いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

2019年に読んで良かった本3選【小説】

2019年に読んで良かった本3選 2019年に読んだ小説で、良かった3冊を紹介します。 古谷田奈月『神前酔狂宴』 神前酔狂宴 作者:古谷田奈月 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/07/11 メディア: 単行本 金子薫『壺中に天あり獣あり』 壺中に天あり獣あ…

『人生はワンチャンス! 「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法』水野敬也(著)の感想【犬の写真と偉人の教え】

犬の写真と偉人の教え 『夢をかなえるゾウ』シリーズが良かったので、手に取りました。 どちらの本も、偉人の教えから現代につながる学びを習得し、人生を豊かにするものです。 ただ、学び方が違います。 『夢をかなえるゾウ』:ストーリーから教訓を学ぶ 『…

「M-1グランプリ2019」の感想【コーンフレークは煩悩の塊】

コーンフレークは煩悩の塊 ミルクボーイの1本目のネタ「コーンフレーク」 内容は、「好きな朝ごはんを忘れてしまったお母さんのため、手がかりからその朝ごはんを当てる」というもの。 「甘くてカリカリして牛乳とかかける」という手がかりからコーンフレー…

『背高泡立草』古川真人(著)の感想【草刈りする理由】(芥川賞受賞)

草刈りする理由 主人公の母の実家に、使われないまま放置されている納屋があります。 納屋の周りには草が生い茂っており、その草を刈るため、親族が集まります。 主人公 母 母の姉 母の姉の子 母の兄 主人公は、草を刈る必要はないと思っています。 納屋は使…

『最高の任務』乗代雄介(著)の感想【卒業式後の家族旅行】(芥川賞候補)

卒業式後の家族旅行 主人公の女子大生は、卒業式に出たくありません。 卒業式に行くか行かないかぐらい自分で決める。お母さんだって来るわけじゃないんだし、それでいいでしょ 母親は言います。 「行く」 「は?」 「家族みんなで」 家族で卒業式に出ると言…

『手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』ミニマリストしぶ(著)の感想【好き以外を排除して一極集中】

「好き」以外を排除して一極集中 ミニマリストって、必要最低限の物だけで生活する人でしょ? そう思っていましたが、しぶさんの持ち物に驚かされました。 ドラム式洗濯乾燥機 口腔洗浄機 ダイソンのヘヤドライヤー 意外とお金をかけてると驚きましたが、 ミ…

『幼な子の聖戦』木村友祐(著)の感想【幼なじみの選挙を妨害】(芥川賞候補)

幼なじみの選挙を妨害 地元の村長選に、幼なじみが立候補しました。 現職の村長が、スキャンダルを期に辞任したからです。 村議会議員をしている主人公は、幼なじみを応援する予定でした。 ですが、村の有力者の応援を受けて対立候補が出馬し、その応援者か…

『しょぼ婚のすすめ 恋人と結婚してはいけません!』えらいてんちょう(著)の感想【結婚に不安や迷いがある人に】

結婚に不安や迷いがある人に 結婚に迷う理由は何ですか? お金がないから 仕事をしていないから いい相手を探しているから それでも結婚しましょう、と著者のえらいてんちょうさんは言います。 なぜでしょうか。 結婚することで、 社会的ステータスが上がる…

『自由思考』中村文則(著)の感想【文学、社会、政治を考える】

文学、社会、政治を考える 2002年のデビューから2019年までに書いたものをまとめた、エッセイ集です。 3つの章に分かれています。 エッセイと文学論的なもの 社会問題や政治 エッセイと受賞関連の文 書き下ろしは、以下の3つです。 作家志望の方々に この国…

【芥川賞予想】第162回芥川賞候補作発表、掲載誌まとめ(2019年下半期)

第162回芥川賞候補作決定 2019年12月16日、芥川賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2020年1月15日(水)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめます。 木村友祐『幼な子の聖戦』 初の候補です。 前回(161回)の芥川賞で、古市憲寿さんの『百の…

