選評を読んで 物語の章ごとに登場人物の人称が変わるので、読みにくさがあります。 例えば、1章で「父親」と書かれていた人物が、2章では「男」と書かれています。 章ごとに人称が変わることについて、選評で小山田浩子さんは、 効果よりもわかりづらさが勝…
自分にしか書けない小説を書く方法 小説の書き方の本というより、小説に対する考え方の本です。 著者の高橋さんは、小説を書きたい人に向けて、 あなたが書かねばならない、あなたにしか書けない小説 を書くよう、言います。 小説を書くには「バカ」でなけれ…
死ぬのに疲れた主人公 主人公が目を覚ますと、病院でした。 主人公は、自殺に失敗したことを知ります。 なぜ、自殺を図ったのかというと、 新聞の活字だってみんなゴキブリになってしまったのに生きていても仕方がない、と思ったら最後、その「死ぬ」という…
胸糞悪いのか ひどい話なのは確かです。 主人公と連れの男性が、夜中、バス停にいた女性を車に乗せ、車内でレイプ 部屋に連れて帰り、監禁し、他にも男を呼んで、輪姦 女性に飽き、帰る場所のない女性だとわかると、風俗店で働かせる 風俗の仕事ができないこ…
文學界と私/作家の節目 本書の「エッセイ特集」では、第一線で作品を書いている作家の、 デビュー前 デビュー当時 の話が書かれています。 今や誰もが知る作家にも、苦労していた時代があったとわかります。 中でも、 宮本輝さんの「同人誌のころ」 吉田修…
性に奔放な夫婦 一文目から強烈です。 妻の機嫌を治すために、男と寝ることになった。 妻の機嫌を損ねたのは、主人公が隠れて浮気をしたからです。 主人公は、著者本人に近しい、純文学の小説家です。ゲイやバイではありません。 BL(ボーイズラブ)漫画家で…
結果が出ないことに挑戦すること 感想①はこちらです。 主人公も、慕っていた先輩芸人も、大して売れません。 では、芸人をしていたことは無駄だったのでしょうか。 必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう? 一度しかない人生において…
人と違うことをせなあかん 売れない若手芸人である主人公が、同じく売れない芸人の先輩を慕います。 二人が出会ったのは、熱海の花火大会です。ビール瓶のケースで作った簡易な舞台で漫才をしますが、主人公のコンビは全くうけません。 先輩は、 仇とったる…
自殺した弟の代わり 男子高校生の主人公は、クリーニング屋で短期アルバイトを始めます。 そこで、主人公の志望大学に通う女子大生と出会います。 主人公が「英語が苦手」と話すと、その女子大生の家で、勉強会をすることになります。 彼女のアパートは、踏…
会話、性欲、愛 前作『プレーンソング』に退屈さを感じていたのに、続編である本書を手に取ってしまいました。 『プレーンソング』の感想はこちらです。 なぜ本書を読んだかというと、数々の文学賞を受賞し、後の作家に影響を与えている保坂さんの作品を、「…
『遺書』に言及 ナインティナインの矢部さんが、松本人志さんの著書に言及します。 話の流れは、鬼越トマホーク坂井さんが、 ナイナイさんが苦手なダウンタウンさん と言ったことに対し、 岡村さんは、 苦手じゃない、きっちり楽屋に挨拶行けるぐらいにまで…
母が別荘を買った 母がマンションを買いました。 住居用ではなく、別荘用です。 ですが、別荘というより秘密基地に近いです。 1LDKの秘密基地。 その場所に行くには、曲がりくねりながら登っていく山道を、車で走らなければいけません。 道のイメージは、「…
他の作品にはない 「17、8歳」の女子高生が主人公です。 主人公の回想で、 学校生活 家族と過ごす日常 叔母との会話 が描かれます。 回想形式の作品ですが、現在の主人公は、物語に登場しません。 私が、2年以上前に本書を読んだときの感想を、一部抜粋しま…
選評を読んで 芥川賞の選評では、『推し、燃ゆ』の文章力への評価が高いです。 川上弘美さんは、 必要にして充分な描写の力 松浦寿輝さんは、 リズム感の良い文章 的確な筆遣い 小川洋子さんは、 推しとの関係が単なる空想の世界に留まるのではなく、肉体の…
吉祥寺での戦闘 主人公は、自衛官勤務する前の、最後の訓練に参加しています。 装備をして、ある地点からある地点まで歩くという、行軍とよばれる訓練です。 訓練に参加しながら、主人公は大学時代に思いをめぐらせています。 大学時代の回想が何度も入るこ…
