いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『祝宴』温又柔(著)の感想【娘に同姓の恋人がいたら】(野間文芸新人賞候補)

娘に同姓の恋人がいたら 主人公は、67歳になった今も、会社のプロジェクトを統括するビジネスマンです。 中国 台湾 日本 を行き来します。 妻と娘2人は日本にいて、下の娘の結婚式(祝宴)に出席しました。 結婚式の夜、37歳の上の娘は言います。 かのじょの…

『くるまの娘』宇佐見りん(著)の感想①【車で生活する女子高生】(野間文芸新人賞候補)

車で生活する女子高生 『かか』(文藝賞受賞、三島賞受賞、野間文芸新人賞候補) 『推し、燃ゆ』(芥川賞受賞) に続き、著者の3作目です。 出す作品すべて、何かしらの賞にノミネートされており、相当な実力です。 初めて宇佐見さんの作品を読む方なら、文章力…

『ケチる貴方』石田夏穂(著)の感想【仕事のコツを新人に教えるか】(野間文芸新人賞候補)

仕事のコツを新人に教えるか タイトルから、「ケチな人間」を非難する作品だと思いました。 タイトルに「貴方」があるので、ケチな旦那を非難する話とか。 全く違いました。ケチなのは、主人公自身です。 備蓄用タンクの設計と施工を請け負う会社に勤める 7…

【野間文芸新人賞予想】第44回候補作発表(2022年)

野間文芸新人賞候補作発表 2022年9月27日、野間文芸新人賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2021年11月4日(金)です。 以下、候補作をまとめ、受賞予想をいたします。 『ケチる貴方』石田夏穂 初の候補です。 群像 2022年 03 月号 [雑誌] 講…

『MISSING 失われているもの』村上龍(著)の感想③【人生最大の失敗】

人生最大の失敗 感想①はこちらです。 感想②はこちらです。 村上龍さんの私小説的小説として読みました。 本書では、主人公の人生最大の失敗が語られています。 よって、村上さんの人生最大の失敗として、読めてしまいます。 わたしは独り暮らしだ。貧乏学生…

『MISSING 失われているもの』村上龍(著)の感想②【『初恋と美』とデビュー作】

『初恋と美』とデビュー作 感想①はこちらです。 本作を、村上龍さんの私小説的小説として読みました。 主人公は、中学生のとき、作文で賞を受賞します。 タイトルは『初恋と美』です(ちなみに村上さんも、同じタイトルでPTA新聞の市長賞をもらっているよう…

『MISSING 失われているもの』村上龍(著)の感想①【私小説的小説】

私小説的小説 金原ひとみさんが、 『文藝 2022年秋季号』の 「私小説的小説10」 で本書を選んでいたので、私小説に近い小説として読みました。 実際、私小説に近いと感じました。例えば、 主人公が、佐世保市出身の小説家 章のタイトルに「ブルー」があり、…

「夜と霧 新版」フランクル(著)の感想②【強制収容所に入れられたら】

強制収容所に入れられたら 感想①はこちらです。 ナチス強制収容所のような出来事は二度とないと信じたいです。 ただ万が一、強制収容所に入れられたら、どうしたらよいでしょうか。 本書を読んで、外面的、内面的に対処法があると考えました。 まず外面の対…

「夜と霧 新版」フランクル(著)の感想①【ナチス強制収容所での実体験】

ナチス強制収容所での実体験 本書を読んだのは、『東大から刑務所へ』を読んだからです。 感想はこちらです。 元大王製紙の会長である井川意高さんが、刑務所で唯一泣いたのが、『夜と霧』を読んだときだったそうです。 ナチスがやったこと、ユダヤ人が体験…

朝ドラ「舞いあがれ!」の感想【マンネリと神回】

マンネリと神回 夜に放送している連続ドラマは見ていませんが、朝ドラは見ています。 カムカムエヴリバディ ちむどんどん 舞いあがれ! と、3期連続見ています。 面白いからというより、習慣です。 一話15分だから見やすい 放送が月から金(祝日も放送)なの…

『ビニール傘』岸政彦(著)の感想【居場所を失ったら生きていけないのか】(芥川賞候補、三島賞候補)

居場所を失ったら生きていけないのか 大阪が舞台。人物の視点がころころと切り替わります。 ときにはタクシー運転手の男性、ときにはガールズバーの女性。 視点の切り替わりは、一つの場所に居続けない人間みたいです。 コンビニ店員や美容師など、サービス…

『給水塔』岸政彦(著)の感想【大学院に落ちて日雇いの肉体労働】

大学院に落ちて日雇いの肉体労働 著者の岸さんは、大学院に落ちて、日雇いの肉体労働を始めました。 現場には、和服の着物を着てくる細身の若い男性がいました。 彼は西成が好きで、東京から大阪に来て、日雇い労働をしていました。 ドカタのおっさんたちか…

『図書室』岸政彦(著)の感想【挨拶のいらない人間関係】(三島賞候補)

挨拶のいらない人間関係 主人公は50歳の女性。団地で一人暮らしです。 ある雨の日、猫がほしくなった主人公は、小学生の頃を回想します。 主人公は当時、母親と二人暮らし。猫もいました。 母はスナックで働いていて、帰りが遅いです。 主人公は放課後、家の…

