いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『生きのびるための事務』坂口恭平,道草晴子(著)の感想【労働と仕事を切り分ける】

労働と仕事を切り分ける 事務と書かれた本が売れてるので、気になりました。 本書でいう事務は、事務職とは関係ありません。 では、事務とは何か。 事務のことを考える、というのは、つまりは、あなたが小さい頃から本心でやりたいと思ってることを実現する…

『死んだ山田と教室』金子玲介(著)の感想【声だけ残される存在】(メフィスト賞受賞)

声だけ残される存在 男子校の教室は、静まり返ってます、 二年E組の人気生徒だった山田が、交通事故で亡くなったからです。 担任が、気分転換に席替えを提案したとき、山田の声がどこからか聞こえます。 いくら男子校の席替えだからって盛り下がりすぎだろ …

【芥川賞予想】第172回芥川賞候補作発表、掲載誌まとめ(2024年下半期)

第172回芥川賞候補作発表 2024年12月12日(木)、芥川賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2025年1月15日(水)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめ、受賞予想をいたします。 安堂ホセ『DTOPIA』文藝秋季号 『ジャクソンひとり』(第168回候補…

『ゲーテはすべてを言った』鈴木結生(著)の感想【名言の出典を求めて】(芥川賞候補)

名言の出典を求めて 主人公は、ドイツ文学を研究する大学教授です。 日本におけるゲーテ研究の第一人者とされてます。 主人公が学生時代、ドイツに留学してたときに、隣人の美大生は言いました。 ドイツ人はね(中略)名言を引用するとき、それが誰の言った…

『DTOPIA』安堂ホセ(著)の感想【睾丸を摘出する少年】(野間文芸新人賞候補、芥川賞候補)

睾丸を摘出する少年 「DTOPIA」の読み方は、「デートピア」です。 「DTOPIA」は、配信の恋愛リアリティーショーの番組名です。 舞台は、フランス領ポリネシアのボラ・ボラ島。 ヒロインの女性一人を巡って、多様な国から集められた男性10人が競います。 フラ…

『字滑り』永方佑樹(著)の感想【文字が消えて使えなくなる現象】(芥川賞候補)

文字が消えて使えなくなる現象 字滑り(じすべり)とは、突然、文字が消えて使えなくなる現象です。 例えば、漢字やひらがなやカタカナが、消えて、使えなくなります。 見る・聞く・話す言葉が、消えます。 どの言葉が消えたり、使えなくなったりするのかは…

『二十四五』乗代雄介(著)の感想【リアリティのあるなし】(芥川賞候補)

リアリティのあるなし 主人公は、弟の結婚式に出るために、新幹線で仙台へ行きます。 新幹線から降りるとき、就活帰りの女子大生から声を掛けられます。 タイトルにもあるとおり、主人公は、24、5歳の女性です。 女子大生は、自分の読みたかった漫画を主人公…

小川哲+高瀬準子 対談「小説家は嘘をつく」の感想(『新潮』2024年2月号)【作家になる方法】

作家になる方法 小川哲さんと町屋良平さんの対談が面白かったので、こちらも手に取りました。 町屋さんとの対談の感想はこちらです。 高瀬さんとの対談も、「これから作家を目指すひとへ」というタイトルでも合うと思いました。 高瀬さんは小説の登場人物を…