いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『プロだけが知っている 小説の書き方』森沢明夫(著)の感想【読みやすくて初心者向け】

読みやすくて初心者向け

「小説の書き方」は、

何が書かれてるか以前に、誰が書いてるかが重要だと思います。

森沢さんは、

  • 吉永小百合さん主演の映画の原作
  • 有村架純さん主演の映画の原作

を書いています。

「小説の書き方」の、申し分ない書き手と言えます。

森沢さんは、キャラクターの変化を軸にして、構成を考えるそうです。

  • どんな課題(目的)を抱えた主人公が
  • どこで、何(誰)と出会い
  • どんな経験(試練など)を乗り越えて
  • どんな人へと成長するか

つまり、主人公の成長の変遷を描くことを軸とするわけです。

確かに、主人公に変化のない作品は、退屈です。

では、どのようにしてキャラクターを立ち上げていくのか。

森沢さんは、主要キャラクターに「長所と短所を持たせる」そうです。

人は長所で尊敬され、短所で愛される生き物です

現実でも小説のなかでも、長所と短所の両方があってこそ、人は魅力的になるのです。

主人公のキャラクターを決めるときは、

名前、性別、身長、体格、年齢、髪型、性格、服装といった基本的なモノから書いていき、爪を短く切るタイプ。趣味がギターだけどあまり上手じゃない。両親はともに教師で厳しく育てられた。可愛がってくれた姉に頭が上がらない。わりと気は強いのに注射は苦手。いわゆるB型気質。春は花粉症に悩む。夏が好き。早起きが苦手。女性には人見知りをする。魚をさばけるのが自慢……といった感じで、ひたすら細かいことまで列挙していきます

主人公については、A4サイズの紙がぎっしり埋まるくらい(サブキャラは半分から7割程度)、書くそうです。

キャラクターができて、構成ができたら、どう書くかです。

「人物を説明するための文章」を書いてはいけません。

(中略)「物語の流れのなかで、自然と読者に人物を理解させる文章」を書くことです

「よくある失敗例」と「プロの書き方」の文章の違いが秀逸でした。

「よくある失敗例」の一部を抜粋します。

残念なことに、ぼくという小説家を漢字二文字で表すならば、「怠惰」ということになるだろう

「ぼくという小説家を漢字二文字で表すならば」と説明してしまってます。

とはいえ、書いてしまいそうな文章だと思いました。

読者に説明するのでなく、読者に理解してもらえる文章を書く。勉強になりました。

他に参考になったのは、「なるべく感情を書かない」点です。

例えば、「ぼくは悲しかった」とか「ぼくは悔しかった」などとは書きません。

悲しいとき、身体のどこにどんな動きと感覚が生じたか。悔しいとき、身体のどこにどんな動きと感覚が生じたか

(中略)そのほうが、キャラクターの感情がリアルに伝わるからです。

本書は読みやすく、私にとって学びが多かったです。

次回小説を書くときには、

  1. 構成を書く(どんな課題(目的)を抱えた主人公が、どこで、何(誰)と出会い、どんな経験(試練など)を乗り越えて、どんな人へと成長するか)
  2. 登場人物の情報を書く(主要キャラはA4一枚。サブキャラは半分)
  3. 構成に従ってプロットを書く
  4. プロットに沿って文章を書く(説明ではなく物語を書く。感情ではなく動きと感覚を書く)

小説はもう書かないだろうと思ってました。

この2年、新人賞の予選に通過しなかったからです。

書いたところで、もう通らないだろうと。

諦めた方が、書く時間を他に使えるので、自分のためになるだろうと。

本書を読んだのは、図書館で予約の順番待ちが回ってきたからです。

半年近く予約待ちしていたと思います。

予約をキャンセルすればいいのに、なぜかできませんでした。

小説を書きたい気持ちは、今のところありません。

でも本書を読めて良かったと思いました。