『しょぼい起業で生きていく』えらいてんちょう(著)の感想【会社勤めが向いてない人に】

会社勤めが向いてない人に 大学を卒業した人の大半は、就職します。 ですが、著者のえらいてんちょうさんは起業しました。スキルなしでです。 なぜなら、 就活なんてやってられない 毎朝、スーツを着て満員電車に乗るのが無理 だからです。 営業計画を綿密に…

『犬のかたちをしているもの』高瀬隼子(著)の感想【他人が産んだ子を育てるか】(すばる文学賞受賞)

他人が産んだ子を育てるか 他人が産んだ子とは、養子のことではありません。 主人公の彼氏には、お金を払って会っている女性がいました。 その女性の産む子です。 彼氏は浮気をしていただけでなく、相手を妊娠させていたのです。 主人公は、卵巣の腫瘍を切除…

『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』西野亮廣(著)の感想【生きづらさを抱えている人に】

生きづらさを抱えている人に 「魔法のコンパス」とは、生き方の指針です。 現代は生き方が多様化していますので、道を自分で決める必要があります。 そんな道なき道の歩き方について、 キングコングの西野さんが、 問いを持ち 解決する答えを考え 実行した …

『カタストロフ』町屋良平(著)の感想【会社の部活に熱心な社会人】

会社の部活に熱心な社会人 部活が楽しみで、中学校や高校に通っている学生は多いでしょう。 では、部活を楽しみに会社に通う社会人はどれくらいいるのでしょうか。 私の周りにはいません。 仕事が終わったら、なるべく早く帰りたいです。 飲み会に行くと仕事…

『東京を生きる』雨宮まみ(著)の感想【幸せとは何か】

幸せとは何か 幸せになりたい。誰もが願います。 その漠然とした、幸せとは何でしょう。 「そんなことしてたら、ずっと幸せになんかなれないよ」。 そう言うときの人の顔が、いちばん醜いと思う。(p.185) 「幸せになんかなれないよ」という言葉は、足を引…

『尾を喰う蛇』中西智佐乃(著)の感想【介護と戦争がリンク】(新潮新人賞受賞)

介護と戦争がリンク 主人公は35歳の介護福祉士で、病院に勤めています。 入居者の老人が、女性の身体に触れたり、暴力をふるったりすることに、苛立っていました。 老人が暴れたとき、主人公は力で抑えます。 そして、相手を暴力で封じ込むことに味をしめま…

『夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え』水野敬也(著)の感想【苦しみを楽しみに変える方法】

苦しみを楽しみに変える ストーリーが独立しているので、1や2を読んでいなくても楽しめます。 主人公は、OLです。 もし、私があと五歳若かったら、小さな努力を積み重ねながら人生を変えていくことができたかもしれない。 もう遅いと諦め、一発逆転を狙いま…

『改良』遠野遥(著)の感想【美しくなりたい男の凶器めいた語り】(文藝賞受賞)

美しくなりたい男の凶器めいた語り 主人公の大学生は、女装をします。 一度買ったウィッグが気に入らないから買い直したり、メイクを研究したりと、ストイックです。 男が好きなのかな? と思いますが、そうではありません。 私は、美しくなりたいだけだった…

『かか』宇佐見りん(著)の感想【かか弁という新しい方言】(文藝賞受賞、三島賞受賞、野間文芸新人賞候補)

かか弁という新しい方言 「かか」とは、母親です。 「かか弁」は、母親の使う独特な言葉です。 東北弁ではなく、博多弁でも関西弁でもありません。 最初は読みにくいですが、次第にこの語りに慣れます。 かかは、ととの浮気したときんことをなんども繰り返し…

『足立区島根町』北野武(著)の感想【ビートたけしの語り口】

ビートたけしの語り口 ビートたけしさんが、昔話をしているような語り口です。 読んでいると、たけしさんの声で脳内再生されます。 一番古い記憶は、母親におんぶされながら、近所のおばさんと会話したことだそうで、 「たけちゃんは誰の子?」と訊かれると…