感傷的な小説は害悪か 感想①はこちらです。 感傷的な作品について、保坂さんはネガティブにとらえています。 感傷的な文章やストーリーで書かれた小説は、ひたすら深刻なことばかりが書き連ねられている手記と同じようにベストセラーになることが多いけれど…
純文学というより素文学 保坂さんの『書きあぐねている人のための小説入門』が面白く、『プレーンソング』が多く引用されていたので、手に取りました。 ストーリー展開よりも、日常のありのままを描写しているような作風です。 エンタメとは対極です。 エン…
小説を書くこととは タイトルに小説入門とありますが、簡単な内容ではありません。 冒頭、保坂さんは、 ここに書いてあることを全部マスターして、及第点を取ろうと思うような律儀な人は小説家にはなれない と、釘を刺します。 小説の書き方を学ぶノウハウ本…
イメージと現実のギャップ 作家である主人公が、地元青森での会食に参加します。 編集者に誘われるまま出席した、学校長や大学教授、市議などとの会合です。 主人公は、「無料で会食料理が食えるなら」というモチベーションで参加します。 青森県はどこも財…
読みやすい文章と定期的な更新 1か月に3000PV(閲覧数)を超えたのが、2020年4月でした。 それから9か月経ち、2021年1月のPVが6000を超えました。 ありがとうごさいます。 ブログ開設時の閲覧数の目標は、一日100PVでした。 一日100PVを達成したとき、次に目…
虚言癖の青年の記録 著者の中村さんは、巻末の解説で、 不条理に対して、勝てる見込みのない抵抗を試みた、一人の虚言癖の青年の記録 と書いています。 大学生の主人公は、恋人を交通事故で亡くします。 主人公は、彼女の死を受け入れられません。 病院で彼…
第三者の介入で崩れる関係性 主人公は、売れない劇作家です。 家賃5万円を支払えず、専門学生の彼女の家に転がり込みます。 彼女の実家から送られた食材を食べる主人公は、 人の親から送られた食料を食べる情けない生きもの。子供の頃、こんな惨めな大人にな…
番組概要 1月20日(水)に第164回芥川賞受賞作が発表されました。 宇佐見りん『推し、燃ゆ』 推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 受賞予想した作品の答え合わせや、結果を受けて話すラジオ番組です。 前回(予想編)の放送の…
スターになった親友 主人公の親友が、芸能界でスターになります。 もとは主人公と同じ、エキストラでした。 きっかけは、親友がアドリブで言った、 さっきあっちに走っていったよ という一言で、俳優の仕事が増え、人気が出ます。 主人公は、人気俳優になっ…
第164回芥川賞受賞作発表 2021年1月20日(水)、芥川賞の受賞作が発表されました。 単独受賞です。 宇佐見りん『推し、燃ゆ』 推し、燃ゆ 作者:宇佐見りん 発売日: 2020/09/10 メディア: Kindle版 予想は、はずれました。予想はこちらです。 『推し、燃ゆ』…
第164回芥川賞予想 1月20日(水)に第164回芥川賞、直木賞が決まります。 「文学賞メッタ斬り!スペシャル」は、受賞作の決定前に、どの作品が受賞するかを予想するラジオ番組です。 予想する方 大森望(書評家、SF翻訳家) 豊崎由美(書評家) 芥川賞候補作…
原動力は嫉妬と復讐 主人公が小学生のときに書いた「よげんの書」どおりに、なぜか日本は進んでいきます。 行き着く先は、世界滅亡。 世界滅亡の危機の元凶である「ともだち」の原動力は、嫉妬と復讐でした。 「ともだち」は2人います。 動機をそれぞれ、 1…
引きこもりなのに憧れる 主人公の男の子は、中学2年生です。 海辺の街に転校してきましたが、仲の良い友達はいません。 友達はいないのに、同級生の女の子に告白できる強さがあります。 振られてしまいますが、のちにその女の子から誘われ、体の関係を持ちま…
鬱マンガで終わらない 主要な登場人物が次々死ぬことから、鬱マンガとして有名です。 それに乗っかり、胸糞悪さを感じたり、鬱々したりだけでは、もったいないと思いました。 15人の少年少女は、知らない大人に誘われるがまま、退屈しのぎにゲームに参加しま…
北海道がロシアから攻められる 北海道がロシア軍に攻められます。 自衛隊に所属する主人公は、初めての戦闘で、部下を指揮しています。 迫りくるロシア軍に備え、主人公は、民間人の母子に避難するよう働きかけますが、うまくいきません。 どこにも身よりは…