いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2022-01-01から1年間の記事一覧

『世界の終わりの終わり』佐藤友哉(著)の感想①【金原ひとみ「私小説的小説10」】

金原ひとみ「私小説的小説10」 金原ひとみさんが、 『文藝 2022年秋季号』の 「私小説的小説10」 で本書を選んでいたので読みました。 厳密には、 金原さんが「私小説的小説10」で本書を取り上げ、 私が『世界の終わりの終わり』というタイトルに興味を持っ…

『カルチャーセンター』松波太郎(著)の感想②【オブセッションでは受賞できない】

オブセッションでは受賞できない 感想①はこちらです。 主人公のマツナミは、小説を書き、読み、合評するカルチャーセンターに通っています。 生徒たちは、受賞に向け、作品を書いています。 主人公は、回転寿司店の中で始まって終わる小説を書きました。 主…

『カルチャーセンター』松波太郎(著)の感想①【切迫した感情が煮詰まった作品】

切迫した感情が煮詰まった作品 私小説に近いフィクションとして読みました。 マツナミという登場人物は、著者本人だと思われます。 カルチャーセンターは、小説を書いて、読んで、合評するスクールです。 本書は三部構成で、 マツナミが語り手。カルチャーセ…

『もう内向型は組織で働かなくてもいい』堤ゆかり(著)の感想【内向型コンサルタントという仕事】

内向型コンサルタントという仕事 内向型、外向型とは何でしょうか。 内向型は自分の内側(感覚や感情・思考など)に興味のベクトルが向かいやすく、外向型は自分の外側で起きている出来事や他人に興味のベクトルが向かいやすい 内向型と外向型は、半々ずつい…

『ユーチューバーが消滅する未来』岡田斗司夫(著)の感想【SAOの世界が実現すれば】

SAOの世界が実現すれば 本書は2018年に出版されています。 著者の岡田さんは、 20年、30年というスパンで考えたら人間にはどんな仕事も残らない と書いてます。 YouTuberについては、もっと辛辣です。 10年後にどうなっているかというと、日本で活躍している…

『完全教祖マニュアル』架神恭介、辰巳一世(著)の感想【教祖になる方法】

教祖になる方法 教祖って聞くと、身を引いてしまいます。 怪しげな勧誘をされるのではないか。 心配ありません。本書での教祖は、 多くの人をハッピーにしながら、大きな尊敬を受ける 人のことです。 本書を読めばあなたも教祖になれる! ここまで読んだあな…

『東大から刑務所へ』の感想【堀江貴文と井川意高が泣いた本】

堀江貴文と井川意高が泣いた本 堀江さんは元ライブドアの社長。井川さんは元大王製紙の会長です。 本書は二人の対談形式で、共通点は、 東京大学に入学 刑務所で服役 それに加え、服役中、二人とも読書をしていました。 二人がそれぞれ泣いた本として、一冊…

『シンプリスト生活』Tommy(著)の感想②【適職と天職の違い】

適職と天職の違い 感想①はこちらです。 適職と天職、何が違うのでしょうか。 適職:得意を活かした、その人の能力や才能などに合った職業(例:気配りが得意な人が、接客業についた場合) 天職:お金とは関係なく、時間を忘れて没頭できるような好きなこと …

『シンプリスト生活』Tommy(著)の感想①【ミニマリストとの違い】

ミニマリストとの違い シンプリストとミニマリスト、何が違うのでしょうか。 ミニマリスト:必要や便利を切り詰めてでも、モノを減らすことを優先 シンプリスト:モノゴトの優先順位を整理し、自分に正直でいることを重視して行動 著者のTommyさんは、ミニマ…

『ほんのこども』町屋良平(著)の感想【誰の何のための小説か】(野間文芸新人賞候補)

誰の何のための小説か 私小説に近いフィクションとして読みました。 物語をたどるよりも、小説とは何かを考える読書体験でした。 メインの登場人物は、以下のとおり。 私(著者:町屋良平) あべくん(小学校時代の同級生) 町屋さんは、19歳のときにあべく…

