三島賞候補作発表
2021年4月21日、三島由紀夫賞の候補5作品が発表されました。
受賞作の発表は、5月14日(金)です。
以下、候補作をまとめ、受賞予想をいたします。
『水と礫』藤原無雨
初の候補です。
文藝賞を受賞したデビュー作です。
感想はこちらです。
『旅する練習』乗代雄介
初の候補です。
本作は第164回芥川賞の候補にもなりました。
感想はこちらです。
『リリアン』岸政彦
第30回の候補『ビニール傘』、第32回の候補『図書室』に続いて、3度目の候補です。
感想はこちらです。
『彼岸花が咲く島』李琴峰
初の候補です。
感想はこちらです。
『象の皮膚』佐藤厚志
初の候補です。
感想はこちらです。
受賞予想
受賞作を○△×で予想しました。
- 藤原無雨『水と礫』:△
- 乗代雄介『旅する練習』:△
- 岸政彦『リリアン』:×
- 李琴峰『彼岸花が咲く島』:○
- 佐藤厚志『象の皮膚』:×
いい作品ばかりで悩みました。
『水と礫』、『旅する練習』、『彼岸花が咲く島』のどれかが受賞だと思いますが、その中でも世界観、登場人物のどちらにも魅力のある『彼岸花が咲く島』が受賞だと予想します。
- 『水と礫』:世界観○、登場人物の魅力△
- 『旅する練習』:世界観△、登場人物の魅力○
- 『彼岸花が咲く島』:世界観○、登場人物の魅力○
『彼岸花が咲く島』の舞台は、沖縄に近いですが、沖縄ではない島です。日本語に近いですが、日本語ではない言葉が話されています。日本の歴史に近いですが、日本とは異なる歴史を持っています。現実とフィクションがうまく調和しており、異空間が読み心地の良さを生み出しています。
0から世界を立ち上げている『水と礫』にも魅力があります。ただ、登場人物の魅力は世界観の魅力ほどありませんでした。
去年、三島賞を受賞した、宇佐見りんさんの『かか』に続き、同じく文藝賞の『水と礫』が候補になっていますから、文藝賞は強いです。
- 主催元の新潮から2作(『リリアン』、『象の皮膚』)
- 文藝から1作(『水と礫』)
- 群像から1作(『旅する練習』)
- 文學界から1作(『彼岸花が咲く島』)
です。
五大文芸誌でいうと、すばるの作品がありません。
『コンジュジ』が候補になっても良かったのに、と思いました。
第34回三島由紀夫賞の受賞作発表の感想はこちらです。