いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いています。

芥川賞

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果篇)」の感想【第162回芥川賞の選考委員をメッタ斬り】

番組概要 1月15日(水)に第162回芥川賞、直木賞が決まりました。 芥川賞:古川真人『背高泡立草』 背高泡立草 (集英社文芸単行本) 作者:古川真人 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2020/01/24 メディア: Kindle版 直木賞:川越宗一『熱源』 【第162回 直木…

第162回芥川賞・直木賞受賞作発表、会見、選評(2019年下半期)の感想

第162回芥川賞・直木賞受賞作発表 2020年1月15日(水)、芥川賞と直木賞の受賞作が発表されました。 芥川賞は、古川真人『背高泡立草』 【第162回 芥川賞受賞作】背高泡立草 作者:古川 真人 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2020/01/24 メディア: 単行本 雑…

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想篇)」の感想【第162回芥川賞、直木賞を徹底予想】

番組概要 1月15日(水)に第162回芥川賞、直木賞が決まります。 受賞作の決定前に、どの作品が受賞するかを予想するラジオ番組です。 出演者(予想する方) 大森望(書評家、SF翻訳家) 豊崎由美(書評家) 芥川賞候補作(5作品) 木村友祐『幼な子の聖戦』 …

『音に聞く』高尾長良(著)の感想【言葉か音か】(芥川賞候補)

言葉か音か 主人公(姉)は翻訳の仕事、妹は作曲をしています。 姉=言葉 妹=音 に、象徴されます。 主人公は、妹に良き指導者をと考え、 音楽理論の専門家である父に会いに、姉妹でウィーンへ行きます。 母と離婚した父は、ウィーンで暮らしていました。 …

『背高泡立草』古川真人(著)の感想【放置された物の歴史】(芥川賞受賞)

放置された物の歴史 母の実家に、使われないまま放置されている納屋があります。 納屋の周りには草が生い茂っており、その草を刈るため、親族が集まります。 主人公 母 母の姉 母の姉の子 母の兄 主人公は、草を刈る必要はないと思っています。 納屋は使われ…

『最高の任務』乗代雄介(著)の感想【卒業式後の家族旅行】(芥川賞候補)

卒業式後の家族旅行 主人公の女子大生は、卒業式に出たくありません。 卒業式に行くか行かないかぐらい自分で決める。お母さんだって来るわけじゃないんだし、それでいいでしょ(p.8) 母親は言います。 「行く」 「は?」 「家族みんなで」(p.8) 家族で卒…

『幼な子の聖戦』木村友祐(著)の感想【幼なじみの選挙を妨害】(芥川賞候補)

幼なじみの選挙を妨害 地元の村長選に、幼なじみが立候補しました。 現職の村長が、スキャンダルを期に辞任したからです。 村議会議員をしている主人公は、幼なじみを応援する予定でした。 ですが、村の有力者の応援を受けて対立候補が出馬し、その応援者か…

芥川賞予想 第162回芥川賞候補作発表、掲載誌まとめ(2019年下半期)

第162回芥川賞候補作決定 2019年12月16日、芥川賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、2020年1月15日(水)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめます。 木村友祐『幼な子の聖戦』 初の候補です。 前回(161回)の芥川賞で、古市憲寿さんの『百の…

『1973年のピンボール』村上春樹(著)の感想【あの時できなかったこと】(芥川賞候補)

あの時できなかったこと あの時できなかったことが、今ならできるかもしれない。 そう思い、行動するには、ある程度の時間が必要です。 主人公は、大学時代にピンボール台「スペースシップ」に没頭していました。 ですが、ゲームセンタ―の突然の閉店で「スペ…

『風の歌を聴け』村上春樹(著)の感想【Happy Birthday and White Christmas】(群像新人賞受賞、芥川賞候補)

Happy Birtday and White Christmas 『Happy Birthday and White Christmas』は、村上春樹さんが本作を応募したときのタイトルです。 受賞の段になり、タイトルが『風の歌を聴け』に変更されたそうです。 なぜ、変更されたのかはわかりません。 確かに『風の…

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果篇)」の感想【第161回芥川賞、直木賞の選考委員をメッタ斬り】

番組概要 7月17日(水)に第161回芥川賞、直木賞が決定しました。 芥川賞:今村夏子『むらさきのスカートの女』 むらさきのスカートの女 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2019/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 直…

第161回芥川賞・直木賞作品発表、会見、選評(2019年上半期)の感想

芥川賞は、今村夏子『むらさきのスカートの女』 むらさきのスカートの女 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2019/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 今村さんは受賞すると思っていなかったようです。 (受賞会見から)…

