いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『猫を棄てる』村上春樹(著)の感想②【父親の期待に背くこと】

父親の期待に背くこと 感想①はこちらです。 村上さんの父親は、戦場で生き残りました。 戦争から戻った父親は、京都帝国大学で文学を学びます。 村上さんの母は、 あなたのお父さんは頭の良い人やから と、よく言ったそうです。 父親に比べ、村上さんは、 学…

『猫を棄てる』村上春樹(著)の感想①【父親との確執】

父親との確執 村上さんが、父親について語ります。 思い出すのは、日常のありふれた光景だと言います。 父親とのエピソードに、「猫を棄てたこと」があります。 村上さんが小学校低学年の頃、父親と一緒に海岸へ行き、猫を棄てます。 「かわいそうだけど、ま…

第33回三島由紀夫賞受賞作発表(2020年)の感想

第33回三島由紀夫賞受賞作 2020年9月17日(木)に発表されました。 『かか』宇佐見りん(著)です。最年少での受賞だそうです。 かか 作者:宇佐見りん 発売日: 2019/11/14 メディア: 単行本 感想はこちらです。 正直、受賞するとは思いませんでした。 予想で…

『朝顔の日』高橋弘希(著)の感想【死に近づく妻を受け入れる】(芥川賞候補)

死に近づく妻を受け入れる 時代は戦時中、主人公の妻は、若くしてTB(肺結核)にかかります。 高台にある病院に入院しており、医師は、安静が第一だと言います。 安静というのは、身体も、精神も、静けさを保つことです。安静と善き眠り、栄養と清浄なる空気…

『送り火』高橋弘希(著)の感想【無意識な差別意識】(芥川賞受賞)

無意識な差別意識 主人公は、東京から青森に転校した、中学3年生の男子生徒です。 父の転勤による転校で、高校進学のときには、首都圏に戻れる予定です。 つまり青森は、一時的な仮住まいでしかありません。 転校先の中学校には、主人公含め、男性生徒は6人…

『モモ』ミヒャエル・エンデ(著)の感想【時間は命】

時間は命 「モモ」は主人公の名前です。 親や兄弟はいなく、町のはずれにある劇場跡に一人で住む、浮浪少女です。 モモは「相手の話を聞く」ことに長け、彼女のそばには人が集まります。 モモの話を聞き方は、 じっとすわって、注意ぶかく聞いているだけです…

『タイマイ異聞』古川真人(著)の感想【耳を傾けてしまう変わった話】

耳を傾けてしまう変わった話 「タイマイ」とは、ウミガメの一種である亀、 「異聞(いぶん)」とは、変わった話、珍しい話のことです。 「タイマイ」が関わる、変わった話です。 変わった話とはいえ、何か大きな出来事が起こるわけではありません。 酔っ払っ…

『読みたいことを、書けばいい。』田中泰延(著)の感想【誰にも読まれないんだから】

誰にも読まれないんだから 本書から学んだのは、 「誰にも読んでもらえないんだから、自分が面白いと思うことを書こう」です。 なぜなら、 よく文章指南の本には、「なにが書いてあるかが大切」という教えが書いてあるが、現実は違う。「だれが書いたか」の…

『人を操る禁断の文章術』メンタリストDaiGo(著)の感想②【心を動かす文章を書くために】

心を動かす文章を書くために 感想①はこちらです。 Daigoさんは、文章の役割について、 読み手を行動へと導いてこそ、初めて存在価値がある と言い、 行動に導く流れは、 読む→言葉に反応する→想像する→行動を起こす と言います。 文章を書くときのスタート地…

『死亡のメソッド』町屋良平(著)の感想【芸能ゴシップ記者と死ぬ演技がうまい俳優】

芸能ゴシップ記者と死ぬ演技がうまい俳優 主人公はシステムの営業をしていましたが、鬱症状をきっかけに1年ちょっとで辞め、芸能ゴシップ記者になります。 芸能ゴシップ以外にも、 俳優のエキストラ YouTuber ダンス をしています。 主人公が俳優のエキスト…

『海がふくれて』高橋弘希(著)の感想【海辺に住む高校生の夏休み】

海辺に住む高校生の夏休み 主人公は、浜辺の街に住んでいる、17歳の女子高生です。 付き合っている彼氏は、同じ高校で、近所に住む幼なじみです。彼に面と向かって「好きだから付き合って下さい」と言われ、主人公は恋に落ちました。 幼少期から殆ど毎日顔を…

『宿酔島日記』古川真人(著)の感想【酔いつぶれる小説家の日常】

酔いつぶれる小説家の日常 主人公は、兄と同居する小説家です。 年齢は30歳過ぎで、古川さん本人に近いですが、あくまで小説です。 主人公がなぜ日記を書くのかというと、 二日酔いのひどいとき、なにもできずに一日を漫然と送る言い訳として、「余は如何に…

『東京貧困女子。』中村淳彦(著)の感想②【彼女たちはなぜ躓いたのか】

彼女たちはなぜ躓いたのか 感想①はこちらです。 本書のサブタイトルに、「彼女たちはなぜ躓いたのか」とあります。 つまずいた先が、貧困です。 貧困は犯罪や売春に直結している。 なぜ、貧困女子になってしまったのでしょう。 転落する原因は親が低収入、親…

『東京貧困女子。』中村淳彦(著)の感想①【貧困女子を反面教師に】

​貧困女子を反面教師に 貧困女子への救いはありません。 貧困から抜け出すのは無理でしょう。 国や自治体、社会の責任にしたところで、何も変わりません。 システムの変革を待っていても、苦しさは変わりませんし、その間に死にます。 では、本書が教えてく…

『とんこつQ&A』今村夏子(著)の感想②【仕事ができない人を雇い続ける店】

仕事ができない人を雇い続ける店 感想①はこちらです。 主人公は「いらっしゃいませ」が言えません。注文を取りに行くことも、空いたお皿を下げることも、できません。 普通なら、すぐクビでしょう。 ですが、町の中華料理屋「とんこつ」の大将や息子は、クビ…