いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

第164回芥川賞受賞作発表、会見、選評(2020年下半期)の感想

第164回芥川賞受賞作発表 2021年1月20日(水)、芥川賞の受賞作が発表されました。 単独受賞です。 宇佐見りん『推し、燃ゆ』 推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 予想は、はずれました。 予想はこちらです。 『推し、燃ゆ』…

【第164回芥川賞予想】「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想編)」の感想

第164回芥川賞予想 1月20日(水)に第164回芥川賞、直木賞が決まります。 「文学賞メッタ斬り!スペシャル」は、受賞作の決定前に、どの作品が受賞するかを予想するラジオ番組です。 予想する方 大森望(書評家、SF翻訳家) 豊崎由美(書評家) 芥川賞候補作…

漫画『20世紀少年』浦沢直樹(著)の感想【原動力は嫉妬と復讐】

原動力は嫉妬と復讐 主人公が小学生のときに書いた「よげんの書」どおりに、なぜか日本は進んでいきます。 行き着く先は、世界滅亡。 世界滅亡の危機の元凶である「ともだち」の原動力は、嫉妬と復讐でした。 「ともだち」は2人います。 動機をそれぞれ、 1…

『うみべの女の子』浅野いにお(著)の感想【引きこもりなのに憧れる】

引きこもりなのに憧れる 主人公の男の子は、中学2年生です。 海辺の街に転校してきましたが、仲の良い友達はいません。 友達はいないのに、同級生の女の子に告白できる強さがあります。 振られてしまいますが、のちにその女の子から誘われ、体の関係を持ちま…

漫画『ぼくらの』鬼頭莫宏(著)の感想【鬱マンガで終わらない】

鬱マンガで終わらない 主要な登場人物が次々死ぬことから、鬱マンガとして有名です。 それに乗っかり、胸糞悪さを感じたり、鬱々したりだけでは、もったいないと思いました。 15人の少年少女は、知らない大人に誘われるがまま、退屈しのぎにゲームに参加しま…

『小隊』砂川文次(著)の感想【北海道がロシアから攻められる】(芥川賞候補)

北海道がロシアから攻められる 北海道がロシア軍に攻められます。 自衛隊に所属する主人公は、初めての戦闘で、部下を指揮しています。 迫りくるロシア軍に備え、主人公は、民間人の母子に避難するよう働きかけますが、うまくいきません。 どこにも身よりは…

『推し、燃ゆ』宇佐見りん(著)の感想【既視感のある通過儀礼】(芥川賞受賞)

既視感のある通過儀礼 推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。 で始まる物語は、勢いをそのままに、一気に駆け抜けます。 女子高生の主人公は、男女混合アイドルグループに所属する男性が、推しメンです。 推しが炎上し、 謝罪会見 グループ内選挙で推しが最…

『コンジュジ』木崎みつ子(著)の感想【ロックスターの配偶者】(芥川賞候補、すばる文学賞受賞)

ロックスターの配偶者 後半からの熱量が凄い作品です。 すばる文学賞の選評で、川上未映子さんは、 何よりもラストシーン。評価を忘れただ物語を読む者として深く胸打たれた と書いています。 主人公は11歳のとき、イギリスのロックバンドのボーカルに恋をし…

『旅する練習』乗代雄介(著)の感想【忍耐が限界を迎えると】(芥川賞候補)

忍耐が限界を迎えると 小説家の主人公と小学6年生の姪の、練習する旅です。 練習は、 主人公:風景を描くこと 姪:サッカーのドリブルとリフティング で、旅は、千葉の我孫子駅から鹿嶋市まで歩くことです。 姪は、歩きながらドリブルし、主人公が風景描写を…

『母影』尾崎世界観(著)の感想【純粋で繊細な言語感覚】(芥川賞候補)

純粋で繊細な言語感覚 主人公は、小学校低学年と思われる女の子です。 女の子の視点で語られるので、文章は柔らかく、読みやすいです。 部屋を区切るカーテンの手前で、主人公は、カーテンに映る影を見ています。 カーテンの向こう側では、母親はマッサージ…

2020年に読んで良かった本3選【小説】

2020年に読んで良かった本3選 2020年に読んだ小説で、良かった3冊を紹介します。 1『土に贖う』河﨑秋子(著) 土に贖う (集英社文芸単行本) 作者:河崎秋子 発売日: 2019/10/04 メディア: Kindle版 北海道で繁栄し、衰退した産業の歴史が描かれます。 描かれる…

『ふたりでちょうど200%』町屋良平(著)の感想【やさしい言葉でむずかしい内容】

やさしい言葉でむずかしい内容 『ふたりでちょうど200%』はパラレルワールドっぽい短編集です。 収録作品は、 『カタストロフ』 『このパーティ気質がとうとい』 『ホモソーシャル・クラッカーを鳴らせよ』 『死亡のメソッド』 で、『ふたりでちょうど200%』…

『10倍売る人の文章術』の感想【一文目を読んでもらうために】

一文目を読んでもらうために 文章を読むのは苦痛です。 私は小説を読むのは好きですが、基本的に文章を読むのは好きではありません。 例えば、新聞、雑誌、ビジネス書。それらを読むのは、情報を得るためです。 情報を得る手段について、文章を読むより、人…

『「山奥ニート」やってます。』石井あらた(著)の感想【働かないで生きる選択肢】

働かないで生きる選択肢 著者の石井さんは、和歌山の限界集落でニートをしています。 住んでいる場所は、最寄り駅から車で2時間かかる山奥の、廃校になった小学校の校舎です。 そこに、10代から40代の男女15人が住んでいます。 石井さんは、 浪人、留年、中…

『水と礫』藤原無雨(著)の感想【小説の外に広がる世界】(文藝賞受賞)

小説の外に広がる世界 磯﨑憲一郎さんは選評で、 小説とは、作者の思想信条や問題意識を披露する場ではないし、溜め込んだ苦悩を吐露するための媒体でもない、具体性を積み上げることで自らの外側に広がる世界を照らし出し、作品という形で現前させる言語芸…