いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

野間文芸新人賞

『日曜日の人々』高橋弘希(著)の感想【自傷する若者の集まり】(野間文芸新人賞受賞)

自傷する若者の集まり 「日曜日の人々」とは、自助グループのメンバーが書いた原稿を、まとめた冊子です。 そのグループは、病を語れる場所があればというきっかけでできました。 活動場所は、ワンルームマンションの一室です。 原稿をメンバーの前で読んだ…

第41回野間文芸新人賞受賞作発表(2019年)の感想

第41回野間文芸新人賞受賞作 2019年11月6日(水)に発表されました。ダブル受賞です。 古谷田奈月『神前酔狂宴』 神前酔狂宴 作者: 古谷田奈月 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/07/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 千葉雅也『デ…

【野間文芸新人賞予想】第41回候補作発表・掲載誌まとめ(2019年)

野間文芸新人賞候補作発表 2019年10月1日、野間文芸新人賞の候補6作品が発表されました。 受賞作の発表は、2019年11月6日(水)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめます。 古谷田奈月『神前酔狂宴』 『無限の玄/風下の朱』に続き、2回連続の候補です。 神…

『如何様』高山羽根子(著)の感想【戦争から帰ったら別人に】(野間文芸新人賞候補)

戦争から帰ったら別人に 戦争は人を変えると言います。 その言葉どおり、戦争から帰ってきた男の見た目が、別人になっていました。 見た目は明らかに別人なのに、男の両親も、男の妻も、さほど気にしていません。 むしろ、帰ってきたのがありがたいと、男の…

『前立腺歌日記』四元康祐(著)の感想【ユーモアな前立腺がん闘病記】(野間文芸新人賞候補)

ユーモアな前立腺がん闘病記 前立腺がんの闘病記と聞くと、シリアスかつ下の話が多いのではと、思うかもしれません。 ですが、ユーモアです。(下の話が多いのは否定しません) 手術の場合の後遺症って、なんなんですか? と私は訊いた。 主に尿漏れと性的不…

『神前酔狂宴』古谷田奈月(著)の感想【披露宴の滑稽さを高めるため全力で働く男】(野間文芸新人賞受賞)

披露宴の滑稽さを高めるため全力で働く 神前酔狂宴を文字どおり読むと、神の前で酔い狂う宴。 主人公は、結婚披露宴の会場の派遣スタッフです。 結婚披露宴って何?(中略)なんでみんな、結婚を披露するの?(p.40) そう思いながら、時給が高いので働いて…

『デッドライン』千葉雅也(著)の感想【締め切りに追われるゲイの大学院生】(野間文芸新人賞受賞、芥川賞候補)

締め切りに追われるゲイの大学院生 デッドライン=修士論文の締め切りです。 主人公は、哲学を研究する大学院生です。 とりあえず惰性でモースの研究を続けていた。それでいいのかどうかはまだよく考えていなかった。(p.10) モースの研究をするのは、流さ…

『青痣』宮下遼(著)の感想【母に一人残された少女】(野間文芸新人賞候補、三島賞候補)

母に一人残された少女 二人暮らしの家から、母が消えます。 母の最後の言葉です。 「ジターヌを切らしてるみたいなの」 (中略) 「だから、ちょっと買いに行ってくるわ」(p.37) ジターヌ(煙草)を買いに、少女から離れる母。 少女は、子を預かっている貸…

『五つ数えれば三日月が』李琴峰(著)の感想【大切な人が可哀そうであってほしい】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

5年間、会わずに思い続けること 5年間会わなかった人を、思い続けることができますか? この作品の主人公(女性)は、大学院時代から好意を寄せていた女性と、5年の月日を経て再会します。 その女性は結婚し、台湾で暮らしています。 日本で働く主人公は、彼…

『雪子さんの足音』木村紅美(著)の感想【人との距離感を考えたい人に】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

野間文芸新人賞がきっかけ 普段あまり読まない新人賞ですが、2018年の受賞作、候補作が面白かったので、手を伸ばすことにしました。 受賞作、候補作はこちらです。(太字は読了) 金子薫『双子は驢馬に跨がって』(受賞) 乗代雄介『本物の読書家』(受…

『風下の朱』古谷田奈月(著)の感想【健康と野球からジェンダーを考える】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

芥川賞候補作 受賞作は読むのですが、候補作はあまり手にとりません。 しかし、受賞作や候補作が面白かったので手を伸ばしました。 受賞作、候補作はこちらです。(太字は読了) 高橋弘希『送り火』(受賞) 古谷田奈月『風下の朱』 北条裕子『美しい顔』 町…

『無限の玄』古谷田奈月(著)の感想【非現実を現実的に思わせる濃密な文章】(三島賞受賞、野間文芸新人賞候補)

野間文芸新人賞がきっかけ 私は芥川賞受賞作は読みますが、非公募型の純文学系新人賞の残り二つ、三島賞と野間文芸新人賞の作品はあまり読んできませんでした。 ですが、2018年の野間文芸新人賞受賞作が面白かったので、手を伸ばすことにしました。 受賞…