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想篇)」の感想【第161回芥川賞、直木賞を徹底予想】

番組概要 7月17日(水)に第161回芥川賞、直木賞が決まります。 受賞作の決定前に、どの作品が受賞するかを予想するラジオ番組です。 出演者(予想する方) 大森望(書評家、SF翻訳家) 豊崎由美(書評家) 芥川賞候補作(5作品) 今村夏子『むらさきのスカ…

『百の夜は跳ねて』古市憲寿(著)の感想【鼻につく窓拭きの青年】(芥川賞候補)

死と隣り合わせの仕事 前作『平成くん、さようなら』では、安楽死を望む青年の話でした。 本作の主人公は、窓拭きの仕事をしている青年です。 青年の耳には、死んだ先輩の声が聞こえます。こんなふうに。 そこで生まれてはいけないし、死んではいけない。そ…

『むらさきのスカートの女』今村夏子(著)の感想【さらりと読めるが、ざらりと残る】(芥川賞受賞)

さらりと読めるが、ざらりと残る 今村夏子さんの作品は読みやすいです。 シンプルな言葉と気になる展開が、先へと読ませます。 ですが、読みやすい=あっさり、ではありません。 読み終わった後に起こる感情は、以下のようなものです。 結局何の話だったの?…

『ラッコの家』古川真人(著)の感想【人とのつながりの大切さ】(芥川賞候補)

現実と思考の行き来 主人公のタツコは、アパートで一人暮らししている高齢の女性です。 夫に先立たれましたが、姪やその子どもがよく遊びに来ています。 彼女たちから、タツコはタッコという愛称で呼ばれています。 たわいもない会話が弾み、笑い声が絶えま…

『五つ数えれば三日月が』李琴峰(著)の感想【大切な人が可哀そうであってほしい】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

5年間、会わずに思い続けること 5年間会わなかった人を、思い続けることができますか? この作品の主人公(女性)は、大学院時代から好意を寄せていた女性と、5年の月日を経て再会します。 その女性は結婚し、台湾で暮らしています。 日本で働く主人公は、彼…

『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』高山羽根子(著)の感想【書かれていない大事なこと】(芥川賞候補)

読みやすいが難しい 『居た場所』に続き、芥川賞候補です。 前作同様、読みやすいです。 ですが、この作品が何を言いたいのか考え出すと、難しくなります。 本作は、主人公の幼少時代から社会人までを描いているのですが、 結局何が言いたいの? と、投げ出…

【芥川賞予想】第161回芥川賞候補作発表・掲載誌まとめ(2019年上半期)

第161回芥川龍之介賞候補作決定 2019年6月17日、芥川賞の候補5作品が発表されました。 以下、候補作と掲載誌をまとめます。 今村夏子『むらさきのスカートの女』 第155回の候補『あひる』、第157回の候補『星の子』に続いて3度目の候補です。デビュー作の『…

『雪子さんの足音』木村紅美(著)の感想【人との距離感を考えたい人に】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

野間文芸新人賞がきっかけ 普段あまり読まない新人賞ですが、2018年の受賞作、候補作が面白かったので、手を伸ばすことにしました。 受賞作、候補作はこちらです。(太字は読了) 金子薫『双子は驢馬に跨がって』(受賞) 乗代雄介『本物の読書家』(受…

『風下の朱』古谷田奈月(著)の感想【健康と野球からジェンダーを考える】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

芥川賞候補作 受賞作は読むのですが、候補作はあまり手にとりません。 しかし、受賞作や候補作が面白かったので手を伸ばしました。 受賞作、候補作はこちらです。(太字は読了) 高橋弘希『送り火』(受賞) 古谷田奈月『風下の朱』 北条裕子『美しい顔』 町…

『蛇にピアス』金原ひとみ(著)の感想【生きるのがしんどい人に】(芥川賞受賞)

デビュー作で芥川賞 『蛇にピアス』は、綿矢りさ『蹴りたい背中』とダブルで芥川賞を受賞しました。 綿矢さんは2作目であったのに対し、金原ひとみさんはデビュー作での受賞です。 解説の村上龍さんの『限りなく透明に近いブルー』もデビュー作で芥川賞を受…

『居た場所』高山羽根子(著)の感想【考えながらじっくり読書したい人に】(芥川賞候補)

芥川賞候補作(2019年下半期) 芥川賞は毎回読みますが、候補作は興味をそそられたものだけ読みます。 本書『居た場所』は、選考委員の小川洋子さんが推していたので気になっていました。 三作に絞られたあとの二回めの投票で、私は『居た場所』に丸をつけた…