いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』西林克彦 (著)の感想【部分が読めていない】

部分が読めていない

文章を正しく読みたいです。

本書は、『14歳からの読解力教室:生きる力を身につける』犬塚美輪(著)で紹介されてました。

よりよく読もうとするさいに、私たち読み手にとって最大の障害になるのが、自分自身の「わかった」という状態です

「わかった」状態なのに、実は「わかっていない」状態なわけです。

どういうこと?

と思いますが、本書を読んで思い知りました。

本書は、

  • 小学校の国語教科書の文章
  • センター試験で出題された文章

などを参考に、私が不十分な読みをしていたかを教えてくれました。

小学校の教科書に載っている文章なので、「わかった」状態になります。簡単じゃんとさえ思います。

しかし、西林さんの解説を読むと、自分がいかにわかっていなかったか、思い知らされます。

ぜんぜん読めてないじゃん!

どうしてわかったつもりになってしまったのでしょうか。

浅いわかり方から抜け出すことが困難なのは、その状態が「わからない」からではなくて、「わかった」状態だからなのです

小学校の国語の文章ですから、一読して「わかった」と思ってました。

「わかった」状態だと、「よりわかった」状態になる必要性を感じないというわけです。

「わかった」と思ったら、それ以上何かを追求しようとは思いません。

そういうことねと、「わかった」状態になります。

実は、「わかっていない」状態だとはわからずに。

「よりよくわかる」ための障害は、文章を「わからない」ことではなくて、文章を読んで「わかったつもり」になることなのです

「わかったつもり」について、2つ紹介されています。

  • 不十分な読み
  • 間違った読み

いずれにしても、原因は、「部分が読めていない」からだと西林さんは言います。

明確な文脈が存在し、それにあわせる形で部分が漠然と読まれたり、不正確に読まれたり、読み飛ばされたりしているのです

  • 部分が漠然と読まれている
  • 部分が不正確に読まれている
  • 部分が読み飛ばされている

これらを解消しなければ、「よりよくわかる」ようにはならないのでしょう。

では、どうすれば部分を正しく読み、「よりよくわかる」ようになれるのでしょうか。

西林さんは、「敵は自分」だと言います。

自分は「わかっている」と思っているけれど、「わかったつもり」の状態にあるのだ、と明確に認識しておくことが必要です

「わかった」と、早合点してはいけないのでしょう。

冒頭を読んで「ああ、あのことね」という先入観を持って読むのは、危険だと思いました。

本書では「わかったつもり」の壊し方が、紹介されています。

しかし、私はその壊し方を、具体的に消化できませんでした。

私が「わかったつもり」を壊すためにしようと思うことは、

  • ゆっくり読む
  • 先入観を持たずに読む
  • わからないことはないかと自問する(本当にないか?)
  • よりわかりたい本なら、2回読む

部分をしっかり読むことで、不十分な読みや間違った読みを防ぎます。

また、解釈についての西林さんの考えが参考になりました。

解釈が妥当であるかどうかを「正しさ」に求めるのではなくて、周辺の記述や他の部分記述との「整合性」だけに求めたい、というのが私の考えです。

整合性があれば、多様な解釈が認められるというのは、感想を書く上で、参考になる考え方でした。