いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

『東京都同情塔』九段理江(著)の感想【新宿御苑に建つ刑務所】(芥川賞受賞)

新宿御苑に建つ刑務所 「東京都同情塔」とは、新宿に建つ、新しい刑務所のことです。 正式名称は、「シンパシータワートーキョー」。 受刑者が服役する場所です。 塔は、スカイツリー、東京タワーに次ぐ高さの建物です。 建築家である主人公は、自問します。…

『Blue』川野芽生(著)の感想【トランスジェンダーの物語】(芥川賞候補)

トランスジェンダーの物語 本作は、特集「トランスジェンダーの物語」として、『すばる』に掲載されました。 トランスジェンダーとは、 生まれつきの身体的性別と、自分が認識する性別(性自認、ジェンダー・アイデンティティ)が異なる人々の総称。(日本大…

『迷彩色の男』安堂ホセ(著)の感想【誰のことか】(野間文芸新人賞候補、芥川賞候補)

誰のことか 描かれるのは、私の体験したことのない世界です。 しかしこの世界には、既視感があります。 同じ著者の前作『ジャクソンひとり』 千葉雅也さんの作品 と似ていると思いました。 物語が似ているというわけではありません。 黒人と日本人のハーフ …

『僕はうつ病くん』大谷朝子(著)の感想【うつ病課長と専業主夫】

うつ病課長と専業主夫 主人公は39歳の女性で、会社の課長職に就いてます。 30代で課長職に就任したのは、社内初でした。 主人公は夫と2人暮らしで、夫は専業主夫です。 夫は結婚前、アパレルでバイトをしていました。 主人公と同棲したのち、バイトを辞めま…

『小説の読み方』平野啓一郎(著)の感想【小説の書き方にも通じる】

小説の書き方にも通じる 最近、小説を読めてません。 小説よりも、実用書を読んでます。 本書を手に取ったのは、2023年下半期の芥川賞候補作を読もうと思ってるからです。 本書を読み、小説を読む下地をつけてから、再び小説を読もうとしてます。 『小説の読…

『知ってるつもり』西林克彦(著)の感想【わからないことをハッキリさせる】

わからないことをハッキリさせる 『わかったつもり』が面白かったので、同じ著者の本を手に取りました。 感想はこちらです。 率直に言うと、本書『知ってるつもり』は難しかったです。 サブタイトルには、 「問題発見力」を高める「知識システム」の作り方 …

『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』高松智史(著)の感想【コンサルじゃなくても役立つ】

コンサルじゃなくても役立つ 私はコンサルで働いていません。 ですが、本書は役に立ったと思ってます。 業界も業種も関係ない。 全てのビジネスパーソンに届けたい最高のビジネススキル。 本書は「対立形式」で書かれてます。 例えば、 評価基準・評価結果VS…

『声優、東大に行く』佐々木望(著)の感想【仕事のある大人が東大を目指す理由】

仕事のある大人が東大を目指す理由 著者の佐々木さんは、44歳で東大を目指しました。 いい大人なのに。声優の仕事もあるのに。 なぜ、今さら東大に行く必要があるのかと、私なんかは思ってしまいます。 時間や労力がかかりますし、合格できる保証はありませ…

『ハンチバック』市川沙央(著)の感想【ご指摘いただいた点について】(文學界新人賞、芥川賞受賞)

ご指摘いただいた点について 本書について、以前読書メーターで感想を書きました。一部抜粋します。 ラストのわかりにくさの原因は、主人公と同じ名前の女性が、女子大生で風俗で働いてるからだろう。病気で入院してる今までの話は何だったのかと。 この感想…

『読む心・書く心 文章の心理学入門』秋田喜代美(著)の感想【文豪の推敲の共通点】

文豪の推敲の共通点 文章をどう読んでいくかの参考になりました。 文章を読んでいくときに、事実と意見と主張の部分を見分けながら読むことが大切だといわれます。けれどもそれだけでなく、根拠となる事実や理由づけと主張との関係を考えてみることもとても…

『思考の整理学』外山滋比古(著)の感想【思考を整理するきっかけ】

思考を整理するきっかけ 東大京大でよく読まれている本です。 私は、東大出身でも京大出身でもありませんが、学生時代に大学の生協で購入しました。 購入から10年以上経って、再読しました。難しかったです。 思考の整理って、結局どうすればいいのでしょう…

『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』西林克彦 (著)の感想【部分が読めていない】

部分が読めていない 文章を正しく読みたいです。 本書は、『14歳からの読解力教室:生きる力を身につける』犬塚美輪(著)で紹介されてました。 よりよく読もうとするさいに、私たち読み手にとって最大の障害になるのが、自分自身の「わかった」という状態です…

『増補版 大人のための国語ゼミ』野矢茂樹(著)の感想【国語力は愛】

国語力は愛 なぜ、大人のために国語が必要なのか。 そう思った人は、いるかもしれません。 私が本書を手に取ったのは、読解力や文章力をつけるためです。 読解力や文章力の向上は、社会人の私にも必要だと感じたからです。 本書には、差し込みの漫画がありま…

『“深読み”の技法:世界と自分に近づくための14章』小池陽慈(著)の感想【ノルマを捨てる】

ノルマを捨てる 深い読みがしたい。 深い読みでなくとも、ちゃんと読めるようになりたい。 そう思って手に取りました。 著者の小池さんは言います。 時にはその一文、いや、その一単語に徹底的にこだわり、それを”深く”読むために、途方もない時間をかける。…

『14歳からの文章術』小池陽慈(著)の感想②【文章のオリジナリティ】

文章のオリジナリティ 文章にオリジナリティが欲しい。 オリジナリティのある文章に憧れます。 例えば、村上春樹さんの『風の歌を聴け』にて。 完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね とか、 誰もが知っていることを小説…

