いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2022-01-01から1年間の記事一覧

第168回芥川賞候補作発表、掲載誌まとめ(2022年下半期)

第168回芥川賞候補作発表 2022年12月16日(金)、芥川賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2023年1月19日(木)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめます。 安堂ホセ『ジャクソンひとり』文藝冬季号 初の候補入りです。 同作で文藝賞を受賞しま…

『マンガでわかる年収400万円からのライフシフト2』の感想【人生100年の生き方】

人生100年の生き方 本書は、「100年生きる時代、自分だけの物語を描こう」というものです。 紹介文に、 「ライフシフト」を、地方在住の平均的な40代日本人男性を主人公に据え、より身近なものとして解説する とあります。 主人公の収入は平均的ですが、スペ…

『ミニマリスト式超人生戦略術』なにおれ(著)の感想【何者にもなれない俺】

何者にもなれない俺 「なにおれ」という著者名が気になりました。 「きっと "なに" 者にもなれない "おれ" たち」の略、だそうです。 著者名からわかることは、 なにおれさんは、何者にもなれないと悟った おれ「たち」なので、何者にもなれないと悟った人は…

『「お金」のベストセラー50冊から目的別ノウハウを一冊にまとめてみた!』の感想【楽しく長く働く方法】

楽しく長く働く方法 本書は、YouTubeで「本要約チャンネル」を運営している方の著書です。 著者がピックアップした50冊を、要約し、一冊にまとめています。 お金の基礎知識 FIREの基礎知識 FIREの目指し方 を学べます。 その中で、良かった部分を紹介します…

『監督不行届』 安野モヨコ(著)の感想【庵野監督がエヴァでやりたかったこと】

庵野監督がエヴァでやりたかったこと 漫画家の安野さんが、夫である庵野監督(カントクくん)との生活を描きます。 庵野監督は、肉と魚が一切食べられないそうです。理由は不明です。 主食は、 サッポロポテトバーベQあじ ベビースターラーメン お好み焼き …

『終わった人』内館牧子(著)の感想【終わらないためにどうするか】

終わらないためにどうするか 退職したら何をするか。 主人公は63歳で定年退職しました。会社勤めが「終わった人」です。 妻は美容院で働いています。 子どもは家を出て、家庭を持っています。 主人公には、やるべきことがありません。 やることがなくなって…

アニメ「とある科学の超電磁砲」の感想【OVAのOP「future gazer」に感動】

OVAのOP「future gazer」に感動 「とある科学の超電磁砲」というアニメを見ました。 パチンコ屋の前を通ると、タイアップをよく目にしますが、アニメ未視聴でした。 タイトルにオタク臭さがあり、敬遠していましたが、見始めたら最後まで見てしまいました。 …

漫画『SPY×FAMILY』(スパイファミリー)の感想【疑似家族の行く末】

疑似家族の行く末 キャラが立っている作品です。 精神科医のふりをしたスパイ男 市役所職員のふりをした殺し屋女 人の心が読める少女 未来が見える白い大型犬 この3人と1匹が、一緒に住みます。 3人は、相手に自分の本性がわからないよう、うまく隠していま…

『点滅するものの革命』平沢逸(著)の感想【ビートルズ「レボリューション9」】(群像新人賞受賞)

ビートルズ「レボリューション9」 主人公は、5歳か6歳。来年小学校に入学します。 父親と二人暮らしで、父親は多摩川の河川敷で銃を探しています。 探している銃は父のものではありません。拾って報奨金をもらおうとしています。 父親は毎日河川敷に通ってお…

『夜を乗り越える』又吉直樹(著)の感想②【本や読書は何のためにあるのか】

本や読書は何のためにあるのか 感想①はこちらです。 本や読書は何のためにあるのでしょうか。 本書で取り上げられている本は文学です。 文学と読書について、又吉さんの言葉を引用しながら、考えていきます。 本は僕に必要なものでした、本当に必要なもので…

