いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いています。

三島賞

忘れていた思い出が蘇る 岸政彦『図書室』(三島賞候補)の感想(1000字)

忘れていた思い出が蘇る 読んでいて、自分自身の思い出が蘇りました。 今まで思い出したことがない、小さな出来事です。 どこか遠くなつかしい風景が、記憶を呼び覚ましたのかもしれません。 主人公は一人暮らしの50歳女性で、小学生時代を回想します。 当時…

選考委員が絶賛 三国美千子『いかれころ』(新潮新人賞受賞、三島賞受賞)の感想(1000字)

選考委員が絶賛 新潮新人賞、三島由紀夫賞のダブル受賞です。 新潮新人賞を受賞したときに、一度手に取りましたが、冒頭で読むのをやめました。 理由は、 4歳の少女視点なのに、達観した言葉づかい 4歳の少女視点なのに、父母を名前で表記(「父は」ではなく…

閉じ込められた世界で没頭する 金子薫『壺中に天あり獣あり』(三島賞候補)の感想(1000字)

閉じ込められた世界 主人公は、広大なホテルの中をさまよいます。 どんなに歩いても、 廊下が一直線に続き、 部屋のドアがずらっと並び、 螺旋階段が上下に伸びています。 ホテルの外へは出られません。 部屋のドアを開けると、ベッドがあったり、バーや資料…

母に一人残された少女 宮下遼『青痣』(野間文芸新人賞候補、三島賞候補)の感想(1000字)

母に一人残された少女 二人暮らしの家から、母が消えます。 母の最後の言葉です。 「ジターヌを切らしてるみたいなの」 (中略) 「だから、ちょっと買いに行ってくるわ」(p.37) ジターヌ(煙草)を買いに、少女から離れる母。 少女は、子を預かっている貸…

非現実を現実的に思わせる濃密な文章 古谷田奈月『無限の玄』(三島賞受賞、野間文芸新人賞候補)の感想(1000字)

野間文芸新人賞がきっかけ 私は芥川賞受賞作は読みますが、非公募型の純文学系新人賞の残り二つ、三島賞と野間文芸新人賞の作品はあまり読んできませんでした。 ですが、2018年の野間文芸新人賞受賞作が面白かったので、手を伸ばすことにしました。 受賞…