読みやすくて初心者向け
「小説の書き方」は、
何が書かれてるか以前に、誰が書いてるかが重要だと思います。
森沢さんは、
- 吉永小百合さん主演の映画の原作
- 有村架純さん主演の映画の原作
を書いています。
「小説の書き方」の、申し分ない書き手と言えます。
森沢さんは、キャラクターの変化を軸にして、構成を考えるそうです。
- どんな課題(目的)を抱えた主人公が
- どこで、何(誰)と出会い
- どんな経験(試練など)を乗り越えて
- どんな人へと成長するか
つまり、主人公の成長の変遷を描くことを軸とするわけです。
確かに、主人公に変化のない作品は、退屈です。
では、どのようにしてキャラクターを立ち上げていくのか。
森沢さんは、主要キャラクターに「長所と短所を持たせる」そうです。
人は長所で尊敬され、短所で愛される生き物です。
現実でも小説のなかでも、長所と短所の両方があってこそ、人は魅力的になるのです。
主人公のキャラクターを決めるときは、
名前、性別、身長、体格、年齢、髪型、性格、服装といった基本的なモノから書いていき、爪を短く切るタイプ。趣味がギターだけどあまり上手じゃない。両親はともに教師で厳しく育てられた。可愛がってくれた姉に頭が上がらない。わりと気は強いのに注射は苦手。いわゆるB型気質。春は花粉症に悩む。夏が好き。早起きが苦手。女性には人見知りをする。魚をさばけるのが自慢……といった感じで、ひたすら細かいことまで列挙していきます。
主人公については、A4サイズの紙がぎっしり埋まるくらい(サブキャラは半分から7割程度)、書くそうです。
キャラクターができて、構成ができたら、どう書くかです。
「人物を説明するための文章」を書いてはいけません。
(中略)「物語の流れのなかで、自然と読者に人物を理解させる文章」を書くことです。
「よくある失敗例」と「プロの書き方」の文章の違いが秀逸でした。
「よくある失敗例」の一部を抜粋します。
残念なことに、ぼくという小説家を漢字二文字で表すならば、「怠惰」ということになるだろう。
「ぼくという小説家を漢字二文字で表すならば」と説明してしまってます。
とはいえ、書いてしまいそうな文章だと思いました。
読者に説明するのでなく、読者に理解してもらえる文章を書く。勉強になりました。
他に参考になったのは、「なるべく感情を書かない」点です。
例えば、「ぼくは悲しかった」とか「ぼくは悔しかった」などとは書きません。
悲しいとき、身体のどこにどんな動きと感覚が生じたか。悔しいとき、身体のどこにどんな動きと感覚が生じたか。
(中略)そのほうが、キャラクターの感情がリアルに伝わるからです。
本書は読みやすく、私にとって学びが多かったです。
次回小説を書くときには、
- 構成を書く(どんな課題(目的)を抱えた主人公が、どこで、何(誰)と出会い、どんな経験(試練など)を乗り越えて、どんな人へと成長するか)
- 登場人物の情報を書く(主要キャラはA4一枚。サブキャラは半分)
- 構成に従ってプロットを書く
- プロットに沿って文章を書く(説明ではなく物語を書く。感情ではなく動きと感覚を書く)
小説はもう書かないだろうと思ってました。
この2年、新人賞の予選に通過しなかったからです。
書いたところで、もう通らないだろうと。
諦めた方が、書く時間を他に使えるので、自分のためになるだろうと。
本書を読んだのは、図書館で予約の順番待ちが回ってきたからです。
半年近く予約待ちしていたと思います。
予約をキャンセルすればいいのに、なぜかできませんでした。
小説を書きたい気持ちは、今のところありません。
でも本書を読めて良かったと思いました。