『夜を乗り越える』又吉直樹(著)の感想①【死にたくなる夜を乗り越える方法】

死にたくなる夜を乗り越える方法 又吉さんが、本や読書をもとに語ります。 タイトル「夜を乗り越える」は省略形で、省略しないと「死にたくなる夜を乗り越える」だと思いました。 死にたくなる夜を乗り越える方法の一つが、人を頼るです。 太宰治の自殺の理…

第44回野間文芸新人賞受賞作発表(2022年)の感想

第44回野間文芸新人賞受賞作発表 2022年11月4日(金)、野間文芸新人賞の受賞作が発表されました。 受賞作は、町屋良平さんの『ほんのこども』です。 ほんのこども 作者:町屋良平 講談社 Amazon 感想はこちらです。 私の予想では、『ほんのこども』に○をつけ…

『くるまの娘』宇佐見りん(著)の感想②【装丁の女性に顔がない理由】(野間文芸新人賞候補)

装丁の女性に顔がない理由 感想①はこちらです。 装丁はこちら。 背後に、メリーゴーランド 手前に、制服を着た女性 メリーゴーランドは、作中、家族で訪れる遊園地にあります。 制服を着た女性は、女子高生の主人公でしょう。 メリーゴーランドの前に主人公…

Amazonオーディブルは徒歩で通勤・通学する人におすすめ【聴く読書の活用法】

聴く読書の活用法 Amazonオーディブルに加入しています。 月額1500円で、本を聴き放題できるサービスです。 12万冊以上の本が登録されているようです。 Amazonオーディブルに、私は2021年6月に登録していました。 そのときの感想はこちらです。 上記記事のタ…

Kindle Unlimitedはキャンペーン時以外おすすめできない【読んで良かった本紹介】

読んで良かった本紹介 Kindle Unlimitedには、キャンペーンのときに加入します。 今回のキャンペーンは、2か月で99円でした。 2か月と期間が定まっているから、読めます。 いつ読んでも良い状態だと、今読まなくてもいいや、となります。 キャンペーン後は、…

『祝宴』温又柔(著)の感想【娘に同姓の恋人がいたら】(野間文芸新人賞候補)

娘に同姓の恋人がいたら 主人公は、67歳になった今も、会社のプロジェクトを統括するビジネスマンです。 中国 台湾 日本 を行き来します。 妻と娘2人は日本にいて、下の娘の結婚式(祝宴)に出席しました。 結婚式の夜、37歳の上の娘は言います。 かのじょの…

『くるまの娘』宇佐見りん(著)の感想①【車で生活する女子高生】(野間文芸新人賞候補)

車で生活する女子高生 『かか』(文藝賞受賞、三島賞受賞、野間文芸新人賞候補) 『推し、燃ゆ』(芥川賞受賞) に続き、著者の3作目です。 出す作品すべて、何かしらの賞にノミネートされており、相当な実力です。 初めて宇佐見さんの作品を読む方なら、文章力…

『ケチる貴方』石田夏穂(著)の感想【仕事のコツを新人に教えるか】(野間文芸新人賞候補)

仕事のコツを新人に教えるか タイトルから、「ケチな人間」を非難する作品だと思いました。 タイトルに「貴方」があるので、ケチな旦那を非難する話とか。 全く違いました。ケチなのは、主人公自身です。 備蓄用タンクの設計と施工を請け負う会社に勤める 7…

【野間文芸新人賞予想】第44回候補作発表(2022年)

野間文芸新人賞候補作発表 2022年9月27日、野間文芸新人賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2021年11月4日(金)です。 以下、候補作をまとめ、受賞予想をいたします。 『ケチる貴方』石田夏穂 初の候補です。 群像 2022年 03 月号 [雑誌] 講…

『MISSING 失われているもの』村上龍(著)の感想③【人生最大の失敗】

人生最大の失敗 感想①はこちらです。 感想②はこちらです。 村上龍さんの私小説的小説として読みました。 本書では、主人公の人生最大の失敗が語られています。 よって、村上さんの人生最大の失敗として、読めてしまいます。 わたしは独り暮らしだ。貧乏学生…