『大阪』岸政彦、柴崎友香(著)の感想【自由な野犬、鎖で繋がれてうなだれている犬】

自由な野犬、鎖で繋がれてうなだれている犬 岸さんと柴崎さんのエッセイが、交互に書かれています。 岸さんは、大学進学時に名古屋から大阪に来て、30年以上住んでいます。 柴崎さんは、生まれも育ちも大阪。2005年に大阪を出て、東京に住んでます。 岸さん…

『世界の終わりの終わり』佐藤友哉(著)の感想②【まじめに働いていても愚民】

まじめに働いていても愚民 感想①はこちらです。 主人公は、売れない作家です。 二年ほどかけて六作の長編小説を書いたが、どれも出版部数がふるわず、講談社から出版することができなくなった。 講談社という出版社名まで出ています。 講談社は、著者がデビ…

『世界の終わりの終わり』佐藤友哉(著)の感想①【金原ひとみ「私小説的小説10」】

金原ひとみ「私小説的小説10」 金原ひとみさんが、 『文藝 2022年秋季号』の 「私小説的小説10」 で本書を選んでいたので読みました。 厳密には、 金原さんが「私小説的小説10」で本書を取り上げ、 私が『世界の終わりの終わり』というタイトルに興味を持っ…

『カルチャーセンター』松波太郎(著)の感想②【オブセッションでは受賞できない】

オブセッションでは受賞できない 感想①はこちらです。 主人公のマツナミは、小説を書き、読み、合評するカルチャーセンターに通っています。 生徒たちは、受賞に向け、作品を書いています。 主人公は、回転寿司店の中で始まって終わる小説を書きました。 主…

『カルチャーセンター』松波太郎(著)の感想①【切迫した感情が煮詰まった作品】

切迫した感情が煮詰まった作品 私小説に近いフィクションとして読みました。 マツナミという登場人物は、著者本人だと思われます。 カルチャーセンターは、小説を書いて、読んで、合評するスクールです。 本書は三部構成で、 マツナミが語り手。カルチャーセ…

『もう内向型は組織で働かなくてもいい』堤ゆかり(著)の感想【内向型コンサルタントという仕事】

内向型コンサルタントという仕事 内向型、外向型とは何でしょうか。 内向型は自分の内側(感覚や感情・思考など)に興味のベクトルが向かいやすく、外向型は自分の外側で起きている出来事や他人に興味のベクトルが向かいやすい 内向型と外向型は、半々ずつい…

『ユーチューバーが消滅する未来』岡田斗司夫(著)の感想【SAOの世界が実現すれば】

SAOの世界が実現すれば 本書は2018年に出版されています。 著者の岡田さんは、 20年、30年というスパンで考えたら人間にはどんな仕事も残らない と書いてます。 YouTuberについては、もっと辛辣です。 10年後にどうなっているかというと、日本で活躍している…

『完全教祖マニュアル』架神恭介、辰巳一世(著)の感想【教祖になる方法】

教祖になる方法 教祖って聞くと、身を引いてしまいます。 怪しげな勧誘をされるのではないか。 心配ありません。本書での教祖は、 多くの人をハッピーにしながら、大きな尊敬を受ける 人のことです。 本書を読めばあなたも教祖になれる! ここまで読んだあな…

『東大から刑務所へ』の感想【堀江貴文と井川意高が泣いた本】

堀江貴文と井川意高が泣いた本 堀江さんは元ライブドアの社長。井川さんは元大王製紙の会長です。 本書は二人の対談形式で、共通点は、 東京大学に入学 刑務所で服役 それに加え、服役中、二人とも読書をしていました。 二人がそれぞれ泣いた本として、一冊…

『シンプリスト生活』Tommy(著)の感想②【適職と天職の違い】

適職と天職の違い 感想①はこちらです。 適職と天職、何が違うのでしょうか。 適職:得意を活かした、その人の能力や才能などに合った職業(例:気配りが得意な人が、接客業についた場合) 天職:お金とは関係なく、時間を忘れて没頭できるような好きなこと …

『シンプリスト生活』Tommy(著)の感想①【ミニマリストとの違い】

ミニマリストとの違い シンプリストとミニマリスト、何が違うのでしょうか。 ミニマリスト:必要や便利を切り詰めてでも、モノを減らすことを優先 シンプリスト:モノゴトの優先順位を整理し、自分に正直でいることを重視して行動 著者のTommyさんは、ミニマ…

『ほんのこども』町屋良平(著)の感想【誰の何のための小説か】(野間文芸新人賞候補)

誰の何のための小説か 私小説に近いフィクションとして読みました。 物語をたどるよりも、小説とは何かを考える読書体験でした。 メインの登場人物は、以下のとおり。 私(著者:町屋良平) あべくん(小学校時代の同級生) 町屋さんは、19歳のときにあべく…

『手放す練習』ミニマリストしぶ(著)の感想【大事なことを強調するため少なくする】

大事なことを強調するため少なくする 本書でのミニマリストとは、 大事なことを強調するために、あえて少なくする人 のことです。 ミニマリストしぶさんは、 4畳半 家賃2万円 のワンルームマンションに住んでいたそうです。 「来月の家賃どうしよう」といっ…

『中田式 ウルトラ・メンタル教本』中田敦彦(著)の感想【最高の仕事とは】

最高の仕事とは 中田さんは、「最高の仕事」を、以下の5つすべてを満たすものだと言います。 成果を出している 周囲に認められている 満足な報酬が得られている やりたい職種に就いている 気の合う仲間がいる ハードルが高いです。 一番重要なのは①だと思っ…