いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『犬のかたちをしているもの』高瀬隼子(著)の感想【人が産んだ子をもらうか】(すばる文学賞受賞)

人が産んだ子をもらうか

 人が産んだ子とは、養子のことではありません。

 主人公の彼氏に、お金を払って会っている女性がいました。その女性の産む子です。

 彼氏は浮気をしていただけでなく、相手を妊娠させていたのです。

 主人公は、卵巣の腫瘍を切除していました。

 彼氏とは半同棲していますが、3か月以上性交渉はありません。

 浮気相手の女性は言います。

子どもを育てたくない。産むのだってこわいし、痛いから本当は嫌だけど、おろすのはもっとこわい。だけど育てる気はありません。(p.84)

 主人公がされた提案は、

  1. 彼氏と浮気相手が結婚
  2. 浮気相手が子どもを産む
  3. 彼氏と浮気相手が離婚
  4. 彼氏と主人公が結婚
  5. 彼氏と主人公が浮気相手の子どもを育てる

 そんな馬鹿な話が! と思いますが、その世界にぐいぐいと引っ張られます。

 主人公は、子どもをもらうのか、もらわないのか

 以下に興味がある人におすすめです。

  • 人の産んだ子をもらう
  • 子どもが産めない
  • 子どもが好きではない
  • 性交渉と愛
犬のかたちをしているもの

犬のかたちをしているもの

  • 作者:高瀬 隼子
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: 単行本
 

 

 

一言あらすじ

 彼氏とは半同棲だが3か月以上性交渉はない。彼氏から紹介された女性が、彼の子を妊娠したらしい。女性から、産んだ子どもをもらってほしいと言われる。

 

主要人物

  • 薫:主人公。30歳。卵巣の腫瘍を切除した
  • 郁也:薫の恋人で半同棲している
  • ミナシロ:郁也の子を妊娠したが、育てたくない

 

性交渉と愛

 薫と郁也には、3か月以上性交渉がありません。

 郁也はそれでもいいと言っていましたが、実際は浮気していました。

 ですが、ミナシロへの特別な感情はないと言います。

 愛はないですが、性交渉はあります。

 一方で、薫と郁也には愛があります。

 性交渉と愛がつながっていなければ

  • 郁也とミナシロは快楽を追求し、
  • 薫と郁也には愛情が結ばれます

 悪者は生まれません。

 しかし、3人にとってそんなうまい話はありません。

 

何かをしてあげるのが愛

 薫は、愛することを、飼い犬ロクジロウへの思いで知りました。

 ロクジロウはわたしより先に死ぬんだって理解した頃から、分かり始めた。

(中略)

この子が助かるならなんでもするのに、っていう祈り

(中略)

自分にはなにも返ってこなくていいから、この子にいつもいいものがありますように。(p.97)

 そう考えたとき、

 郁也からの愛は、薫が「卵巣に病気」があるからではないかと察します。

 相手に「何かをしてあげたい」から生まれるのが愛だとしたら、対等な関係では愛は生まれないのかもしれません。

 飼い犬を愛することのように、人を愛することはできるのか。

 文章は読みやすいですが、考えさせる作品です。

犬のかたちをしているもの

犬のかたちをしているもの

  • 作者:高瀬 隼子
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: 単行本