『MISSING 失われているもの』村上龍(著)の感想②【『初恋と美』とデビュー作】

『初恋と美』とデビュー作 感想①はこちらです。 本作を、村上龍さんの私小説的小説として読みました。 主人公は、中学生のとき、作文で賞を受賞します。 タイトルは『初恋と美』です(ちなみに村上さんも、同じタイトルでPTA新聞の市長賞をもらっているよう…

『MISSING 失われているもの』村上龍(著)の感想①【私小説的小説】

私小説的小説 金原ひとみさんが、 『文藝 2022年秋季号』の 「私小説的小説10」 で本書を選んでいたので、私小説に近い小説として読みました。 実際、私小説に近いと感じました。例えば、 主人公が、佐世保市出身の小説家 章のタイトルに「ブルー」があり、…

「夜と霧 新版」フランクル(著)の感想②【強制収容所に入れられたら】

強制収容所に入れられたら 感想①はこちらです。 ナチス強制収容所のような出来事は二度とないと信じたいです。 ただ万が一、強制収容所に入れられたら、どうしたらよいでしょうか。 本書を読んで、外面的、内面的に対処法があると考えました。 まず外面の対…

「夜と霧 新版」フランクル(著)の感想①【ナチス強制収容所での実体験】

ナチス強制収容所での実体験 本書を読んだのは、『東大から刑務所へ』を読んだからです。 感想はこちらです。 元大王製紙の会長である井川意高さんが、刑務所で唯一泣いたのが、『夜と霧』を読んだときだったそうです。 ナチスがやったこと、ユダヤ人が体験…

朝ドラ「舞いあがれ!」の感想【マンネリと神回】

マンネリと神回 夜に放送している連続ドラマは見ていませんが、朝ドラは見ています。 カムカムエヴリバディ ちむどんどん 舞いあがれ! と、3期連続見ています。 面白いからというより、習慣です。 一話15分だから見やすい 放送が月から金(祝日も放送)なの…

『ビニール傘』岸政彦(著)の感想【居場所を失ったら生きていけないのか】(芥川賞候補、三島賞候補)

居場所を失ったら生きていけないのか 大阪が舞台。人物の視点がころころと切り替わります。 ときにはタクシー運転手の男性、ときにはガールズバーの女性。 視点の切り替わりは、一つの場所に居続けない人間みたいです。 コンビニ店員や美容師など、サービス…

『給水塔』岸政彦(著)の感想【大学院に落ちて日雇いの肉体労働】

大学院に落ちて日雇いの肉体労働 著者の岸さんは、大学院に落ちて、日雇いの肉体労働を始めました。 現場には、和服の着物を着てくる細身の若い男性がいました。 彼は西成が好きで、東京から大阪に来て、日雇い労働をしていました。 ドカタのおっさんたちか…

『図書室』岸政彦(著)の感想【挨拶のいらない人間関係】(三島賞候補)

挨拶のいらない人間関係 主人公は50歳の女性。団地で一人暮らしです。 ある雨の日、猫がほしくなった主人公は、小学生の頃を回想します。 主人公は当時、母親と二人暮らし。猫もいました。 母はスナックで働いていて、帰りが遅いです。 主人公は放課後、家の…

『大阪』岸政彦、柴崎友香(著)の感想【自由な野犬、鎖で繋がれてうなだれている犬】

自由な野犬、鎖で繋がれてうなだれている犬 岸さんと柴崎さんのエッセイが、交互に書かれています。 岸さんは、大学進学時に名古屋から大阪に来て、30年以上住んでいます。 柴崎さんは、生まれも育ちも大阪。2005年に大阪を出て、東京に住んでます。 岸さん…

『世界の終わりの終わり』佐藤友哉(著)の感想②【まじめに働いていても愚民】

まじめに働いていても愚民 感想①はこちらです。 主人公は、売れない作家です。 二年ほどかけて六作の長編小説を書いたが、どれも出版部数がふるわず、講談社から出版することができなくなった。 講談社という出版社名まで出ています。 講談社は、著者がデビ…