたような思想の垂れ流しがおかしかったからです。 例えば主人公の、 私はもともと、セックスをするのが好きだ。なぜなら…

『改良』遠野遥(著)の感想【読ませる文章】(文藝賞受賞)

読ませる文章 一気に最後まで読ませる文章です。 断片的に描かれる語りは乾いていて、 その断片が、のちに結びつくさまに、面白みを感じます。 例えば、小学生のときに通っていたスイミングスクールについて、 私は喘息持ちで、水泳をやらせると心肺機能が鍛…

『絶歌』元少年A(著)の感想②【元少年Aの「人を殺してはいけない理由」】

元少年Aの「人を殺してはいけない理由」 感想①はこちらです。 ――どうして人を殺してはいけないのか? もし元少年Aが、10代の少年に問われたら、以下のように答えると言います。 「どうしていけないのかは、わかりません。でも絶対に、絶対にしないでください…

劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編の感想【幸せな夢と残酷な現実】

幸せな夢と残酷な現実 映画はアニメの続編なので、先にアニメを見ました。感想はこちらです。 アニメは、1話から5話が好きでした。 弱い主人公が、もがき苦しみ、決して諦めず、努力の末に認められる姿に感動しました。 残念ながら、アニメの6話以降は、5話…

アニメ「鬼滅の刃」 の感想【主人公に同化する】

主人公に同化する 新参も新参です。 ジャンプ連載中にマンガを読んでいたわけでもなく、 放送中にアニメを見ていたわけでもありません。 映画の興行収入がニュースになるようになってから、そんなに話題なら映画を観ようと思いました。 しかし、映画はアニメ…

『オブジェクタム』高山羽根子(著)の感想【中学校別、スカートの長さ比較】

中学校別、スカートの長さ比較 『首里の馬』で高山さんが芥川賞を受賞した際、『オブジェクタム』で受賞すべきだったという人の声を、ちらほら聞きました。 それで、読んでみました。 結論から言うと、 『首里の馬』より良い作品だとは思いませんでした。 『…

『僕の人生には事件が起きない』岩井勇気(著)の感想【日常を楽しめる角度】

日常を楽しめる角度 ハライチ岩井さんの初の著書(エッセイ)です。 日常で起きる些細な出来事を、独自の視点で描きます。 起こる出来事は、本書のタイトルどおり、「事件」とは言えないものばかりです。 例えば、 久々の同窓会で、マウントを取ってくる同級…

『絶歌』元少年A(著)の感想①【心は揺さぶられた】

心は揺さぶられた 1997年、酒鬼薔薇聖斗と名乗る人物は、少女1人と少年1人を殺害しました。 犯人は、14歳の少年でした。その少年(元少年A)の手記です。 書かれているのは、 少年Aの生い立ち 犯行に至るまで(ナメクジ切断、猫殺しなど) 犯行(少年少女の…

『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』乗代雄介(著)の感想【感服しました】

感服しました 乗代さんの何がすごいって、 高校時代、模試でわざと間違った答えを書き、点数を下げていた 大学時代、教授から長文メール(あなたの文章に惚れ込んでいますという内容)をもらった ことです。そんな人がいるのかと、唖然としました。 1につい…

目標を持たないこと、何もしない言い訳

目標を持たない ある試験勉強をきっかけに、 本を読むこと ブログを書くこと を辞めていました。 読書やブログを書くことは、時間がかかるからです。 ですが、 試験勉強が終わってからも、以前のように、 本を読んだり ブログを書いたり できませんでした。 …

【野間文芸新人賞予想】第42回候補作発表(2020年)

野間文芸新人賞候補作発表 2020年10月1日、野間文芸新人賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2020年11月2日(月)です。 以下、候補作をまとめます。 『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』李龍徳 第38回の候補『報われない人間は永遠に報われな…

『星の子』今村夏子(著)の感想【いじめられない理由】(野間文芸新人賞受賞、芥川賞候補)

いじめられない理由 主人公は、中学3年生の女子です。 両親は、ある宗教を信仰しています。 きっかけは、主人公が幼い頃にできた湿疹でした。 両親がどんな手を尽くしても、湿疹は良くなりません。 損害保険会社で働く父親が、何気なく同僚に口にしたところ…

『猫を棄てる』村上春樹(著)の感想②【父親の期待に背くこと】

父親の期待に背くこと 感想①はこちらです。 村上さんの父親は、戦場で生き残りました。 戦争から戻った父親は、京都帝国大学で文学を学びます。 村上さんの母は、 あなたのお父さんは頭の良い人やから と、よく言ったそうです。 父親に比べ、村上さんは、 学…

『猫を棄てる』村上春樹(著)の感想①【父親との確執】

父親との確執 村上さんが、父親について語ります。 思い出すのは、日常のありふれた光景だと言います。 父親とのエピソードに、「猫を棄てたこと」があります。 村上さんが小学校低学年の頃、父親と一緒に海岸へ行き、猫を棄てます。 「かわいそうだけど、ま…