いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

「夜と霧 新版」フランクル(著)の感想①【ナチス強制収容所での実体験】

ナチス強制収容所での実体験

本書を読んだのは、『東大から刑務所へ』を読んだからです。

感想はこちらです。

元大王製紙の会長である井川意高さんが、刑務所で唯一泣いたのが、『夜と霧』を読んだときだったそうです。

ナチスがやったこと、ユダヤ人が体験したことを、極めて淡々と本に書いているあの本には激しく心を揺さぶられた

ギャンブルで100億円以上熔かした井川さんが、涙を流した作品がどのようなものか、気になりました。

私は泣けませんでした。語られる世界が異次元すぎて、傍観していました。

感情を揺さぶられなかったのは、もう二度とこんなことはあり得ないと、思い込んでいるからでしょう。

淡々と語られるので、報告書を読んでいるようです。

井川さんの場合は、刑務所の環境と強制収容所がリンクし、より強く刺さったのかもしれません。

『夜と霧』は、著者のナチス強制収容所での実体験をもとに、描かれています

  • 暴力
  • 飢餓
  • 病気
  • 自殺
  • ガス室送り

強制収容所は死と隣り合わせ、というより死と同居しています

煙草は、物々交換の元手になります。

十二本の煙草はなんと十二杯分のスープを意味し、十二杯分のスープはさしあたり二週間は餓死の危険から命を守ることを意味した

(中略)煙草をたしなむとは、(中略)生き延びることを断念して捨て鉢になり、人生最後の日々を思いのままに「楽しむ」ということなのだった。

仲間が煙草を吸い始めると、著者たちは、「行き詰ったな」と察したようです。

誰も煙草を吸うのを止めたり、自殺を止めたりはしません。

死体はころがっています。

著者の両親と妻は、亡くなりましたガス室送り、または餓死によってです

著者だけが生き残りました。

先に収容されていた者が助言します。

髭を剃れ、立ったり歩いたりするときは、いつもぴしっとしてろそうすれば、ガス室なんて恐れることはない

働けなさそうな者は、ガス室送りです。

働けるように見えれば、少なくとも死は避けられるという助言です。

人間はなにごとにも慣れる存在だ、と定義したドストエフスキーがいかに正しかったかを思わずにいられない。

著者は強制収容所で、人間はなにごとにも慣れる存在であることを実体験しました。

  • 縦2×横2.5メートルの板敷きに、9人で横になって眠れた
  • 歯を一度も磨かなかったのに、歯茎は健康だった
  • 半年間同じシャツだったが、傷口は化膿しなかった

刑務所とは比べられないほど過酷な環境でしょう。

何が厳しいって、

被収容者は解放までの期限をまったく知らなかった

刑務所であっても服役期間は定められています。

いつまで続くかわからないなんて、どうしたらよいのでしょうか。

どうしようもできません。

こんなことは二度とないと思い込んでいますが、万が一、このような環境に陥ったらどう生きるかを、次回考えてみます。

感想②はこちらです。