いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2025-01-01から1年間の記事一覧

『日本エッセイ小史』酒井順子(著)の感想【エッセイスト、随筆家になるには】

エッセイスト、随筆家になるには エッセイの書き方を学びたくて、手に取りました。 タイトルに「小史」とあるとおり、エッセイの簡単な歴史が書かれてます。 エッセイ賞の選考委員を務めた井上ひさしさんは、 エッセイとは自慢話のことである と、選評に何度…

『本を書く』アニー・ディラード(著)の感想【誰にも必要とされてないのに書くなら】

誰にも必要とされてないのに書くなら 私の人生の目標に、「本を書く」があります。 自費出版ではなく商業出版です。 公募の賞に出したことはありますが、受賞には程遠い状況でした。 本書のタイトル「本を書く」は、本を書きたい私に合う内容の本だと思って…

『プールサイド』村上春樹(著)の感想【35歳問題と主人公が泣いた理由】

35歳問題と主人公が泣いた理由 宮崎智之さんの『平熱のまま、この世界に熱狂したい』で、35歳問題として本作が取り上げられてたので、読みました。 35歳問題は、私にとってタイムリーな話題でした。 35歳になった春、彼は自分が既に人生の折りかえし点を曲っ…

『平熱のまま、この世界に熱狂したい』宮崎智之(著)の感想【〇を作る理論】

〇を作る理論 〇を作る理論が良かったです。 読み方は、丸ではなくゼロです。ゼロを作る理論。 僕はお年寄りや女性など、明らかに腕力の差がある人と買い物をする際、袋に入った商品を全部持つことにしている (中略)五対五でつらさを分配するよりも、一〇…

『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』佐々木典士(著)の感想【野良猫は自殺をしない】

野良猫は自殺をしない モノの時給を考えるというのが面白かったです。 うちで言えば、MacBook Airがエースだ。文章を書くだけでなく、映画を見たり、音楽を聴いたりすべてをこなしてくれる。生涯賃金はそれなりに高額だが、毎日数時間、すでに何年も使ってい…

第172回芥川賞受賞作発表、選評(2024年下半期)の感想

第172回芥川賞受賞作発表 2025年1月15日(水)、芥川賞の受賞作が発表されました。 ダブル受賞です。 DTOPIA 作者:安堂ホセ 河出書房新社 Amazon ゲーテはすべてを言った 作者:鈴木 結生 朝日新聞出版 Amazon 『DTOPIA』は予想当たりましたが、『ゲーテはす…

「2024年に読んで良かった本ベスト10」とその感想

2024年に読んで良かった本ベスト10 私が2024年に読んだ本で、良かった本を10冊挙げます。 小説やビジネス書など、ジャンルは問わずです。 まずは結果から。 『生きのびるための事務』坂口恭平,道草晴子(著) 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』J.K.ローリング(…

『ダンス』竹中優子(著)の感想②【他人の家の風呂を借りる老夫婦】(新潮新人賞受賞、芥川賞候補)

他人の家の風呂を借りる老夫婦 感想①はこちらです。 他人の家の風呂を借りる旅をしてる老夫婦の話が、ちょっとしたエピソードで出てきます。 本書を読んだ後にも、どこか頭に残ってました。 不動産屋で働く青年の、子どもの頃に起きた話です。 小学生の彼が…