『14歳からの文章術』小池陽慈(著)の感想【一生ものの「発信力」をつける】

一生ものの「発信力」をつける 本書のタイトルの頭に、一生ものの「発信力」とあります。 一生ものの「発信力」とは、何でしょうか。 私にとっては、 読んだ人に、書いた文章を最後まで読んでもらえる 読んだ人に、この人の文章をまた読みたいと思ってもらえ…

『14歳からの読解力教室:生きる力を身につける』犬塚美輪(著)の感想【たくさん読む以外の方法】

たくさん読む以外の方法 読解力をつけるにはどうすればいいのか。 そう思うきっかけがありまして…… 先日、とある小説で、私は読み間違いをしました。 「グループホーム入居」を「病院入院」と勘違いし、読んでいました。 物語上は、大した違いではありません…

『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』佐宗邦威(著)の感想【創造は希望をつくる力】

創造は希望をつくる力 著者の経歴がすごいです。 東京大学法学部卒。イリノイ工科大学デザイン学科修士課程修了。P&Gにて、ファブリーズ、レノアなどのヒット商品のマーケティングを手がけたのち、ジレットのブランドマネージャーを務めた。その後、ソニーに…

『プロだけが知っている 小説の書き方』森沢明夫(著)の感想【読みやすくて初心者向け】

読みやすくて初心者向け 「小説の書き方」は、 何が書かれてるか以前に、誰が書いてるかが重要だと思います。 森沢さんは、 吉永小百合さん主演の映画の原作 有村架純さん主演の映画の原作 を書いています。 「小説の書き方」の、申し分ない書き手と言えます…

『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』西岡壱誠(著)の感想

「伝える力」と「地頭力」を高める方法 東大作文を学べばブログに活かせる。 そう思い、手に取りました。 が、そんな甘いものではありませんでした。 最後に「要するに何が言いたかったのか」をまとめて終わるというのが、作文における絶対の原則なんです。…

『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』西岡壱誠(著)の感想

読む力と地頭力を身につける方法 読む力、欲しいです。 地頭力、もっと欲しいです。 資料を一読して、自分の考えを持てるようになりたいです。 本を読んだ後に感想文を書いてるので、読むことにはそこそこ自負がありました。 が、まだまだでした。 著者は東…

『東大メンタル』の感想【「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術】

やりたくないことでも結果を出す やりたくないことで結果を出す。 簡単なことではありません。 例えば、大学受験。 勉強したいと思う高校生は、どれくらいいるのでしょうか。 私は高校生のとき、勉強はやりたくありませんでした。 「ドラゴン桜」は知ってま…

『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』穂高唯希(著)の感想【30歳でセミリタイア】

30歳でセミリタイア 著者の穂高さんは、30歳でセミリタイアしました。 30歳でFIREは、現実的に可能なのか。 疑ってしまいますが、事実のようです。 22歳で就職し、30歳でセミリタイア。 そんな短期間で、どうやってセミリタイアするのでしょうか。 穂高さん…

『人生を変える「続ける」技術』の感想【ブログを続けられない理由】

ブログを続けられない理由 ブログを定期的に更新できません。 救いを求め、手に取った一冊です。 タイトルに惹かれました。 人生を変える 続ける技術 今の自分に合ってると思いました。 人生を変えるは置いといて、続ける技術は欲しいです。 継続率を下げる…

Kindle Unlimited3か月無料キャンペーンで読んで良かった本【2023年7月~9月】

読んで良かった本 私は、キャンペーンのときだけ、Kindle Unlimitedに加入します。 理由は2点。 キャンペーン以外だと、1か月980円かかる いつでも読める状態だと、読まない(期限が決まってた方が読める) 今回のキャンペーン期間(2023年7月~9月)では、3…

『寝そべり族マニュアル』ゆるふわ無職(著)の感想【必要以上に働いたら負け】

必要以上に働いたら負け 寝そべり族とは、 頑張ることをやめて、最低限だけ働き、最低限の文化的生活を送る 競争社会に疲れた中国の若者たちを表す言葉です。 著者のゆるふわ無職さん(以下、ゆるふわさん)は、 週三で五時間だけバイトで働き、月六万円程度…

『40代にしておきたい17のこと』本田健(著)の感想【得意なこと、不得意なことを見直す】

得意なこと、不得意なことを見直す 私は30代ですが、先取りしようと思い、読みました。 『○○代にしておきたい』シリーズでは、10代、20代、30代を読んできました。 『30代にしておきたい17のこと』で印象に残ったのは、 30代のうちに、「この分野で生きてい…

『#シンFIRE論』穂高唯希(著)の感想【経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法】

経済・精神の自由を手に入れる なぜ「FIRE」を目指すのか、考えるきっかけになりました。 「FIRE」と聞いて私が感じるのは、早期退職して悠々自適に過ごすことです。 しかし、穂高さんは違います。 私の考えるFIREとは、「早期退職して働かないこと」ではな…

『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』河野英太郎(著)の感想【変えられないならその組織から去る】

変えられないならその組織から去る 私は、社会人になって10年目を過ぎました。 10年間、よく働いてこれたと思います。 働きたくないと思いながらも、ここまできました。 幸い、10年間は大きな壁にぶち当たらなかった気がします。 実は壁にぶち当たっていたの…

映画「Dr.コトー診療所」の感想【人を救うのは】

人を救うのは 「Dr.コトー診療所」は、沖縄の離島で働く一人の医者と、島で暮らす人々を、描いた作品です。 医者の名前が五島(ごとう)で、あだ名がコトーです。 2003年、2004年、2006年に放送されて、2022年に映画化されました。 子どもの頃に見ていたとき…