『手放す練習』ミニマリストしぶ(著)の感想【大事なことを強調するため少なくする】

大事なことを強調するため少なくする 本書でのミニマリストとは、 大事なことを強調するために、あえて少なくする人 のことです。 ミニマリストしぶさんは、 4畳半 家賃2万円 のワンルームマンションに住んでいたそうです。 「来月の家賃どうしよう」といっ…

『中田式 ウルトラ・メンタル教本』中田敦彦(著)の感想【最高の仕事とは】

最高の仕事とは 中田さんは、「最高の仕事」を、以下の5つすべてを満たすものだと言います。 成果を出している 周囲に認められている 満足な報酬が得られている やりたい職種に就いている 気の合う仲間がいる ハードルが高いです。 一番重要なのは①だと思っ…

『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』厚切りジェイソン(著)の感想【自分のために生きる】

自分のために生きる 最近、FIREした厚切りジェイソンさん。 ジェイソンさんは、2014年にお笑い芸人としてデビューしました。 翌年、本書が出版されています。 今読んでも響く内容ばかりでした。 ジェイソンさんが言いたいのは、「自分のために生きろ」だと感…

『熔ける 再び そして会社も失った』井川意高(著)の感想②【刑務所で一般教養を学び直す】

刑務所で一般教養を学び直す 感想①はこちらです。 本書では刑務所での生活も描かれています。 刑務所では自由時間はたっぷりある。工場での作業のあと、午後5時過ぎに夕食を終えたら、午後9時まで4時間近くも本を読める。土日は午前8時から午後9時まで、独房…

『熔ける 再び そして会社も失った』井川意高(著)の感想①【出所後もギャンブル依存症は止まらない】

出所後もギャンブル依存症は止まらない 本書は『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』の続編です。 前編の感想はこちら。 著者の井川さんは、大王製紙の会長時代、連結子会社から約55億円を借り入れた会社法違反で逮捕されました。 借り入れた金も含め…

『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』の感想【カジノで106億負けた理由】

カジノで106億負けた理由 著者の井川さんは、42歳で大王製紙の社長になった方です。 筑波大学附属駒場中学校・高等学校 東京大学法学部 を経て、祖父が創業した大王製紙に入社しています。 東大に入っておけば、少なくとも学歴面で「あいつは所詮ボンボンだ…

『我が闘争』堀江貴文(著)の感想②【ライブドア事件と野口英昭氏の自殺】

ライブドア事件と野口英昭氏の自殺 感想①はこちらです。 野口英昭さんは、堀江さんの会社の部下でしたが、後に辞めています。 野口さんの自殺の報道が流れたのは、堀江さんに強制捜査が入った直後の出来事です。 野口氏の死に僕が関与していたと思い込んでい…

『我が闘争』堀江貴文(著)の感想①【ホリエモンの自叙伝】

ホリエモンの自叙伝 一気に読みました。 これは僕が長野刑務所で服役していた時に書き始めたものだ。 生まれて最初の記憶から現在までを時系列で辿っていく、いわゆる自叙伝ということになる。 この書き出しに引き込まれました。 捕まる前の堀江さんと言えば…

「普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門」山崎俊輔(著)の感想【副業で収入を増やす】

副業で収入を増やす FIREとは、 経済的独立の獲得による早期リタイアを目指すムーブメント で、本書は、日本人向けに書かれたものです。 FIRE(早期退職)に憧れます。 時間と場所にとらわれない自由な生き方をしたいからです。 好きな時間に起き、好きな場…

『人生の結論』小池一夫(著)の感想【特定の主題で人格を全否定しない】

特定の主題で人格を全否定しない タイトルに惹かれて読みました。 「人生の結論」が書かれている本があるなんて。 著者の小池さんを、私は存じ上げなかったのですが、興味深い経歴の方でした。 小説家を目指しましたが断念しました。その後弁護士を目指しま…

