2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧
やさしい言葉でむずかしい内容 『ふたりでちょうど200%』はパラレルワールドっぽい短編集です。 収録作品は、 『カタストロフ』 『このパーティ気質がとうとい』 『ホモソーシャル・クラッカーを鳴らせよ』 『死亡のメソッド』 で、『ふたりでちょうど200%』…
一文目を読んでもらうために 文章を読むのは苦痛です。 私は小説を読むのは好きですが、基本的に文章を読むのは好きではありません。 例えば、新聞、雑誌、ビジネス書。それらを読むのは、情報を得るためです。 情報を得る手段について、文章を読むより、人…
働かないで生きる選択肢 著者の石井さんは、和歌山の限界集落でニートをしています。 住んでいる場所は、最寄り駅から車で2時間かかる山奥の、廃校になった小学校の校舎です。 そこに、10代から40代の男女15人が住んでいます。 石井さんは、 浪人、留年、中…
小説の外に広がる世界 磯﨑憲一郎さんは選評で、 小説とは、作者の思想信条や問題意識を披露する場ではないし、溜め込んだ苦悩を吐露するための媒体でもない、具体性を積み上げることで自らの外側に広がる世界を照らし出し、作品という形で現前させる言語芸…
『わたしを離さないで』と似てるか この作品を読み始めたとき、カズオ・イシグロさんの『わたしを離さないで』に似てると思ってしまいました。 作品を、別の作品と比較するのは好きではありませんが、 「寿命が決まっている少年少女」 という設定が強烈だっ…
選評を読んで 吉田修一さんは芥川賞の選評で、 高山さんはおそらく「孤独な場所」というものが一体どんな場所なのか、その正体を、手を替え品を替え、執拗に真剣に、暴こうとする作家 と書いています。 確かに、『首里の馬』の登場人物はみな孤独な場所にい…
第164回芥川賞候補作発表 2020年12月18日、芥川賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2021年1月20日(水)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめ、受賞予想をいたします。 宇佐見りん『推し、燃ゆ』(文藝秋季号) 初の候補入りです。 前作『かか…
良い意味でジャンク カップ焼きそばを作る様子が、文豪たちの作風で、描かれます。 村上春樹風の「はじめに」から始まり、 レイモンド・チャンドラー JK・ローリング 川端康成 相田みつを 西野亮廣 など、幅広いジャンルの方の作風を真似て、「カップ焼きそ…
売れることが一番重要か 主人公は、30代中盤の漫画家です。 連載が終わっても、次の漫画を描けない漫画家です。 著者の浅野さんと似た境遇なので、主人公が浅野さんと重なって見えます。 例えば、主人公の発言、 狭量で懐古主義な漫画ファンたちが漫画業界の…
短編小説の書き方 小説を書くには、「とにかく読み」「とにかく書く」ことが重要と聞いたことがあります。 著者の筒井さんは、 小説は、何を、どのように書いてもよい自由な文学形式である と言います。 だからこそ、本書を読んで、「とにかく読み」「とにか…
魔力的なヒロインの恐ろしさ 読後感は良くありません。 かといって、読まなければ良かったとは思っていません。 なぜ、読後感が良くないかというと、 ヒロイン(以下、田中愛子)に、最後まで嫌悪感があったこと 田中愛子を忘れられない主人公(以下、プンプ…
自分だけの幸せを見つける 最終巻を読んだ直後は、主人公たちの戦いが終わった後の、現代の話は不要に感じました。 確かに、戦いで生き残った者、死んだ者のその後を描くことで、昔と今の繋がりを意識することはできます。 ですが私は、昔と今の繋がりなど、…
書けないときの対処法 著者の藤原さんは、「文は一行目から書かなくていい」と言います。 なぜでしょう。 理由は2つあるようです。まず思考の整理について。 人間の思考というのは断片的です。もちろんそれを文章にして伝えるためには一定の秩序を与えること…
ポケモン愛に溢れたエンドロール 子どもの頃から慣れ親しんだ「ポケモン」の実写化です。 映画の予告でピカチュウが人間の言葉を話していて、観ることはないと思っていました。 アニメ「ポケットモンスター」で、ピカチュウは人間の言葉を話しません。 です…