刑務所で一般教養を学び直す
感想①はこちらです。
本書では刑務所での生活も描かれています。
刑務所では自由時間はたっぷりある。工場での作業のあと、午後5時過ぎに夕食を終えたら、午後9時まで4時間近くも本を読める。土日は午前8時から午後9時まで、独房の中でフリーの時間が13時間はある。差し入れてもらった雑誌はすべて読み、書籍も次々と読破していった。
労働時間だけ見れば、ホワイト企業ですね。
やれることが少ないからこそ、集中できる(せざるを得ない)環境です。
受刑者の多くは、週刊少年ジャンプを読んでいたそうです。
一方、井川さんは、一般教養を勉強し直そうと決意します。
獄中での学び直しは、私の後半生にとって大きな意味を持つと思う。シャバでずっと経営者をやっていたら、微積分を勉強し直したり、ニーチェやフーコーの哲学書とがっぷり四つで取り組む機会なんて絶対になかった。
刑務所で勉強する精神的余裕が井川さんにあるのは、出所後の心配が少ないからでしょう。
刑務所に入っても、実力のある人(井川さんや堀江貴文さん)は、前科など関係なく活躍できます。むしろネタにしています。
私やタカポン(堀江貴文さんのこと)にとっては、東京拘置所や刑務所に入ったことはネタの一つだ。飲み会の席で「オレがムショにいたころはね」と刑務所あるあるネタをしゃべれば、一緒にいる人がおもしろがってくれる。(中略)私やタカポンのように『東大から刑務所へ』という対談本まで出せる人間は、元受刑者のうち少数派というか、恵まれたほうなのだろう。
堀江さんとの対談本を出しているとは。近いうちに読みます。
→読みました。感想はこちらです。
私のような普通の人では、刑務所に入ったら人生終わります。
勤務先をクビになり、前科者というレッテルが貼られます。クビになる前と同じような待遇の会社には、再就職できないでしょう。
そうした自分がどうなるかわからない精神状態では、獄中で一般教養なんて勉強できません。
ひとときの苦痛から解放されるべく、受刑者たちが週刊少年ジャンプに手を伸ばす気持ちはわかります。
ただ、それで人生は変わりません。それもわかっています。わかっているのですが、楽な方に流れてしまいます。
自由時間を勉強に使うからこそ、井川さんは次のステージに行けるのだと思いました。
ときどき女性に「エルメスのバッグがほしいと言うけど、本当にエルメスのデザインが好きなの?」と吹っかけてしまう。「エルメスを持っていると、みんながすごいと言ってくれるからほしいだけじゃないの? 他人は他人、自分は自分だぜ」
私は、物に関して他人と比較し憧れることはありませんが、他人の自由な生活には憧れます。
経営者の井川さんには憧れませんが、出所後の自由に生きている井川さんには憧れます。
日中労働している私は、服役している受刑者と同じではないか。
せめて自由時間は、テレビや娯楽ばかりで消費しないように生きたい。