『キミは何のために勉強するのか』富田一彦(著)の感想【無意味な苦労であってはいけない】

無意味な苦労であってはいけない 著者の富田さんは、代々木ゼミナールの英語講師です。 もし、大学受験の予備校の先生に「キミは何のために勉強するのか」と聞かれたら、「志望校に合格するため」と答えるでしょう。 ただ本書は、一般の読者にも向けて書かれ…

『お金の不安がなくなる資産形成1年生』小林亮平(著)の感想【三菱東京UFJ銀行を辞める決断】

三菱東京UFJ銀行を辞める決断 資産形成よりも、著者の経歴に目を奪われました。 小林さんは、1989年生まれで、三菱UFJ銀行を3年9か月で退職した元銀行員です。 自由に生きていきたいという思いから独立の道を選びましたが、さっそく直面したのはお金の問題で…

『嫌なこと、全部やめても生きられる』プロ奢ラレヤー(著)の感想【人と違う生き方を突き詰める】

人と違う生き方を突き詰める プロ奢ラレヤーさんは、人に奢ってもらって生計を立てている方です。 出版当時(2019年12月)に22歳で、年収1000万とのこと。すごいです。 僕の生活は奢られているか、ツイッターや有料マガジンを更新しているか、本読んでいるか…

「東京藝大ものがたり」 あららぎ菜名(著)の感想【3浪するほど情熱を注げるもの】

3浪するほど情熱を注げるもの 主人公の女性が、東京藝術大学に、3浪して入学するまでの話です。 主人公が浪人時代、友人から、 いつまでそんなことしているつもりなの と言われます。 主人公が東京藝術大学に行きたくて、と説明しますが、 みんな もう次のス…

『嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命』ヒトデ(著)の感想【小さな実績の積み上げ】

小さな実績の積み上げ 凡人が、嫌なことから抜け出せる方法なんてあるのでしょうか。 著者のヒトデさんのスタートラインは、 学歴なし(Fラン大学) スポーツ全然ダメ(大会の勝率0%) 仕事もミスだらけ 何かに没頭して結果を出した経験なし 周りに起業した…

『本当の自由を手に入れる お金の大学』両学長(著)の感想【稼ぐ力で生活費<資産所得】

稼ぐ力で生活費<資産所得 著者の両学長は、10代の頃から疑問に思っていました。 なんで毎朝同じ時間に学校や職場に行くのか なんで週に5日も働く必要があって、2日しか休みがないのか なんで毎朝満員電車に揺られる必要があるのか なんで会いたくない人と我…

『私の推敲』町屋良平(著)の感想【私という小説家の極意】

私という小説家の極意 小説家の主人公には、お守りのように読み返している創作の指南書があります。 指南書の名前は、『私という小説家の極意』で、著者の名前は書かれていません。 指南書の著者が、編集者のタカハシクンに向けて話した内容を、タカハシクン…

『こどもの詩』川崎洋(編)の感想【大人は子どもの夕暮れ】

大人は子どもの夕暮れ 本書は、読売新聞に掲載された「こどもの詩」を集めたものです。 それぞれの詩の最後に、編者の川崎さんのコメントが添えられています。 川崎さんは、「こどもの詩」に3つの感想を持っています。 連想の豊かさ。大人の思いつかないイメ…

『だれでも詩人になれる本』やなせたかし(著)の感想【良い詩を書きたい人へ】

良い詩を書きたい人へ やなせさんは、アンパンマンの作者です。詩を書き、詩集の編集もしていました。 本書の冒頭、やなせさんは読者に質問をします。 詩人になりたいですか? 詩をかいてお金もちになりたいですか? それとも世間に名前を知られたいのですか…

『試験勉強という名の知的冒険』富田一彦(著)の感想【学力とは抽象化できる力】

学力とは抽象化できる力 富田さんは、代々木ゼミナールの英語講師です。 主に東大英語を担当しており、富田さんも東大出身です。 本書は、英語を読めなくても読み進めることができます。 本書は「試験」を受けようとしているすべての人々、そして「試験問題…