『1973年のピンボール』村上春樹(著)の感想【あの時できなかったこと】(芥川賞候補)

あの時できなかったこと あの時できなかったことが、今ならできるかもしれない。 そう思い、行動するには、ある程度の時間が必要です。 主人公は、大学時代にピンボール台「スペースシップ」に没頭していました。 ですが、ゲームセンタ―の突然の閉店で「スペ…

『図書室』岸政彦(著)の感想【忘れていた思い出が蘇る】(三島賞候補)

忘れていた思い出が蘇る 読んでいて、自分自身の思い出が蘇りました。 今まで思い出したことがない、小さな出来事です。 どこか遠くなつかしい風景が、記憶を呼び覚ましたのかもしれません。 主人公は一人暮らしの50歳女性で、小学生時代を回想します。 当時…

『いかれころ』三国美千子(著)の感想【選考委員が絶賛】(新潮新人賞受賞、三島賞受賞)

選考委員が絶賛 新潮新人賞、三島由紀夫賞のダブル受賞です。 新潮新人賞を受賞したときに、一度手に取りましたが、冒頭で読むのをやめました。 理由は、 4歳の少女視点なのに、達観した言葉づかい 4歳の少女視点なのに、父母を名前で表記(「父は」ではなく…

『謝肉祭』村上春樹(著)の感想【醜い女性との交流】

もっとも醜い女性との交流 彼女は、これまで僕が知り合った中でもっとも醜い女性だった そう語る主人公は、村上春樹さん本人に限りなく近いです。 主人公は50歳過ぎ、 その醜い女性(名前はF*)は40歳くらい お互い既婚者ですが、2人で音楽を聴きに行ったり…

2010年代のアニメ年別ベスト

2010年代のアニメ年別ベスト Monomaneさんの以下の記事を読みまして、 proxia.hateblo.jp 私も、2010年代に放送されたアニメの年別ベストをまとめておこうと思いました。 まずは結論から。 2010年 けいおん!! 2011年 花咲くいろは 2012年 TARI TARI 2013年 …

『壺中に天あり獣あり』金子薫(著)の感想【閉じ込められた世界で没頭する】(三島賞候補)

閉じ込められた世界 主人公は、広大なホテルの中をさまよいます。 どんなに歩いても、 廊下が一直線に続き、 部屋のドアがずらっと並び、 螺旋階段が上下に伸びています。 ホテルの外へは出られません。 部屋のドアを開けると、ベッドがあったり、バーや資料…

『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』堀江貴文(著)の感想【仕事がつまらないと思う人に】

仕事がつまらないと思う人に 堀江さんは、逮捕され、懲役2年6か月の判決を受けました。 出所後のインタビューで、「出所したら何をやりたいか」とよく聞かれたそうです。 仮釈放されるまでの1年9ヵ月間、僕の心をとらえて離さなかった言葉、それは次のひと言…

『父と私の桜尾通り商店街』今村夏子(著)の感想【ありがとうを言われたことのないパン屋】

ありがとうを言われたことのないパン屋 主人公と父は、商店街でパン屋を営んでいます。 父がパンを焼き、主人公(娘)が店番です。 ですが客が来ません。 理由は2つあります。 商店街からのけ者 ねずみが出るなどの噂 父はパン屋をたたみ、実家の母(主人公…

『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』橘玲(著)の感想【自由な人生にする方法】

自由な人生にする方法 仕事がなければ自由なのに。 と思うのですが、仕事を辞めたら収入がなくなります。 収入なしでは食べていけませんので、仕事を辞めることはできません。 自由になるには、経済的に豊かになる必要があります。 本書によると、黄金の羽根…

第41回野間文芸新人賞受賞作発表(2019年)の感想

第41回野間文芸新人賞受賞作 2019年11月6日(水)に発表されました。ダブル受賞です。 古谷田奈月『神前酔狂宴』 神前酔狂宴 作者: 古谷田奈月 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/07/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 千葉雅也『デ…