言葉で心を動かす方法
著者の川上さんは、新卒後、広告会社にコピーライターとして採用されたわけではありませんでした。
20代後半まで、営業職をしてたそうです。
その後、クリエイティブ局でCMプランナーをしましたが、会社勤めになじめず、退社してフリーランスになったと言います。
フリーになるとき、「CMプランナー」という肩書きより「コピーライター」のほうが潰しが利きそうという理由で、コピーライターを選んだそうです。
当時、出版されていた国内外のコピーライターが書いた本はほとんど読み漁りました。
どの本も参考になる。しかし正直に言うと、これさえ読めば「自分もいいキャッチコピーが書ける」と思えた1冊には巡り合えなかったのです。
その道を極めるには、先人の書いた本を読み漁るのは必須なんだろうなと思いました。
本を読み漁ったからこそ、期待してた1冊に出会えなかったという結果を得たわけです。
川上さんが、新卒後にコピーライターとして広告会社に採用されて順風満帆、でないのが良いです。親近感を抱けます。
この1冊を30代の自分に一番読ませたい。
キャッチコピーは、極論すれば「言い切る」と「問いかけ」の2つの型に分かれるそうです。
- 言い切り型の例:会社の9割は課長になれない!
- 問いかけ型の例:なんで、私が東大に。
言い切り型と問いかけ型を使い分ける考え方が、参考になりました。
ある心理学の実験によると、「その商品に強い興味や関心を持っている場合」は「言い切り型」が有効であり、「あまり興味や関心を持っていない場合」は、「問いかけ型」が有効だということです。
- 商品に強い興味や関心を持っている場合:言い切り型
- あまり興味や関心を持っていない場合:問いかけ型
本書に、架空の商品「営業支援システム」を新規企業に売るというキャッチコピーのお題があります。
- キャッチコピーの目的
- 誰に? いつ? どこで?
- 何を言うか?(What to say)
- どう言うか?(How to say)
- 言い切り型:トップ営業マンのノウハウが共有されれば営業成績は飛躍的に上がる
- 問いかけ型:トップ営業マンのノウハウを全営業マンに共有できていますか?
最終的には、会社の知名度が低く、商品への信頼性を感じてもらえない可能性が高いことから、「言い切り型」でなく「問いかけ型」のキャッチコピーが採用されました。
知名度や興味関心がないときに、「問いかけ型」が有効であるというのが、勉強になりました。
本書に引用されてたコピーで良かったのを抜粋します。
重要なのは、「どう」言うかより「何を」言うかだ
「何を」「どう」言うかであって、「どう」「何を」言うかではない、ということでしょう。
何よりもまず、見出しには「得になる」ものを必ず盛り込むこと
特にならなければ、見向きもされないでしょうから。
この記事の見出しを「言葉で心を動かす方法」にしたのは、「得になる」要素を盛り込もうと思ったからです。盛ってはいません。